新型コロナ・ショック(COVID-19パンデミックと流動性相場)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン

2019年末に発生した新型コロナウイルスの世界的流行は、2020年に金融市場へ急激なショックをもたらしました。ロックダウンによる経済停止と同時に、史上最大規模の金融緩和が実施され、急落と急回復が同時に発生した特異な危機です。

  • 発生日:2020年2月11日(WHOが新型コロナウイルスの感染による疾患を「COVID-19」と命名)
  • Event Type:パンデミック / 外生ショック / 流動性危機
  • 関連テーマ:ロックダウン / 金融緩和 / 財政出動 / K字回復 / テック株

重要度(Importance Rating)

★★★★★(重要度 5)

概要(Overview)

2020年、中国から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、全世界が感染症の危険に晒されたことで、世界規模のロックダウンや入国制限、国際行事の延期や縮小など、人類が過去に経験していない事態に陥りました。
パンデミックを収束させるために実施されたロックダウンなどの政策により、行動の自由は大きく後退し、経済活動は大幅に縮小し、これにより金融市場は短期間で急落し、世界同時リスクオフが発生しました。

株式市場は2020年3月にかけて急落しましたが、米国FRBを中心としたゼロ金利政策、量的緩和、無制限の流動性供給により、急速に反転しました。

その結果、実体経済が低迷する一方で金融市場は上昇する「乖離」が発生し、特にテクノロジー株を中心としたバブル的上昇が観測されました。

2021年に入り、ワクチン接種により行動の自由を回復することとなり、経済の正常化も徐々に進みました。

本イベントの本質は、「外生ショック → 経済停止 → 流動性供給 → 資産価格上昇」という従来と異なる危機構造にあります。

23.Mar.2021 – General view of Pedro Dell’Antonia field hospital, in Santo Andre

チャート(Nikkei225 Chart)

重要なポイント(Key Takeaways)

  • 外生ショックは市場機能を一時的に停止させる
  • 中央銀行の流動性供給が相場反転のトリガーとなる
  • 金融市場と実体経済の乖離が発生する場合がある
  • 危機後はセクター間格差(K字回復)が顕在化する
  • テクノロジーなど構造変化テーマが主導する

詳細(Detail)

背景(Background)

2019年12月下旬、中華人民共和国の武漢市で原因不明の肺炎の集団感染が発生したことが保健当局によって報告されました。
新型コロナウイルスの特徴はこれまでの重症急性呼吸器症候群 (SARS) 等と同様と思われていましたが、過去にない潜伏性の高さから、人類の経済活動を利用して急速に感染を拡大することになりました。

その後、この疾患が世界規模で流行する危険性について、WHOは最高レベルの「非常に高い」と評価し、2020年3月11日、テドロス・アダノムWHO事務局長はパンデミック(世界的流行)相当との認識を表明し、世界各国で旅行制限、検疫、外出禁止令などの公衆衛生上の対応が取られます。

従来の金融危機とは異なり、実体経済が意図的に停止された点が最大の特徴です。

発生源とされる武漢華南海鮮卸売市場の空撮。左手に見えるのが正面玄関。消毒チームが付近の消毒を行っている(2020年3月4日撮影)。

推移(Event Progression)

2020年に入り、中国から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的流行へと拡大するとともに、日本でも感染者数、死亡者数が加速度的に増加した。

特に、2月3日夜に横浜港の大黒埠頭沖に停泊したイギリス船籍の豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号にて、乗船する計3,711人の乗客・乗務員のうち、712人が感染し13人が死亡する感染事故となり日本中を恐怖に陥れた。

全世界が感染症の危険に晒されたことで、世界規模の入国制限、国際行事の延期や縮小など、人類が過去に経験していない事態に陥り、パンデミックを収束させるために実施されたロックダウンなどの政策などから、行動の自由は大きく後退し、世界的に経済活動は大幅に縮小した。

この危機に対して、イギリスでは、大多数の人々が感染することによって、感染の連鎖が断ち切られ、感染していない人を保護する仕組みが機能する「集団免疫」政策を選択。
中国では厳格な行動制限などで都市封鎖 (ロックダウン)を行い、完全な封じ込めをはかるゼロコロナ政策を実施。
各国で様々な対策が用いられた。

株式市場は当初世界中パニック売りで反応したが、その後の米国FRBを中心とした世界中の中央銀行の金融緩和や市場への流動性供給、また政府の支援金等の財政出動などにより、日経平均株価は割と早い段階、2020年3月19日安値16,358円で底打ち、急回復することとなった。

特に生活のオンライン化が進んだことからネット企業を中心に買われ、コロナバブルともいうべき活況を呈した。
一方、外食、観光、レジャー、興行、運輸などはオンライン化できず、廃業が数多く確認され、株価も低迷、2極化が進むこととなり、V字回復ではなくK字回復と言われた。

除染作業のため大黒埠頭に停泊中のダイヤモンド・プリンセス(2020年3月1日)



SAO PAULO, 12.mai.2020 – Equipe de médico, enfermeiros e fisioterapeutas cuidam de pacientes críticos da Covid-19 na UTI do hospital Vila Nova Cachoeirinha, na zona norte de São Paulo 12 May 2020, 11:05:22

終息

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行に先立ち、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)などの病気を引き起こすコロナウイルスの構造と機能に関する知識が確立されていた為、2020年初頭に様々なワクチン技術の開発が進んでいた。

2020年1月10日、SARS-CoV-2の遺伝子配列データが共有され、同年3月19日までに、世界の製薬業界がCOVID-19への取り組みを始めていた。

COVID-19用ワクチンの製造に当たり、新たな製造手法としてDNAワクチンやmRNAワクチンの開発が進められることとなり、ワクチン開発が大幅にスピードアップすることができた。

その結果、2020年末から複数の世界的な製薬企業(米ファイザー社、モデルナ社等)が開発・製造した複数種のCOVID-19ワクチンの接種が始まる。
このことが大きなゲームチェンジャーとなり、ワクチン接種により行動の自由を回復することとなり、経済の正常化も徐々に進んだ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン

影響(affect)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、2020年3月24日、東京2020オリンピックについて1年程度日程を延期して2021年夏までに開催することを決定した。

2021年3月20日、世界のコロナ禍の状況を考慮して海外観客の日本への受け入れは断念。

東京オリンピックは2021年7月21日に競技が開始され、7月23日には開会式が無観客で実施された。

新型コロナウイルスの感染が、首都圏を中心に全国的に拡大傾向が続く中での開幕となり、東京オリンピックは緊急事態宣言下で無観客で行われることとなった。

東京2020オリンピック競技大会

市場への影響(Market Impact)

  • 日経平均:約-30%下落(2020年2月〜3月)
  • 底打ち:2020年3月19日(約16,358円)
  • 回復:数ヶ月で急回復(V字)
  • ボラティリティ:急上昇(史上最高水準)
  • 特徴:流動性主導の上昇相場へ転換

経緯(Timeline)

日付 内容
2019年
12月12日 中国湖北省武漢市において原因不明肺炎の発生が報告される
2020年
1月12日 WHOが中国湖北省武漢市の原因不明肺炎は新型コロナウイルスが原因であると発表
1月15日 日本における新型コロナウイルス感染症第1例目を確認
2月5日 集団感染を起こしたクルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」が、日本政府の指示により大黒埠頭沖で14日間の隔離措置を開始
2月11日 WHOが新型コロナウイルスの感染による疾患を「COVID-19」と命名
2月13日 日本で初の死亡者が確認された
2月26日 韓国での感染者が1,000人を超えた
2月29日 イタリアでの感染者が1,000人を超えた
3月2日 新型コロナウイルス感染症対策のための小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業開始
3月6日 世界全体の感染者数が10万人を超えた
3月8日 全世界での感染が確認された国・地域が100に到達した
3月24日 東京2020オリンピック1年程度日程を延期して2021年夏までに開催することに合意
3月26日 アメリカの感染者数が中国、イタリアを上回り、世界最多になった
4月7日 緊急事態宣言 (埼玉県, 千葉県, 東京都, 神奈川県, 大阪府, 兵庫県, 福岡県)
4月18日 日本での感染者が1万人、死者数は200人を超えた
4月25日 緊急事態を終了
4月28日 世界全体の感染者数が300万人、世界全体の死者数が20万人を超えた。アメリカの感染者数が100万人を超えた
2021年
1月7日 緊急事態宣言 (埼玉県, 千葉県, 東京都, 神奈川県) (8日から)
2月17日 医療従事者等のワクチン先行・優先接種開始
3月18日 緊急事態を終了 (21日をもって)
4月12日 高齢者のワクチン優先接種開始
4月23日 緊急事態宣言 (東京都、京都府、大阪府、兵庫県) (25日から)
7月23日 東京2020オリンピック開会
8月8日 東京2020オリンピック閉会
9月28日 緊急事態を終了 (30日をもって)
12月1日 ワクチンの追加接種開始 (2回目接種を完了した18歳以上の全ての者)

参考(Sources)


コロナショック パンデミック 金融緩和 流動性相場 K字回復
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