Market History DB / Market Phase
世界同時成長相場
2016-02-15 – 2018-01-23
世界が、同時に良くなった
チャイナショックによって極端化した 世界景気への悲観が後退し、 中国経済の安定、 原油・資源価格の底入れ、 世界製造業と貿易の回復、 米国・欧州・日本・中国を中心とした 景気拡大が重なったフェーズ。 アベノミクス相場では 国内政策と円安が日本企業利益を押し上げたが、 本フェーズでは 世界需要そのものが 輸出、設備投資、売上、企業利益を押し上げ、 日本株が グローバルな企業利益拡大を買う市場へ移行した。
強い上昇相場は、 必ずしも明るいニュースから 始まるわけではありません。
2016年2月。
世界の金融市場には、 悲観が広がっていました。
中国景気減速。
人民元不安。
原油価格下落。
新興国不安。
米国金融政策への警戒。
Global Risk Off。
円高。
外国人投資家の日本株売り。
そして、 日本銀行のマイナス金利政策に対する 副作用への懸念。
市場は、 世界経済はさらに悪くなるのではないか という未来を 価格へ織り込んでいました。
しかし、 その悲観の中から 次の相場は始まります。
中国経済は、 市場が恐れていたような 急激な崩壊へ向かいませんでした。
原油・資源価格は 底入れへ向かいました。
新興国への不安も 徐々に後退しました。
世界製造業は回復し、 世界貿易も再び拡大へ向かいます。
そして2017年には、 米国。
欧州。
日本。
中国。
新興国。
主要地域の景気が 同じ方向へ改善する局面へ入ります。
一つの国だけが 世界を牽引したのではありません。
一つの中央銀行だけが 資産価格を押し上げたのでもありません。
世界そのものが、 同じ方向へ動き始めた。
これが、 世界同時成長相場の本質です。
前のフェーズでは、 世界が日本株を下げた。
しかし今度は、
世界そのものが、 日本企業の利益を押し上げ始めた。
- フェーズ概要
- この相場は、2016年2月の悲観から始まった
- 相場は「良くなった」からではなく、「悪化しなかった」ことから反転した
- 中国は「世界の不安源」から「安定化Driver」へ変わった
- 原油価格の底入れは、世界景気の意味を変えた
- Risk Offの逆回転が始まった
- 最初は「悲観の修正相場」だった
- ここがアベノミクス相場とは違う
- 日本は「世界で稼ぐ企業」の市場になっていた
- 世界景気の回復は、日本企業へ複数の経路で伝わった
- まだ「世界同時成長」ではなかった
- Part1の結論
- Brexitは、相場を壊さなかった
- ショックへの市場反応が変わり始めた
- 日本銀行は「金利を下げる政策」から「金利を管理する政策」へ進んだ
- YCCは「もっと下げる」政策ではなく、「持続できる緩和」への修正だった
- しかし、この相場を決定的に変えたのは米国だった
- Trump Reflationは、円安を通じて日本株を加速させた
- 市場の中心は「政策」から「景気敏感」へ移った
- 「トランプ相場」だけでは、このフェーズを説明できない
- 2017年、世界製造業が同時に回復した
- 日本企業にとって、世界同時成長は理想的な環境だった
- Part2の結論
- 世界同時成長は、日本企業の「数量」を増やした
- 設備投資が、世界をつないだ
- FAは「人を減らす技術」ではなく、世界の工場を変える技術だった
- FA・ロボット株は、世界設備投資の代理変数になった
- 半導体は、景気循環産業から社会インフラへ広がり始めた
- 半導体製造装置は、世界の投資意欲を映した
- 世界同時成長とデジタル化が初めて強く重なった
- 工作機械は、世界企業の「自信」を売る産業だった
- 商社は、資源価格回復と世界需要の両方を取り込んだ
- 自動車は、世界需要と円安を同時に受け取った
- 中心銘柄群は「世界の設備投資」を映す企業へ移った
- 日本株は「日本経済」だけを買う市場ではなくなった
- 「世界で稼ぐ企業」が最も評価された
- 企業利益の質も変わった
- Part3の結論
- Global Risk On
- 外国人投資家は、再び日本株を買った
- 企業利益が、株価上昇を正当化した
- 「株価が上がったから強い」のではなく、「利益が増えたから強かった」
- 世界株高が、日本株をさらに押し上げた
- 低ボラティリティが、新しい安心を作った
- 「何が起きても戻る」という経験が積み上がった
- 低ボラティリティは「リスクがない」ことを意味しない
- 世界同時成長への確信が、ポジションになった
- 市場心理は「恐怖」から「確信」へ移った
- 確信が強くなるほど、次の脆弱性も大きくなった
- Part4の結論
- Regime Drivers
- Global Drivers
- Policy Drivers
- Domestic Drivers
- Driver Interaction
- このフェーズでは「景気」と「市場」が互いを強化した
- machine_phase
- machine_phase一覧
- machine_phase Flow
- 世界同時成長相場は、内部で四段階に進化した
- 成功条件が、次の脆弱性を作り始めた
- Part5の結論
- MHDB Classification
- Human Phase
- なぜ「世界同時成長相場」なのか
- アベノミクス相場との違い
- チャイナショック調整との対称性
- なぜ2018年1月23日までなのか
- Phase End Signal
- このフェーズが残したもの
- 世界同時成長相場の歴史的位置
- 次のフェーズへ
- 総括
- 参考資料
フェーズ概要
- Market Cycle: グローバル景気・企業利益拡大サイクル
- Market Phase: 世界同時成長相場
- 期間: 2016年2月15日 ~ 2018年1月23日
- 基本構造: チャイナショックで極端化した世界景気悲観が後退し、中国経済の安定、資源価格の底入れ、世界製造業・貿易の回復を経て、米国・欧州・日本・中国を中心とする世界同時成長が企業利益を押し上げた
- Global Drivers: China Stabilization、Commodity Recovery、Global Manufacturing Expansion、Global Trade Recovery、US Expansion、European Recovery、Trump Reflation、Global Risk On
- Domestic Drivers: Yen Depreciation、Export Recovery、EPS Expansion、Capital Expenditure Recovery、Corporate Governance Reform、Foreign Equity Inflow
- Policy Drivers: BOJ Negative Rate / YCC、ECB Monetary Accommodation、Fed Gradual Normalization、US Fiscal Expansion Expectation
- 主要な市場参加者: 外国人投資家、輸出企業、製造業、機械・FA企業、半導体関連企業、国内機関投資家、日本銀行、グローバル投資家
- Human Theme: 世界が、同時に良くなった
- 市場心理: 世界景気悪化への悲観から、景気回復への確信、企業利益拡大、そして世界同時成長への楽観へ移行
- 内部矛盾: 世界景気への確信が強まるほど低ボラティリティとRisk Onポジションが蓄積し、同時に米国金融政策正常化と長期金利上昇への感応度が高まった
- 次フェーズ: 世界同時成長の成熟後に生じる金利・貿易・政策レジームの再評価
相場推移と主要イベント
本フェーズの日経平均株価と主要イベントです。 2016年2月のチャイナショック調整一巡から、 原油・資源価格の底入れ、 中国経済への過度な悲観の後退、 英国EU離脱国民投票、 日本銀行による長短金利操作付き量的・質的金融緩和、 米大統領選とTrump Reflation、 円安、 世界製造業回復、 世界貿易拡大、 日本企業のEPS改善を経て、 2017年後半から2018年1月にかけて 世界同時成長への確信が強まるまでの 市場構造の変化を確認できます。
この期間の出来事はありません。
この相場は、2016年2月の悲観から始まった
強い上昇相場は、 必ずしも明るいニュースから 始まるわけではありません。
世界同時成長相場も、 楽観から始まった相場ではありませんでした。
むしろ、 出発点にあったのは 極端な悲観でした。
2016年初め、 市場では 複数の不安が同時に意識されていました。
中国経済は ハードランディングするのではないか。
人民元安が 資本流出を加速させるのではないか。
原油価格下落によって、 資源企業や産油国で 信用問題が起きるのではないか。
米国が利上げを続ければ、 新興国から さらに資金が流出するのではないか。
円高によって、 日本企業利益が 大きく悪化するのではないか。
そして、 日本銀行には もう有効な政策手段が 残っていないのではないか。
市場は、 多くの悪い未来を 同時に織り込もうとしていました。
しかし、 相場が反転するために、 すべての問題が 解決する必要はありません。
必要なのは、 現実が、 市場の最悪想定ほど 悪くならないこと です。
China Growth Stress
+
Commodity Deflation
+
Emerging Market Stress
+
Yen Appreciation
+
Policy Effect Uncertainty
↓
Extreme Pessimism
↓
Risk Exhaustion
↓
「さらに悪くなる」という期待が崩れ始める
相場は「良くなった」からではなく、「悪化しなかった」ことから反転した
2016年2月時点で、 世界経済が 強かったわけではありません。
中国景気には 依然として不透明感がありました。
原油価格も 低い水準にありました。
世界貿易も 力強い拡大局面には 入っていませんでした。
日本では、 円高圧力も残っていました。
つまり、 景気拡大を確認してから 株価が上がったわけではありません。
市場が最初に評価したのは、 「最悪のケースが 現実になる可能性が低下した」 という変化でした。
中国経済は 急激な崩壊へ向かわない。
人民元不安は 世界金融危機へ発展しない。
資源価格下落による 信用不安も制御可能である。
米国金融政策も 世界市場の状況を無視して 急速に引き締められるわけではない。
一つずつ、 Tail Risk が後退していきます。
世界が突然、 良くなったのではない。
最初に変わったのは、
「世界はもっと悪くなる」 という市場の前提だった。
中国は「世界の不安源」から「安定化Driver」へ変わった
前フェーズで、 市場最大の不安源だったのが 中国でした。
中国株急落。
信用取引の縮小。
人民元不安。
資本流出懸念。
製造業減速。
過剰設備。
市場では、 中国経済が 急激な減速へ向かうのではないか という懸念が強まりました。
しかし、 2016年に入ると 中国当局による景気下支えもあり、 経済は市場が恐れていたような 急激な崩壊へは向かいませんでした。
ここで、 中国の役割が変わります。
前フェーズでは、 China Slowdown がRisk Driverでした。
本フェーズでは、 China Stabilization がRisk Reduction Driverになります。
これは、 中国が高成長へ戻ったという意味ではありません。
重要なのは、 市場が織り込んでいた ハードランディングの確率が低下した ことです。
| チャイナショック調整 | 世界同時成長相場 初期 |
|---|---|
| China Slowdown | China Stabilization |
| 人民元不安 | 人民元不安の後退 |
| 資本流出懸念 | Tail Risk低下 |
| 世界需要への悲観 | 需要安定化期待 |
| Commodity Deflation | Commodity Stabilization |
| Global Risk Off | Risk Appetite Recovery |
原油価格の底入れは、世界景気の意味を変えた
原油価格下落は、 本来、 日本のような資源輸入国にとって コスト低下要因です。
しかし、 2015年から2016年初めにかけては、 原油安が 世界需要の弱さ を象徴するようになっていました。
原油が下がる。
資源企業の利益が悪化する。
設備投資が減少する。
産油国の財政が悪化する。
新興国通貨が下落する。
信用不安が強まる。
この連鎖が Risk Offを強めました。
したがって、 原油価格の底入れには 単なる商品価格以上の意味がありました。
資源企業の信用不安が 後退する。
資源国への悲観が 後退する。
設備投資の縮小圧力が 弱まる。
新興国への資金流出圧力が 和らぐ。
つまり、 Commodity Deflationが 世界金融市場を悪化させる経路が 弱くなり始めた のです。
Commodity Price Stabilization
↓
Resource Earnings Stabilization
↓
Credit Stress Reduction
↓
Emerging Market Stabilization
↓
Global Risk Appetite Recovery
Risk Offの逆回転が始まった
チャイナショック調整では、 複数のDriverが 同じ方向へ作用しました。
中国不安。
資源安。
新興国不安。
円高。
外国人売り。
EPS下方修正懸念。
そして、 政策効果への疑念。
これらが 日本株を下押ししました。
しかし、 2016年2月以降は 少しずつ逆方向の動きが始まります。
| Risk Off | Risk Recovery |
|---|---|
| 中国ハードランディング懸念 | 中国景気安定化 |
| 原油下落 | 原油・資源価格底入れ |
| 新興国不安 | 新興国市場安定化 |
| 信用不安 | Credit Stress後退 |
| 世界景気悲観 | 世界景気安定化期待 |
| Risk Asset売却 | Risk Appetite回復 |
ここではまだ、 「世界同時成長」 という確信はありません。
しかし、 世界同時悪化への恐怖は 崩れ始めていました。
この違いが重要です。
相場は、 景気統計が完全に改善するより先に、 悪化方向への期待が 修正された段階から動き始めます。
最初は「悲観の修正相場」だった
世界同時成長相場という名称から、 2016年2月から 世界景気が一斉に拡大した と理解すると、 このフェーズの進行を 正確に捉えられません。
フェーズ初期は、 Growth Expansion というより、 Pessimism Reversal でした。
中国は崩壊しない。
資源価格は 永遠に下がり続けない。
新興国危機は 世界金融危機へ発展しない。
世界景気は 最悪想定ほど悪くない。
この認識変化が、 Risk Assetの価格を 先に修正します。
Extreme Pessimism
↓
Tail Risk Reduction
↓
Risk Appetite Recovery
↓
Asset Price Recovery
↓
Economic Stabilization
↓
Global Growth Recovery
ここがアベノミクス相場とは違う
日本株が上昇するという結果だけを見れば、 アベノミクス相場と 世界同時成長相場は 似て見えるかもしれません。
しかし、 相場を動かす構造は異なります。
アベノミクス相場では、 国内政策が起点でした。
政策期待が 円高レジームを変えました。
円安が 円建て企業利益を改善しました。
外国人投資家が 日本の変化を買いました。
一方、 世界同時成長相場では、 相場の中心が 再び実体経済へ移ります。
中国経済が安定する。
世界製造業が回復する。
世界貿易が増える。
設備投資が増える。
日本企業の輸出が増える。
売上が増える。
利益が増える。
つまり、 為替だけではなく、 数量と需要が利益を押し上げる相場 へ変化していきます。
| アベノミクス相場 | 世界同時成長相場 |
|---|---|
| 国内政策が起点 | 世界景気が起点 |
| Policy Repricing | Global Growth Repricing |
| 円安が利益を改善 | 世界需要が利益を改善 |
| 為替効果が大きい | 数量・売上効果が強まる |
| 日本の変化を買う | 世界成長の恩恵を買う |
| 政策相場から利益相場へ | グローバル利益相場へ |
アベノミクスでは、 政策が利益を変えた。
この相場では、
世界の需要そのものが、 利益を押し上げ始めた。
日本は「世界で稼ぐ企業」の市場になっていた
ここで、 チャイナショック調整が残した 重要な構造が再び現れます。
日本企業は、 以前よりも 世界経済との結び付きを強めていました。
自動車。
機械。
FA。
半導体製造装置。
電子部品。
化学。
商社。
多くの企業が、 国内需要だけではなく 世界需要から利益を得ています。
これは、 チャイナショックでは 弱点になりました。
中国が減速すれば、 受注が減る。
世界貿易が減速すれば、 輸出が減る。
Risk Offになれば、 円高になる。
世界とつながっている企業ほど、 世界の悪化を受けました。
しかし、 世界景気が回復すれば 同じ構造は逆方向へ働きます。
中国需要が安定する。
世界製造業が回復する。
設備投資が増える。
輸出数量が増える。
企業利益が増える。
前フェーズで弱点だったGlobal Exposureが、 次のフェーズでは再び強みに変わった。
世界景気の回復は、日本企業へ複数の経路で伝わった
China Stabilization
+
US Expansion
+
European Recovery
+
Emerging Market Recovery
↓
Global Manufacturing Expansion
↓
Global Trade Recovery
↓
Capital Expenditure Recovery
↓
Japan Export Recovery
↓
Sales Growth
↓
EPS Expansion
↓
Japanese Equity Re-rating
ここで重要なのは、 円安だけに依存しない利益改善 が可能になったことです。
アベノミクス初期では、 為替が企業利益を 非常に速く変えました。
しかし、 世界同時成長相場では、 海外需要そのものが 企業の売上と受注を 押し上げます。
この違いによって、 日本株の上昇は 「金融政策への期待」 だけではなく、 実際の企業利益成長 によって説明できるようになっていきます。
まだ「世界同時成長」ではなかった
ただし、 2016年春の時点で 世界同時成長相場が 完成していたわけではありません。
欧州には 政治リスクがありました。
英国では、 EU離脱を問う国民投票が 予定されていました。
米国では、 大統領選挙が控えていました。
日本では、 円高圧力が残っていました。
金融政策についても、 マイナス金利の副作用という 新しい問題がありました。
つまり、 このフェーズは 最初から一直線に 上昇した相場ではありません。
悲観の修正。
政策の再設計。
政治ショックの吸収。
世界製造業の回復。
米国大統領選後のReflation。
そして、 世界同時成長への確信。
段階を踏んで、 相場の性格そのものが 変化していきます。
Pessimism Reversal
↓
Global Stabilization
↓
Political Shock Absorption
↓
Reflation
↓
Global Manufacturing Expansion
↓
Synchronized Global Growth
↓
Global Earnings Expansion
Part1の結論
世界同時成長相場は、 世界経済が強かったところから 始まったのではありません。
むしろ、 世界経済への悲観が 極端になったところから始まりました。
中国は、 市場が恐れたほど 急激には悪化しませんでした。
資源価格は 底入れへ向かいました。
新興国への不安も 次第に後退しました。
信用不安が弱まり、 Risk Appetiteが 回復し始めました。
最初に起きたのは、 景気拡大ではありません。
世界同時悪化というシナリオの崩壊 でした。
その後、 安定化は回復へ変わります。
回復は、 製造業へ広がります。
製造業回復は、 世界貿易へ広がります。
そして最終的に、 米国、 欧州、 日本、 中国、 新興国が 同じ方向へ動く 世界同時成長へ発展していきます。
世界同時成長相場は、 世界が強かったから 始まったのではない。
世界は崩れない。 その認識が、 最初の買い材料だった。
しかし、 この相場が本格的な上昇レジームへ変わるまでには、 まだ二つの大きな転換が必要でした。
一つは、 金融政策の再設計。
もう一つは、 米国政治が生み出したReflation。
次のPartでは、 Brexit、 日本銀行のYCC導入、 米大統領選、 Trump Reflation、 米長期金利上昇、 そして円安によって、 「悲観の修正相場」が 「世界成長を買う相場」 へ変化していく過程を整理します。
Part 2
Brexitは、相場を壊さなかった
2016年6月。
世界市場は、 再び大きな政治ショックに直面しました。
英国のEU離脱を問う 国民投票です。
市場では、 英国がEUに残留するとの期待も強くありました。
しかし結果は、 離脱でした。
Brexitです。
発表直後、 世界の金融市場では Risk Offが急速に強まりました。
株式が売られました。
ポンドが下落しました。
安全資産が買われました。
円にも 上昇圧力がかかりました。
一見すると、 チャイナショック調整が 再び始まるようにも見えました。
しかし、 重要だったのは その後です。
市場は、 Brexitを 世界金融システム崩壊へつながる ショックとは評価しませんでした。
中央銀行による 流動性供給への期待。
英国経済への影響の見極め。
欧州金融システムへの 即時的な連鎖危機が起きなかったこと。
こうした要因によって、 Risk Offは長期化しませんでした。
Brexitは、 大きな政治ショックだった。
しかし、
世界景気の回復そのものを 止めるショックにはならなかった。
ショックへの市場反応が変わり始めた
チャイナショック調整では、 悪材料が出るたびに 市場はRisk Offへ向かいました。
中国株。
人民元。
原油。
新興国。
世界のどこかで 不安が強まるたび、 円が買われ、 外国人投資家が 日本株を売り、 日本企業利益への 警戒が強まりました。
しかし、 2016年夏になると、 市場の反応が少しずつ変わります。
悪材料が出ても、 相場が長期間崩れない。
下落しても、 買い戻される。
政策対応への期待が 市場を支える。
そして、 景気指標の改善が 下値を支えるようになります。
つまり、 市場がショックを見るだけではなく、 ショックを吸収できる経済構造を 評価し始めた のです。
| チャイナショック調整 | 世界同時成長相場 |
|---|---|
| 悪材料 → Risk Off長期化 | 悪材料 → 一時下落 → 吸収 |
| 景気不安が主役 | 景気回復が下値を支える |
| 円高圧力 | 円高の持続性が低下 |
| 外国人売り | 外国人資金が戻り始める |
| 政策効果への疑念 | 政策と景気の両方を見る |
相場が強くなったのは、 ショックがなくなったからではない。
ショックがあっても、 相場が崩れなくなった。
日本銀行は「金利を下げる政策」から「金利を管理する政策」へ進んだ
日本では、 2016年1月に マイナス金利政策が導入されました。
しかし、 マイナス金利には 副作用も意識されました。
銀行収益。
金融仲介。
長期金利。
国債市場。
金融政策の持続性。
市場は、 単純に金利を下げ続ければ よいわけではない と考え始めました。
そこで日本銀行は、 金融政策の枠組みを さらに変化させます。
2016年9月、 長短金利操作付き 量的・質的金融緩和が導入されます。
いわゆる Yield Curve Control です。
YCCの重要性は、 単なる追加緩和ではありません。
金融政策の目的が、 「どれだけ国債を買うか」 から、
「どの金利水準を どのように維持するか」 へ変化したことです。
QQE
↓
資産買入拡大
↓
Negative Interest Rate
↓
短期金利マイナス
↓
副作用顕在化
↓
Yield Curve Control
↓
金利曲線全体を管理
YCCは「もっと下げる」政策ではなく、「持続できる緩和」への修正だった
マイナス金利政策では、 金利が下がり過ぎることで 金融機関の収益環境が悪化する という問題が表面化しました。
そのため、 金融政策には 新しい課題が生まれます。
緩和を続ける。
しかし、 金融システムの収益構造を 壊し過ぎない。
物価目標を維持する。
しかし、 政策そのものを 長期間続けられる形にする。
YCCには、 金融緩和の強度だけではなく、 金融緩和の持続可能性 という考え方が 含まれるようになります。
| マイナス金利 | YCC |
|---|---|
| 金利をさらに下げる | 金利曲線を管理する |
| 緩和強化 | 緩和の持続性も重視 |
| 銀行収益への懸念 | 長短金利バランスを意識 |
| 政策効果と副作用が衝突 | 副作用を管理しながら緩和継続 |
金融政策は、 「どこまで緩和できるか」 から、
「どれだけ長く、 緩和を続けられるか」 へ進んだ。
しかし、この相場を決定的に変えたのは米国だった
2016年秋まで、 世界株市場は 徐々に安定していました。
しかし、 相場の性格を 大きく変える出来事が起きます。
米国大統領選挙です。
ドナルド・トランプ氏の勝利によって、 市場は新しい政策を 一気に織り込み始めました。
減税。
インフラ投資。
規制緩和。
財政拡張。
これらへの期待です。
市場は、 米国経済の名目成長率が 高まる可能性を 価格へ織り込みました。
ここで、 Trump Reflation が始まります。
Trump Election
↓
Tax Cut Expectation
+
Infrastructure Spending Expectation
+
Deregulation Expectation
↓
US Growth Expectation
↓
Inflation Expectation
↓
US Long-term Yield Rise
↓
Dollar Strength
Trump Reflationは、円安を通じて日本株を加速させた
米国長期金利が上昇すると、 日米金利差への意識が強まります。
日本では、 YCCによって 長期金利を低い水準に 維持する政策が続いていました。
一方、 米国では 成長期待と物価期待の上昇によって 長期金利が上昇します。
この差が、 ドル高・円安方向への 力になります。
日本企業にとって、 円安は利益を押し上げる 重要な要因でした。
特に、 海外売上比率の高い企業では、 海外利益の円換算額が 増加します。
ここに、 世界需要回復が加わります。
つまり、 円安による換算効果 と 世界需要増加による数量効果 が、 同時に企業利益を押し上げる 環境が形成されました。
US Yield Rise
+
BOJ YCC
↓
Interest Rate Differential
↓
Yen Depreciation
↓
FX Translation Benefit
+
Global Demand Recovery
↓
EPS Expansion
↓
日本株上昇
アベノミクスでは、 円安が利益を変えた。
この相場では、
円安と世界需要が、 同時に利益を押し上げた。
市場の中心は「政策」から「景気敏感」へ移った
Trump Reflationによって、 市場の中心銘柄群も 変化しました。
政策期待だけではなく、 景気。
設備投資。
金利。
資源価格。
世界貿易。
これらの変化から 利益を得る企業が 注目されるようになります。
銀行。
証券。
商社。
機械。
FA。
半導体関連。
素材。
自動車。
いわゆる 景気敏感株への評価が 強まっていきました。
| 銘柄群 | 主要Driver | 市場が評価したもの |
|---|---|---|
| 銀行 | US Yield Rise / Reflation | 極端な金利低下への懸念後退 |
| 商社 | Commodity Recovery | 資源価格回復・利益改善 |
| FA・機械 | Global Capex Recovery | 世界設備投資拡大 |
| 半導体関連 | Technology / Capex Cycle | 半導体需要・設備投資 |
| 素材 | China / Global Manufacturing | 世界製造業回復 |
| 自動車 | Global Demand / Yen Depreciation | 世界販売・為替 |
| 証券 | Equity Risk On | 株式市場活況 |
「トランプ相場」だけでは、このフェーズを説明できない
2016年11月以降だけを見れば、 このフェーズを 「トランプ相場」 と呼びたくなります。
実際、 米大統領選後の 金利、為替、株式市場の変化は 非常に大きなものでした。
しかし、 世界同時成長相場は 2016年2月から始まっています。
中国景気安定化。
資源価格底入れ。
新興国不安後退。
Risk Appetite回復。
Brexitの吸収。
これらは、 米大統領選以前から 進んでいました。
Trump Reflationは、 相場の起点ではなく、 相場を加速させたDriver と考える方が 構造的には適切です。
Market Phase / Driverの分離
Market Phase: 世界同時成長相場
Acceleration Driver: Trump Reflation
フェーズ全体を 一つの政治イベントで説明せず、 そのイベントが どの段階で相場を加速したのかを 分離して考える。
2017年、世界製造業が同時に回復した
2017年に入ると、 世界経済の回復は より明確になります。
米国。
欧州。
中国。
日本。
新興国。
主要地域の景気が 同時に改善します。
特に重要だったのが、 製造業です。
設備投資。
機械受注。
電子部品。
半導体。
自動化。
世界的に 製造業の活動が強まりました。
この回復は、 世界貿易を通じて 日本企業へ直接伝わります。
US Recovery
+
European Recovery
+
China Stabilization
+
Emerging Market Recovery
↓
Global Manufacturing Expansion
↓
Global Trade Recovery
↓
Japan Export Expansion
↓
Corporate Revenue Growth
↓
EPS Expansion
日本企業にとって、世界同時成長は理想的な環境だった
日本企業は、 長い時間をかけて 海外売上比率を高めてきました。
生産拠点も 世界へ広がりました。
販売市場も 世界へ広がりました。
その結果、 日本企業は 国内景気だけでなく、 世界経済の成長を 利益へ取り込める構造になっていました。
世界同時成長では、 この企業構造が 最も強く機能します。
中国だけが強いのではない。
米国だけでもない。
欧州だけでもない。
複数地域で 同時に需要が増える。
地域分散された 日本企業の海外事業が、 複数市場から 同時に利益を得ることができます。
グローバル化は、 チャイナショックでは弱点だった。
しかし、 世界が同時に成長すると、
グローバル化そのものが 最大の強みになった。
Part2の結論
2016年春、 世界同時成長相場は まだ悲観の修正相場でした。
しかし、 その後の市場は 複数のショックを吸収します。
Brexit。
日本のマイナス金利副作用。
政治的不確実性。
それでも、 中国経済は安定し、 資源価格は底入れし、 世界製造業は回復しました。
日本銀行は、 YCCによって 金融政策を持続可能な形へ修正しました。
そして米大統領選後、 Trump Reflationによって 米長期金利が上昇し、 円安が進み、 日本株の上昇は さらに加速します。
ここで、 相場の性格が変わりました。
最初は、 「世界は崩れない」 という相場でした。
それが、 「世界は回復している」 へ変わります。
そして2017年には、
「世界が同時に成長している」 という確信へ進んでいきます。
ショックを吸収した市場は、 やがて 景気回復を買い始めた。
そして景気回復は、
世界同時成長へ変わった。
次のPartでは、 この世界同時成長が 日本企業の利益を どのように変えたのかを さらに掘り下げます。
半導体。
FA。
ロボット。
工作機械。
電子部品。
商社。
自動車。
そして、 世界的な設備投資サイクル。
「世界で稼ぐ日本企業」が、 なぜこの相場で 市場の中心になったのかを整理します。
Part 3
世界同時成長は、日本企業の「数量」を増やした
アベノミクス相場では、 円安が 日本企業利益を押し上げました。
海外で同じ利益を稼いでも、 円へ換算した金額が増える。
為替は、 企業利益を短期間で 大きく変えるDriverでした。
しかし、 世界同時成長相場では もう一つの変化が加わります。
実際に売れる数量が増えた。
工場が増える。
設備投資が増える。
半導体需要が増える。
電子部品需要が増える。
工作機械の受注が増える。
ロボット需要が増える。
自動車販売も伸びる。
世界経済の回復が、 日本企業の受注と売上へ 直接つながりました。
ここで、 日本企業利益の上昇構造が 変化します。
アベノミクス相場
↓
Yen Depreciation
↓
FX Translation Benefit
↓
EPS Recovery
━━━━━━━━━━
世界同時成長相場
↓
Global Demand Expansion
↓
Order Growth
↓
Volume Growth
↓
Revenue Growth
↓
Operating Leverage
↓
EPS Expansion
円安で利益が増えた相場から、
実際に物が売れて 利益が増える相場へ。
設備投資が、世界をつないだ
このフェーズで 特に重要だったのが、 世界的な設備投資サイクル です。
企業が将来需要に 自信を持つようになると、 工場を建てます。
生産能力を増やします。
設備を更新します。
自動化を進めます。
半導体を増産します。
物流設備を高度化します。
こうした投資は、 別の企業の売上になります。
工場を作れば、 工作機械が必要になります。
自動化すれば、 ロボットとFA機器が必要になります。
半導体を増産すれば、 半導体製造装置が必要になります。
電子機器を増産すれば、 電子部品需要が増えます。
つまり設備投資は、 需要が次の需要を生み出す 企業間の連鎖 を作ります。
Final Demand Recovery
↓
企業売上改善
↓
企業心理改善
↓
Capital Expenditure
↓
工作機械
+
FA
+
Robotics
+
Semiconductor Equipment
↓
さらなる生産能力拡大
FAは「人を減らす技術」ではなく、世界の工場を変える技術だった
FAとは、 Factory Automationです。
工場の自動化。
生産工程の効率化。
精密制御。
省人化。
品質安定化。
こうした技術を 組み合わせることで、 工場の生産性を 高めます。
2010年代になると、 FAの意味は 単なる人件費削減ではなくなっていました。
より高精度に作る。
より高速に作る。
不良品を減らす。
複雑な製品を 大量生産する。
生産ラインを 柔軟に変更する。
世界中の製造業が 高度化するほど、 日本企業が持つ 制御、センサー、モーター、 ロボット、工作機械技術への 需要が増えました。
Factory Automation
世界同時成長相場では、 FAは単なる景気敏感産業ではない。
世界製造業の高度化と 設備投資拡大を 同時に取り込む成長産業 として評価された。
FA・ロボット株は、世界設備投資の代理変数になった
FA企業の受注は、 世界製造業の設備投資動向を 比較的早く反映します。
そのため市場では、 FA企業の業績そのものだけではなく、 世界の工場が どれだけ投資しているのか を見る指標としても 注目されました。
ファナック。
安川電機。
SMC。
キーエンス。
その他、 制御機器や自動化関連企業。
こうした企業群は、 中国だけでも、 日本だけでもなく、 世界各地の設備投資から 需要を得る構造を持っていました。
だからこそ、 世界同時成長との相性が 非常に良かったのです。
| 企業群 | 需要Driver | 世界同時成長との接続 |
|---|---|---|
| FA | 工場自動化 | 世界設備投資拡大 |
| ロボット | 省人化・高精度化 | 製造業高度化 |
| 制御機器 | 生産ライン更新 | 設備更新需要 |
| センサー | 自動化・品質管理 | スマートファクトリー化 |
| 工作機械 | 生産能力増強 | 世界Capex Cycle |
半導体は、景気循環産業から社会インフラへ広がり始めた
このフェーズで、 もう一つ重要だった産業が 半導体です。
半導体需要は、 従来から景気循環の影響を 強く受けてきました。
パソコン。
携帯電話。
家電。
需要が増えれば 半導体生産が増える。
需要が減れば 在庫調整が起こる。
典型的な シクリカル産業です。
しかし2010年代後半には、 半導体を必要とする領域が さらに広がっていました。
スマートフォン。
データセンター。
クラウド。
自動車。
産業機器。
IoT。
AI関連計算。
社会のデジタル化そのものが 半導体需要を拡大させます。
つまり、 景気回復 と デジタル化 という二つのDriverが 重なりました。
世界景気が、 半導体需要を増やした。
しかし同時に、
世界そのものが 半導体を必要とする社会へ変わっていた。
半導体製造装置は、世界の投資意欲を映した
半導体需要が増えれば、 半導体メーカーは 生産能力を増強します。
新しい工場を作る。
新しい製造ラインを導入する。
より微細な製造技術へ移行する。
そのためには、 高度な半導体製造装置が必要です。
東京エレクトロン。
SCREENホールディングス。
アドバンテスト。
ディスコ。
その他の装置・検査・加工関連企業。
日本には、 半導体製造工程の 重要な部分を担う企業が 多数存在しています。
これらの企業は、 半導体需要そのものよりも、 半導体メーカーが 将来需要をどれほど強く見て 設備投資を行うか に敏感です。
Digital Demand
+
Global Growth
↓
Semiconductor Demand
↓
Capacity Expansion
↓
Semiconductor Capex
↓
Japanese Equipment Orders
↓
Revenue / EPS Expansion
世界同時成長とデジタル化が初めて強く重なった
ここには、 このフェーズの重要な特徴があります。
単なる循環景気回復だけではありません。
デジタル化という 長期構造変化も進んでいました。
スマートフォン。
クラウド。
データセンター。
半導体。
電子部品。
工場自動化。
センサー。
ロボット。
つまり、 Cyclical Growth と Structural Technology Growth が 同時に存在しました。
景気が良いから、 設備投資が増える。
同時に、 技術変化があるから 新しい設備が必要になる。
この二つが重なったことで、 設備投資関連企業の 利益成長が強くなりました。
| Cyclical Driver | Structural Driver |
|---|---|
| 世界景気回復 | デジタル化 |
| 企業売上増加 | クラウド |
| 設備投資拡大 | データセンター |
| 生産能力増強 | IoT |
| 世界貿易回復 | 工場自動化 |
| 在庫積み増し | 半導体搭載量増加 |
工作機械は、世界企業の「自信」を売る産業だった
企業は、 将来が不安なときには 大型設備投資を控えます。
新しい機械を導入する。
工場を増設する。
生産能力を増やす。
これらは、 数年先の需要を見込んで 行う投資です。
したがって、 工作機械需要の増加には、 企業が将来需要へ 自信を持っている という意味があります。
オークマ。
DMG森精機。
牧野フライス製作所。
その他の工作機械企業。
世界製造業が回復し、 設備投資意欲が高まるほど、 受注環境が改善します。
工作機械が売れるということは、
企業が、 未来の需要を信じているということだった。
商社は、資源価格回復と世界需要の両方を取り込んだ
チャイナショック調整では、 資源価格下落が 総合商社の利益を圧迫しました。
原油。
鉄鉱石。
石炭。
銅。
資源価格が下がれば、 資源権益の収益性も低下します。
しかし、 世界同時成長相場では この構造が逆回転します。
中国経済が安定する。
世界需要が回復する。
商品価格が底入れする。
資源事業の利益が改善する。
同時に、 商社が持つ 非資源事業にも 世界景気回復の恩恵が広がります。
つまり総合商社は、 Commodity Recovery と Global Growth Recovery の両方から利益を得る構造になります。
China Stabilization
+
Global Demand Recovery
↓
Commodity Price Recovery
↓
Resource Earnings Recovery
+
Non-resource Earnings Expansion
↓
Trading Company Re-rating
自動車は、世界需要と円安を同時に受け取った
自動車企業も、 世界同時成長の恩恵を 受けやすい企業群でした。
米国。
欧州。
中国。
アジア。
複数地域で 販売市場を持っています。
世界景気が同時に改善すれば、 地域分散された販売構造が 強みになります。
さらに、 Trump Reflation後の円安は、 海外利益の円換算額を 押し上げました。
つまり、 販売数量 と 為替 の二つが 利益へ作用しました。
| Driver | 自動車企業への作用 |
|---|---|
| US Expansion | 北米販売を支援 |
| China Stabilization | 中国販売への不安後退 |
| European Recovery | 欧州需要改善 |
| Yen Depreciation | 海外利益の円換算額改善 |
| Global Risk On | 輸出大型株の評価改善 |
中心銘柄群は「世界の設備投資」を映す企業へ移った
このフェーズの中心銘柄群を見ると、 共通点があります。
日本国内だけを 見ている企業ではありません。
世界の企業が投資するほど、 利益が増える企業 です。
| 中心銘柄群 | 代表例 | 主要Driver |
|---|---|---|
| FA・ロボット | ファナック、安川電機、SMCなど | Global Capex / Automation |
| 半導体製造装置 | 東京エレクトロン、SCREENなど | Semiconductor Capex |
| 半導体検査・加工 | アドバンテスト、ディスコなど | Chip Demand / Technology Cycle |
| 工作機械 | オークマ、DMG森精機など | Global Manufacturing |
| 電子部品 | 村田製作所、TDKなど | Digital Demand / Electronics |
| 総合商社 | 三菱商事、三井物産など | Commodity / Global Growth |
| 自動車 | トヨタ自動車、ホンダなど | Global Demand / FX |
上記は本フェーズの構造を説明するための代表的な中心銘柄群です。 個別銘柄の騰落率、指数寄与度、売買代金、 主導期間については、 今後の横断リライト時に市場データを用いて再検証します。
日本株は「日本経済」だけを買う市場ではなくなった
このフェーズには、 日本株を見るうえで 重要な意味があります。
日本株を買うことは、 必ずしも 日本国内景気だけを買うことではありません。
日本企業の中には、 世界中で売上を作り、 世界中の工場へ設備を供給し、 世界のデジタル化から利益を得る企業が 多数存在します。
そのため、 日本国内のGDP成長率が それほど高くなくても、 世界景気が強ければ 日本企業利益は大きく増えることがあります。
つまり、 日本株指数と 日本国内経済の間には、 完全な一対一対応はない。
この構造は、 世界同時成長相場で 非常に明確になりました。
Japan Equity ≠ Japan Domestic Economy
日本株には、 世界で稼ぐ企業が多く含まれる。
したがって日本株は、 国内景気だけではなく、 Global Earnings Cycle を価格へ反映する市場でもある。
「世界で稼ぐ企業」が最も評価された
チャイナショックでは、 世界と深くつながっている企業ほど 売られました。
中国需要。
世界設備投資。
資源価格。
為替。
Global Risk Off。
複数の悪材料が 利益へ同時に作用したからです。
世界同時成長相場では、 同じ企業構造が 逆方向へ働きます。
中国が安定する。
米国が成長する。
欧州も回復する。
世界製造業が拡大する。
設備投資が増える。
円安になる。
前フェーズで 最も傷ついたGlobal Exposureが、 今度は 最も強い利益Driverになります。
世界とのつながりは、 弱点ではなかった。
世界が弱いとき、 弱点に見えた。
世界が同時に成長すると、
そのつながりこそが、 日本企業の強さになった。
企業利益の質も変わった
円安による利益改善と、 需要増加による利益改善には 違いがあります。
円安による利益改善では、 為替が反転すれば 利益押し上げ効果も弱くなります。
一方、 需要そのものが増えている場合、 売上数量が増えます。
工場稼働率が上がります。
固定費負担が相対的に小さくなります。
利益率が改善します。
これが、 Operating Leverage です。
世界同時成長相場では、 数量増加と 稼働率上昇によって、 売上増加以上に 利益が増える企業も現れます。
Global Demand Growth
↓
Volume Growth
↓
Capacity Utilization Rise
↓
Fixed Cost Absorption
↓
Margin Expansion
↓
EPS Growth
売上が増えた。
しかし利益は、 それ以上に増えた。
世界同時成長は、 企業のOperating Leverageを 動かした。
Part3の結論
世界同時成長相場では、 日本企業利益のDriverが さらに進化しました。
アベノミクス相場では、 政策と円安が 企業利益を変えました。
しかし、 本フェーズでは、 世界需要そのものが 企業利益を押し上げます。
設備投資。
FA。
ロボット。
工作機械。
半導体。
電子部品。
自動車。
商社。
世界の成長が、 複数の産業を通じて 日本企業利益へ伝わりました。
特に重要だったのは、 Cyclical Growth と Structural Technology Growth が重なったことです。
世界景気が回復した。
同時に、 世界はデジタル化した。
企業は設備投資を増やした。
同時に、 工場を自動化した。
半導体需要が増えた。
同時に、 一台、一台の機器へ搭載される 半導体の量も増えていった。
日本企業は、 この二つの成長を 同時に取り込むことができました。
一つの国が、 日本企業を押し上げたのではない。
一つの政策でもない。
世界の工場、 世界の消費、 世界の投資、 世界のデジタル化が、 同時に日本企業の利益へ流れ込んだ。
しかし、 世界が同時に良くなるほど、 市場には 新しい前提が生まれます。
世界景気は強い。
企業利益は増える。
中央銀行は 急激には引き締めない。
ショックが起きても 市場はすぐ戻る。
ボラティリティは低い。
この確信が強くなったとき、 「世界同時成長」 そのものが新しいポジションになります。
次のPartでは、 Global Risk On、 外国人投資家、 低ボラティリティ、 企業利益拡大、 世界株高、 そして2017年後半に形成された 「何を買っても大きく崩れない」 という市場心理 を整理します。
ここから、 世界同時成長相場は 回復局面から 爛熟局面へ進み始めます。
Part 4
Global Risk On
2017年になると、 世界同時成長相場は 新しい段階へ入りました。
中国経済は安定しました。
米国経済は拡大を続けました。
欧州景気も改善しました。
日本企業の利益も 増加しました。
世界製造業は拡大し、 世界貿易も回復しました。
そして市場参加者は、 世界景気の回復は 一時的なものではない と考え始めます。
ここで、 相場を動かすDriverは Tail Risk Reduction から、 Global Risk On へ変わりました。
悪い未来を 織り込まなくなるだけではない。
良い未来を 積極的に買い始める。
これが、 2017年の市場です。
Global Stabilization
↓
Global Growth Recovery
↓
Earnings Expansion
↓
Risk Appetite Improvement
↓
Global Risk On
↓
Equity Inflow
↓
Valuation Expansion
外国人投資家は、再び日本株を買った
チャイナショック調整では、 外国人投資家は 日本株の大きな売り主体になりました。
しかし、 世界景気が回復し、 Risk Appetiteが改善すると、 海外資金は 再び日本株へ向かいます。
理由は明確でした。
日本企業の利益が 伸びている。
世界景気の恩恵を 受ける企業が多い。
企業統治改革も 続いている。
配当や自社株買いも 企業評価の重要な要素になっている。
さらに、 円安が企業利益を支える局面もありました。
外国人投資家から見れば、 日本株は 世界景気拡大を買うための 有力な市場 になりました。
| 外国人投資家が評価したもの | 市場への意味 |
|---|---|
| 世界景気拡大 | 輸出・製造業利益の増加 |
| 円安 | 海外利益の円換算額改善 |
| EPS Expansion | 株価上昇の利益裏付け |
| 企業統治改革 | 日本株の長期評価改善 |
| 株主還元 | 配当・自社株買いへの期待 |
| 世界Risk On | 日本株への資金配分増加 |
外国人投資家が買ったのは、 日本だけではない。
日本株を通じて、 世界成長を買った。
企業利益が、株価上昇を正当化した
政策期待だけで 株価が上昇している相場では、 利益がついてこなければ やがて評価倍率が高くなります。
しかし、 世界同時成長相場では、 企業利益そのものが 拡大しました。
受注が増える。
売上が増える。
稼働率が上がる。
利益率が改善する。
EPSが増える。
株価が上がっても、 利益も同時に増えていれば、 PERの上昇は ある程度抑えられます。
つまり、 相場は単なる期待相場ではなく、 Earnings Driven Market へ進みました。
Global Demand
↓
Sales Growth
↓
Operating Leverage
↓
EPS Growth
↓
Share Price Growth
↓
Valuation Justification
「株価が上がったから強い」のではなく、「利益が増えたから強かった」
世界同時成長相場を 2013年のアベノミクス初期と比較すると、 株価上昇の質が異なります。
アベノミクス初期では、 政策期待。
円安期待。
デフレ脱却期待。
日本株再評価。
将来の変化を 先に買う相場でした。
世界同時成長相場では、 企業利益が 実際に拡大しました。
だからこそ、 株価上昇は より実体経済と結び付いていました。
| アベノミクス初期 | 世界同時成長相場 |
|---|---|
| 期待先行 | 利益確認 |
| 政策Repricing | Earnings Expansion |
| FX効果が大きい | 需要・数量効果が大きい |
| 未来を買う | 成長を確認して買う |
| Re-rating | Earnings + Re-rating |
この相場の強さは、 株価そのものではない。
利益が、 株価についてきたことだった。
世界株高が、日本株をさらに押し上げた
世界同時成長は、 日本株だけのテーマではありません。
米国株。
欧州株。
新興国株。
世界各地で 企業利益改善への期待が強まりました。
その結果、 株式という資産クラス全体へ 資金が向かいます。
グローバル投資家は、 どの国を買うか という判断だけではなく、
株式そのものを どれだけ持つか という資産配分判断をします。
世界景気が強く、 企業利益が増え、 金融危機の懸念が小さい。
この環境では、 株式比率を高める判断が 合理的になります。
日本株も、 この世界的なEquity Risk Onの 一部になりました。
Global Growth
↓
Global Earnings Growth
↓
Equity Risk Premium Compression
↓
Global Equity Allocation Increase
↓
US / Europe / Japan / EM Equity Rise
低ボラティリティが、新しい安心を作った
2017年の市場では、 もう一つ重要な特徴がありました。
ボラティリティの低下 です。
株価は上昇する。
しかし、 大きく下落する日が少ない。
政治イベントが起きても、 下落が長続きしない。
中央銀行も 急激な引き締めを避ける。
企業利益も改善する。
市場参加者は次第に、 大きな下落は起きにくい と感じるようになります。
この認識は、 さらにRisk Takingを促します。
Strong Growth
+
Stable Monetary Policy
+
Earnings Growth
↓
Low Volatility
↓
Risk Taking
↓
Equity Buying
↓
Further Volatility Suppression
相場が上がったから、 安心した。
安心したから、 さらにリスクを取った。
低ボラティリティそのものが、 新しい買い材料になった。
「何が起きても戻る」という経験が積み上がった
2016年以降、 市場は複数の政治・政策イベントを経験しました。
Brexit。
米大統領選。
欧州政治不安。
北朝鮮情勢。
米国金融政策正常化。
それでも、 世界株市場は 大きな上昇トレンドを維持しました。
一つのショックで 価格が下がっても、 企業利益が強ければ 市場は戻る。
中央銀行も 急激な金融引き締めを避ける。
この経験が繰り返されるほど、 市場参加者は 「下がれば買えばよい」 という行動を強めます。
Buy the Dip。
押し目買いです。
この行動が、 さらに下落を短くします。
Buy the Dip Regime
ショック
↓
株価下落
↓
押し目買い
↓
価格回復
↓
「下落は買い場」という学習
低ボラティリティは「リスクがない」ことを意味しない
ここで、 重要な区別があります。
ボラティリティが低いことと、 リスクが小さいことは 同じではありません。
価格変動が小さい。
だから安全。
そう見えることがあります。
しかし、 価格変動が小さい環境が続くほど、 市場参加者は より大きなポジションを 持てるようになります。
レバレッジを増やす。
株式比率を上げる。
ヘッジを減らす。
ボラティリティ売り戦略を増やす。
すると、 市場表面の変動は小さくても、 内部のポジションは大きくなる ことがあります。
| 表面 | 内部 |
|---|---|
| 低ボラティリティ | Risk Position拡大 |
| 下落が小さい | 押し目買いポジション増加 |
| 市場安定 | ヘッジ需要低下 |
| 安心感 | レバレッジ許容度上昇 |
| 価格変動低下 | 変動率上昇時の感応度増大 |
市場が静かだから、 リスクが消えたのではない。
静かな市場だからこそ、 より多くのリスクを取れるようになった。
世界同時成長への確信が、ポジションになった
2016年初め、 市場は 世界経済の崩壊を恐れていました。
2016年後半には、 世界経済の安定を評価しました。
2017年には、 世界経済の回復を買いました。
そして2017年後半になると、 市場は 世界同時成長が続くこと を前提として ポジションを作るようになります。
製造業は強い。
半導体需要も強い。
設備投資も強い。
中国経済も安定している。
米国も成長している。
欧州も回復している。
日本企業利益も増えている。
中央銀行は 急激には引き締めない。
この認識が 市場参加者の共通前提へ 近づいていきました。
Global Growth Confidence
↓
Earnings Confidence
↓
Low Volatility Confidence
↓
Risk Position Expansion
↓
Equity Re-rating
↓
Synchronized Growth Consensus
市場心理は「恐怖」から「確信」へ移った
このフェーズのHuman Phaseを考えると、 市場心理の変化は 非常に明確です。
2016年2月。
世界は崩れるかもしれない。
2016年春。
世界は崩れないかもしれない。
2016年後半。
世界は回復しているかもしれない。
2017年。
世界は確かに回復している。
2017年後半。
世界は同時に成長している。
この変化が、 市場心理を Fear から Confidence へ移しました。
| 段階 | Human Interpretation |
|---|---|
| 2016年2月 | 世界は崩れるかもしれない |
| 2016年春 | 世界は崩れないかもしれない |
| 2016年後半 | 世界は回復している |
| 2017年前半 | 世界成長は続く |
| 2017年後半 | 世界が同時に良くなっている |
確信が強くなるほど、次の脆弱性も大きくなった
強い相場には、 強い理由があります。
しかし、 その理由が すべての市場参加者に共有されたとき、 相場には 別のリスクが生まれます。
誰もが 世界景気拡大を予想する。
誰もが 企業利益成長を予想する。
誰もが 低ボラティリティを予想する。
誰もが 下落は買い場だと考える。
すると市場では、 同じ方向のポジション が増えます。
その状態では、 世界景気が悪化しなくても、 「良くなる速度が鈍る」 だけで 価格調整が起こる可能性があります。
Strong Growth
↓
Growth Consensus
↓
Crowded Positioning
+
Low Volatility
↓
High Risk Exposure
↓
Sensitivity to Surprise
悪いニュースがなくても、 相場は下がる。
良いニュースが、 期待ほど良くなくなるだけでも 十分だからだ。
Part4の結論
世界同時成長相場は、 2017年に入ると 本格的なGlobal Risk Onへ進みました。
企業利益が増えました。
世界株が上昇しました。
外国人投資家は 日本株へ戻りました。
低ボラティリティが続きました。
ショックが起きても、 市場は短期間で回復しました。
その経験が、 「下落は買い場」 という市場行動を 強化しました。
そして、 世界同時成長は 単なる経済状態ではなく、 市場参加者が共有する 一つの確信 になりました。
ここまで来ると、 相場は初期とは まったく異なる状態です。
2016年2月には、 世界経済崩壊を 恐れていました。
2018年1月には、 世界経済拡大を 当然の前提として 取引するようになっていました。
FearからConfidenceへ。
そして、 ConfidenceからConsensusへ。
この変化が、 世界同時成長相場を 爛熟へ近づけました。
最初は、 「世界は崩れない」 だけで十分だった。
最後には、
「世界は成長し続ける」 ことまで前提になった。
次のPartでは、 本フェーズのRegime Driversを 整理します。
China Stabilization。
Commodity Recovery。
Global Manufacturing Expansion。
Global Trade Recovery。
Trump Reflation。
YCC。
Yen Depreciation。
Global Capex Cycle。
Semiconductor Cycle。
EPS Expansion。
Foreign Equity Inflow。
Low Volatility。
これらがどのように 一つの相場レジームへ結び付いたのかを 整理します。
そして、 本フェーズの成功条件が 次の調整フェーズで どのような脆弱性へ変わるのかも 明確にします。
Part 5
Regime Drivers
世界同時成長相場では、 一つのDriverだけが 市場を動かしたわけではありません。
中国安定化。
資源価格回復。
米国景気拡大。
欧州景気回復。
世界製造業拡大。
世界貿易回復。
Trump Reflation。
YCC。
円安。
設備投資拡大。
半導体需要。
企業利益拡大。
外国人資金流入。
低ボラティリティ。
これらが相互に作用しました。
重要なのは、 世界景気の改善が 企業利益と資金フローを 同時に強化した ことです。
つまり、 景気と市場が 同じ方向へ動く 自己強化的なレジームが形成されました。
Global Drivers
| Driver | 構造 | 日本株への作用 |
|---|---|---|
| China Stabilization | 中国景気・信用不安の後退 | 中国関連企業と世界景気への悲観を修正 |
| Commodity Recovery | 原油・資源価格の底入れ | 商社・資源関連利益と新興国心理を改善 |
| US Expansion | 米国景気拡大 | 世界需要と日本企業海外売上を支援 |
| European Recovery | 欧州景気の回復 | 世界需要を地域的に分散・強化 |
| Emerging Market Recovery | 新興国景気と資金フロー安定 | Global Risk Appetiteを改善 |
| Global Manufacturing Expansion | 世界製造業拡大 | FA・機械・電子部品・素材需要を押し上げ |
| Global Trade Recovery | 世界貿易回復 | 輸出数量と企業売上を改善 |
| Global Capex Cycle | 世界設備投資拡大 | 工作機械・FA・半導体製造装置を支援 |
| Semiconductor Cycle | 半導体需要と設備投資拡大 | 半導体関連企業の利益成長を加速 |
| Global Risk On | 世界株式への資金配分増加 | 外国人投資家の日本株買いを支援 |
Policy Drivers
| Driver | 構造 | 市場への作用 |
|---|---|---|
| BOJ YCC | 長短金利操作付き量的・質的金融緩和 | 日本の長期金利を低位に抑え、金融環境を安定 |
| Fed Gradual Normalization | 米国金融政策正常化 | 景気の強さを示しつつ、急激なRisk Offを回避 |
| ECB Accommodation | 欧州金融緩和継続 | 欧州景気回復と金融環境を支援 |
| Trump Reflation | 減税・財政拡張・規制緩和期待 | 米成長期待・金利上昇・ドル高を誘発 |
| Policy Coordination Perception | 主要中央銀行が急激な政策転換を避けるとの期待 | 低ボラティリティとRisk Takingを支援 |
Domestic Drivers
| Driver | 構造 | 市場への作用 |
|---|---|---|
| Yen Depreciation | 日米金利差とドル高 | 海外利益の円換算額を押し上げ |
| Export Recovery | 世界需要・貿易回復 | 輸出数量と売上を増加 |
| EPS Expansion | 数量・為替・稼働率上昇 | 株価上昇に利益面の裏付け |
| Operating Leverage | 稼働率上昇と固定費吸収 | 売上増加以上の利益成長を生む |
| Corporate Governance Continuation | ROE・株主還元・資本効率改革 | 日本株の長期評価を支援 |
| Foreign Equity Inflow | 世界成長を買う海外資金 | 日本株需給を改善 |
| Low Volatility | 安定相場と押し目買い | リスク許容度を高める |
Driver Interaction
China Stabilization
+
Commodity Recovery
+
US Expansion
+
European Recovery
↓
Global Manufacturing Expansion
↓
Global Trade Recovery
↓
Global Capex Cycle
+
Semiconductor Cycle
↓
Japan Export Recovery
↓
Volume Growth
+
Yen Depreciation
↓
Operating Leverage
↓
EPS Expansion
↓
Foreign Equity Inflow
↓
Global Risk On
↓
Low Volatility
↓
Further Risk Taking
このフェーズでは「景気」と「市場」が互いを強化した
世界同時成長相場では、 景気が株価を押し上げました。
しかし、 株価上昇もまた 企業や投資家の心理を改善しました。
株価が上がる。
企業価値が上がる。
資金調達環境が改善する。
企業心理が改善する。
設備投資が増える。
さらに利益が増える。
市場と実体経済の間に 好循環が生まれます。
Global Growth
↓
Corporate Earnings
↓
Equity Price Rise
↓
Corporate Confidence
↓
Capital Expenditure
↓
Further Growth
景気が株価を押し上げた。
そして株価が、
企業の成長への自信を さらに強めた。
machine_phase
machine_phaseでは、 「世界同時成長」という 人間的な歴史名称を 直接判定するのではありません。
観測するのは、 景気。
製造業。
貿易。
設備投資。
資源価格。
半導体。
為替。
EPS。
海外資金。
ボラティリティ。
こうした市場構造です。
これらが 同じ方向へ揃ったとき、 Human Phaseとして 「世界同時成長相場」 と解釈します。
machine_phase一覧
| machine_phase | 主な観測対象 | 構造的意味 |
|---|---|---|
| Risk Exhaustion | 株価・信用・ポジション | チャイナショック悲観の一巡 |
| China Stabilization | 中国景気・人民元・信用 | 中国ハードランディング確率低下 |
| Commodity Recovery | 原油・金属・資源 | 資源国・信用不安後退 |
| Risk Appetite Recovery | 株式・新興国・信用市場 | Global Risk Offの巻き戻し |
| Political Shock Absorption | Brexitなど政治イベント後の市場反応 | ショックが長期下落へ発展しなくなる |
| Yield Curve Stabilization | 日本国債・長短金利 | YCCによる金融政策の持続性改善 |
| Reflation Repricing | 米長期金利・ドル・景気敏感株 | Trump Reflationによる名目成長期待上昇 |
| Global Manufacturing Expansion | 製造業・受注・生産 | 世界製造業の同時拡大 |
| Global Trade Expansion | 輸出入・貿易量 | 世界需要の地域横断的拡大 |
| Global Capex Expansion | 設備投資・工作機械・FA | 企業の将来需要への自信上昇 |
| Semiconductor Expansion | 半導体需要・装置受注 | 景気循環とデジタル化の重複 |
| EPS Expansion | 企業利益・業績修正 | 数量と稼働率を伴う利益拡大 |
| Foreign Capital Inflow | 海外投資家売買 | 世界成長を買う日本株需要 |
| Low Volatility | 株価変動率・オプション市場 | 安定相場への確信 |
| Growth Consensus | 市場予想・ポジション・株価 | 世界同時成長が共通前提になる |
machine_phase Flow
Risk Exhaustion
↓
China Stabilization
+
Commodity Recovery
↓
Risk Appetite Recovery
↓
Political Shock Absorption
↓
Yield Curve Stabilization
↓
Reflation Repricing
↓
Global Manufacturing Expansion
↓
Global Trade Expansion
↓
Global Capex Expansion
+
Semiconductor Expansion
↓
EPS Expansion
↓
Foreign Capital Inflow
↓
Low Volatility
↓
Growth Consensus
世界同時成長相場は、内部で四段階に進化した
2016年2月から 2018年1月までを、 最初から最後まで 同じ相場状態として見ることはできません。
悲観修正。
安定化。
Reflation。
世界同時成長。
相場を支配するDriverは 段階的に変化しました。
| 段階 | 主要machine_phase | 市場状態 |
|---|---|---|
| 第1段階 | Risk Exhaustion / China Stabilization | 世界同時悪化への悲観を修正 |
| 第2段階 | Political Shock Absorption / Yield Curve Stabilization | Brexitなどのショックを吸収し政策不安が後退 |
| 第3段階 | Reflation Repricing / Global Manufacturing Expansion | Trump Reflationと世界製造業回復で景気敏感相場へ |
| 第4段階 | EPS Expansion / Low Volatility / Growth Consensus | 世界同時成長と利益拡大が市場の共通前提へ |
世界は崩れない
↓
世界は安定している
↓
世界は回復している
↓
世界は同時に成長している
↓
世界成長は続く
成功条件が、次の脆弱性を作り始めた
世界同時成長相場には、 非常に強い成功条件がありました。
世界景気が強い。
企業利益が増える。
資源価格が安定する。
金融政策が急激には引き締まらない。
株価が上がる。
ボラティリティが低い。
押し目は買われる。
しかし、 これらが長期間続くほど、 市場はその状態を 当然の前提として ポジションへ組み込みます。
すると、 相場を壊すために 世界景気の崩壊は必要なくなります。
インフレ率が 少し高くなる。
長期金利が 少し速く上がる。
中央銀行の引き締めが 少し速くなる。
貿易政策に 不確実性が生まれる。
世界成長率が 期待より少し鈍る。
それだけでも、 ポジション調整が 大きくなる可能性があります。
| 成功条件 | 次の脆弱性 |
|---|---|
| Strong Global Growth | Growth Slowdown Surprise |
| Low Inflation | Inflation Upside Surprise |
| Low Interest Rates | Yield Rise |
| Low Volatility | Volatility Shock |
| Global Trade Expansion | Trade Friction |
| Foreign Equity Inflow | Global Portfolio De-risking |
| Semiconductor Expansion | Technology Cycle Adjustment |
| Growth Consensus | Crowded Position Unwind |
世界が良くなったことが、 問題なのではない。
世界が良いことを、 誰もが当然だと思い始めたことが 次のリスクになった。
Part5の結論
世界同時成長相場では、 世界景気、 企業利益、 資金フロー、 市場心理が 同じ方向へ動きました。
中国の安定化が Tail Riskを減らしました。
資源価格回復が 新興国と信用市場を安定させました。
Brexitを市場が吸収しました。
YCCが 日本の金融政策を安定させました。
Trump Reflationが 米国の名目成長期待を高めました。
世界製造業が拡大しました。
世界貿易が回復しました。
設備投資が増えました。
半導体需要が拡大しました。
日本企業のEPSが増えました。
外国人投資家が 日本株へ戻りました。
そして、 低ボラティリティが さらにRisk Takingを促しました。
この結果、 2016年2月の 「世界は崩れるかもしれない」 という市場から、 2018年1月の 「世界は成長し続ける」 という市場へ変化しました。
しかし、 レジームが成熟するとは、 その成功条件が 市場の共通前提になることでもあります。
世界成長。
低金利。
低インフレ。
低ボラティリティ。
自由貿易。
これらが 当然だと思われるほど、 小さな変化への 市場の感応度は高くなります。
世界は、 同時に良くなった。
そして最後には、
世界が良いことそのものが、 市場の最大の前提になった。
次の最終Partでは、 MHDB Classification、 Human Phase、 このフェーズの歴史的位置、 2018年1月23日を なぜ終了日とするのか、 次フェーズへの接続、 そして記事全体の総括を行います。
Part 6
MHDB Classification
Market History DBでは、 世界同時成長相場を 単なる株価上昇として分類しません。
このフェーズで重要なのは、 世界景気、 企業利益、 資金フロー、 政策、 市場心理が 同じ方向へ揃ったことです。
中国は安定しました。
資源価格は底入れしました。
米国景気は拡大しました。
欧州景気も回復しました。
世界製造業は強くなりました。
世界貿易も回復しました。
設備投資が増えました。
半導体需要も拡大しました。
日本企業の輸出と売上が増えました。
そして、 企業利益が増えました。
市場参加者は、 世界景気の回復は 一時的ではない と考えるようになります。
この確信が、 外国人資金、 低ボラティリティ、 押し目買い、 株式への資産配分拡大を さらに強化しました。
| 分類項目 | MHDB Classification |
|---|---|
| market_phase | 世界同時成長相場 |
| 期間 | 2016-02-15 – 2018-01-23 |
| 基本性格 | Synchronized Global Growth / Global Earnings Expansion |
| 初期状態 | Risk Exhaustion / Pessimism Reversal |
| 中期状態 | Global Stabilization / Reflation Repricing |
| 成熟状態 | Global Manufacturing Expansion / EPS Expansion / Low Volatility |
| 主要Global Driver | China Stabilization / Commodity Recovery / US Expansion / European Recovery / Global Trade |
| 主要Domestic Driver | Export Recovery / Yen Depreciation / Operating Leverage / EPS Expansion |
| Policy Driver | BOJ YCC / Fed Gradual Normalization / ECB Accommodation / Trump Reflation |
| Human Theme | 世界が、同時に良くなった |
| Phase End | 世界同時成長・低ボラティリティ・利益成長が市場の共通前提へ達し、次に金利・インフレ・ボラティリティ・貿易政策への感応度が高まる |
Human Phase
machine_phaseは、 市場で観測できる構造です。
Risk Exhaustion。
China Stabilization。
Commodity Recovery。
Risk Appetite Recovery。
Reflation Repricing。
Global Manufacturing Expansion。
Global Trade Expansion。
Global Capex Expansion。
Semiconductor Expansion。
EPS Expansion。
Foreign Capital Inflow。
Low Volatility。
Growth Consensus。
これらを機械的に観測し、 その連鎖へ 歴史的な意味を与えたものが 「世界同時成長相場」 です。
Human Phaseとして見れば、 市場心理は 一方向に進みました。
世界は崩れるかもしれない。
↓
世界は崩れないかもしれない。
↓
世界は回復している。
↓
世界は同時に成長している。
↓
世界成長は続く。
この変化こそが、 本フェーズのHuman Phaseです。
最初に市場が買ったのは、 成長ではなかった。
世界は崩れない。
その確信が、 やがて 世界は成長し続ける という確信へ変わった。
なぜ「世界同時成長相場」なのか
このフェーズは、 「トランプ相場」 と呼ぶこともできます。
あるいは、 「リフレ相場」 「世界景気拡大相場」 「景気敏感株相場」 と呼ぶこともできます。
しかし、 Market History DBでは 「世界同時成長相場」 とします。
理由は、 この相場の中心が 一つの政治イベントでも、 一つの国でもないからです。
米国。
欧州。
日本。
中国。
新興国。
複数地域の景気が 同時に改善しました。
製造業も強くなりました。
貿易も回復しました。
設備投資も増えました。
企業利益も増えました。
Trump Reflationは、 重要なAcceleration Driverでした。
しかし、 フェーズそのものの起点ではありません。
Brexitも、 YCCも、 米大統領選も、 すべてこの相場を構成する 重要なイベントですが、 一つのイベントだけでは フェーズ全体を説明できません。
複数地域の景気拡大が 同時に重なり、 世界需要そのものが 日本企業利益を押し上げた。
これが、 この名称を採用する理由です。
アベノミクス相場との違い
アベノミクス相場と 世界同時成長相場は、 どちらも 日本株が大きく上昇したフェーズです。
しかし、 Driverは異なります。
| 構造 | アベノミクス相場 | 世界同時成長相場 |
|---|---|---|
| 起点 | 国内政策転換 | 世界景気回復 |
| 主要Driver | Policy Repricing | Global Growth |
| 為替 | 円安が利益を押し上げ | 円安+世界需要が利益を押し上げ |
| 企業利益 | 為替効果が大きい | 数量・売上・稼働率効果が強い |
| 市場評価 | 日本の変化を買う | 世界成長を日本株で買う |
| 中心銘柄 | 政策・円安恩恵株 | FA・半導体・機械・景気敏感株 |
| Human Theme | 政策が、未来の価格を変えた | 世界が、同時に良くなった |
アベノミクスでは、 日本が変わった。
世界同時成長では、
世界が変わったことを、 日本企業が利益へ変えた。
チャイナショック調整との対称性
世界同時成長相場は、 前フェーズである チャイナショック調整と 非常に強い対称性を持ちます。
チャイナショックでは、 中国が弱くなりました。
資源価格が下がりました。
世界Risk Offが進みました。
円高になりました。
外国人投資家が日本株を売りました。
企業利益への懸念が強まりました。
世界同時成長相場では、 同じ経路が 逆方向へ動きます。
チャイナショック調整
↓
China Slowdown
↓
Commodity Decline
↓
Global Risk Off
↓
Yen Appreciation
↓
Foreign Selling
↓
EPS Concern
━━━━━━━━━━
世界同時成長相場
↓
China Stabilization
↓
Commodity Recovery
↓
Global Risk On
↓
Yen Depreciation
↓
Foreign Buying
↓
EPS Expansion
世界とのつながりが、 日本株を下げた。
そして次には、
同じ世界とのつながりが、 日本株を押し上げた。
なぜ2018年1月23日までなのか
Market History DBでは、 世界同時成長相場の終了日を 2018年1月23日とします。
この日を境界とする理由は、 世界景気が突然悪化したからではありません。
企業利益が 急激に悪化したからでもありません。
半導体需要が 突然消えたわけでもありません。
重要なのは、 相場を上昇させてきた 主要Driverが 極めて強く市場へ織り込まれたことです。
世界景気は強い。
企業利益は増える。
製造業は拡大する。
世界貿易も伸びる。
設備投資も強い。
低ボラティリティは続く。
押し目は買われる。
これらが、 市場の共通認識へ近づきました。
ここで市場の価格決定力は、 「世界景気が良いか」 だけではなく、 その良い状態が どこまで続くのか へ移ります。
そして、 次に重要になるのは、 インフレ。
米長期金利。
金融政策正常化。
ボラティリティ。
貿易政策。
これまで相場を支えていた 低金利・低ボラティリティ・自由貿易という前提を 揺らすDriverです。
フェーズ終了条件
世界景気が悪化したことではない。
世界同時成長、 企業利益拡大、 低ボラティリティ、 Risk Onが 市場へ十分に織り込まれ、 価格決定の中心が 成長そのものから 金利・インフレ・政策・ボラティリティへ 移り始める条件が形成されたこと である。
Phase End Signal
China Stabilization
↓
Global Growth Recovery
↓
Manufacturing Expansion
↓
Trade Expansion
↓
Capex Expansion
↓
EPS Expansion
↓
Global Risk On
↓
Low Volatility
↓
Growth Consensus
━━━━━━━━━━
Inflation / Yield / Volatility / Trade
↓
次フェーズ
このフェーズが残したもの
世界同時成長相場は、 日本株に いくつかの重要な構造を残しました。
第一に、 日本株はGlobal Earnings Cycleを 強く反映する市場である ということです。
国内GDPだけではなく、 世界製造業、 世界貿易、 中国、 米国、 欧州、 半導体、 設備投資によって 企業利益は大きく変わります。
第二に、 円安だけではない利益成長 です。
輸出数量。
受注。
稼働率。
Operating Leverage。
需要増加によって 利益が増える構造が 明確になりました。
第三に、 半導体・FA・自動化が 日本株の重要な構造テーマへ 成長した ことです。
これは、 単なる2017年の景気循環では終わりません。
デジタル化。
クラウド。
データセンター。
工場自動化。
半導体搭載量増加。
その後の日本株にも続く 長期構造になります。
第四に、 低ボラティリティそのものが Risk Takingを増やす という市場構造です。
安定した市場は、 安全に見えます。
しかし、 安全に見えるほど 市場参加者は より大きなリスクを取ります。
この構造は、 次の局面で重要になります。
| 残した構造 | その後への意味 |
|---|---|
| Global Earnings Sensitivity | 世界景気が日本企業利益の主要Driverへ |
| Volume-driven Earnings | 為替だけでなく実需による利益成長 |
| FA / Automation | 工場自動化が長期成長テーマへ |
| Semiconductor Exposure | 日本株のTechnology Cycle感応度上昇 |
| Foreign Flow | Global Risk On / Offへの感応度継続 |
| Low Volatility Positioning | Volatility上昇時のポジション調整リスク |
| Growth Consensus | 成長鈍化Surpriseへの感応度上昇 |
世界同時成長相場の歴史的位置
日本株相場史の中で見ると、 世界同時成長相場には 重要な意味があります。
バブル相場ではありません。
金融危機後の 救済相場でもありません。
国内政策だけで 押し上げられた相場でもありません。
世界経済の実際の拡大が、 日本企業利益へ 直接流れ込んだ相場 です。
日本企業は、 1990年代のバブル崩壊以降、 長い時間をかけて 財務体質を改善しました。
海外へ進出しました。
企業統治を改善しました。
資本効率を意識するようになりました。
そして、 世界経済が同時に拡大したとき、 それらの企業構造が 利益として表面化しました。
つまり、 この相場は 単なる世界景気回復ではありません。
世界で稼ぐ企業へ変化してきた 日本企業の構造が、 世界同時成長によって 最も強く報われたフェーズ だったと言えます。
日本企業が、 世界へ出ていった。
そして世界が、 同時に成長した。
そのとき初めて、
日本企業のグローバル化が 相場全体の強さになった。
次のフェーズへ
2018年1月。
世界景気は 依然として強く見えました。
企業利益も 良好でした。
製造業も 強い状態でした。
しかし、 相場では別のDriverが 力を持ち始めます。
米国景気が強ければ、 賃金も上がる。
物価も上がる。
物価が上がれば、 金利も上がる。
金利が上がれば、 株式の評価倍率に 影響します。
低ボラティリティを前提に 積み上がったポジションも、 ボラティリティが上昇すれば 縮小を迫られます。
さらに、 世界貿易そのものにも 新しい政治リスクが近づいていました。
つまり、 次に市場が問うのは、 世界は成長するか ではありません。
世界が成長する中で、 金利・インフレ・政策は どう変わるのか。
という問題です。
Strong Growth
↓
Wage / Inflation Pressure
↓
Yield Rise
↓
Valuation Pressure
+
Volatility Repricing
+
Trade Policy Risk
↓
次のフェーズへ
総括
2016年2月15日から 2018年1月23日まで。
世界同時成長相場は、 世界景気が 最初から強かった相場ではありません。
チャイナショックによって 悲観が極端になったところから 始まりました。
中国は、 市場が恐れたほど 悪化しませんでした。
資源価格は 底入れしました。
新興国への不安も 後退しました。
Brexitという政治ショックも 市場は吸収しました。
日本銀行は YCCへ移行しました。
米大統領選後には Trump Reflationが 世界市場を加速させました。
そして2017年。
米国。
欧州。
日本。
中国。
新興国。
主要地域の景気が 同じ方向へ改善しました。
世界製造業が拡大しました。
世界貿易も増えました。
設備投資が増えました。
半導体需要も拡大しました。
日本企業の輸出が増えました。
売上が増えました。
稼働率が上がりました。
Operating Leverageが働きました。
EPSが拡大しました。
外国人投資家は 再び日本株を買いました。
低ボラティリティが さらにRisk Takingを促しました。
こうして市場は、 「世界は崩れる」 という恐怖から、
「世界は成長し続ける」 という確信へ変化しました。
しかし、 その確信が 市場全体の共通前提になったとき、 相場は新しい段階へ入ります。
次に重要になるのは、 世界景気そのものではありません。
金利。
インフレ。
ボラティリティ。
金融政策正常化。
そして貿易政策。
世界同時成長が成功したからこそ、 その成功が 別のDriverを生み出しました。
チャイナショックでは、 世界とのつながりが 日本株を下げた。
しかしその後、 中国は安定した。
米国は成長した。
欧州も回復した。
世界の工場が動いた。
設備投資が増えた。
半導体が売れた。
世界貿易が増えた。
そして、 世界で稼ぐ日本企業の 利益が増えた。
世界が、同時に良くなった。
だから日本株も強くなった。
しかし最後には、 世界が良いことまで 市場の前提になった。
そして相場は、 次の問いへ進む。
世界が強いなら、 金利はどこまで上がるのか。
参考資料
- 日本銀行「金融政策、長短金利操作付き量的・質的金融緩和に関する資料」
- IMF「World Economic Outlook」世界経済・世界貿易・同時成長に関する資料
- FRB「金融政策正常化、政策金利に関する資料」
- ECB「ユーロ圏景気・金融政策に関する資料」
- 内閣府・財務省・経済産業省「日本経済、輸出、企業利益、設備投資に関する資料」
- 日本工作機械工業会「工作機械受注に関する資料」
- 半導体・電子部品・FA・ロボット関連企業の公表資料
- 東京証券取引所・日本取引所グループ「株式市場統計に関する資料」
本記事におけるフェーズ名称、開始日、終了日、 Human Theme、Market Cycle、 レジーム解釈は、 Market History DB独自の分類です。
「世界同時成長相場」は、 Trump Reflationのみを指す名称ではありません。 China Stabilization、 Commodity Recovery、 世界製造業・貿易・設備投資の拡大、 米国・欧州・日本・中国を中心とした景気改善を 一つの市場レジームとして分類した名称です。
本記事のDriverおよびmachine_phase分類は暫定版です。 最新フェーズまで記事制作を一巡した後、 過去フェーズを横断比較し、 Driverの種類、階層、役割、 相互作用、machine_phaseとの関係を再構築します。
中心銘柄群は、 本フェーズの市場構造を説明する代表例として掲載しています。 個別銘柄の騰落率、主導期間、売買代金、 指数寄与度については、 今後の横断リライトで市場データを用いて再検証します。
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