コロナ流動性相場

phase

Market History DB / Market Phase

コロナ流動性相場

2020-01-20 – 2021-02-16

経済が止まり、マネーが市場を動かした

新型コロナウイルスの世界的拡大によって、 人の移動、消費、生産、企業活動が 急速に停止し、 世界経済が 通常の景気循環では説明できない 外生ショックへ突入したフェーズ。 しかし、 FRBをはじめとする主要中央銀行の 大規模金融緩和、 政府による巨額の財政支援、 信用市場への政策介入、 ゼロ金利、 資産買入れによって、 市場は 経済活動の回復より先に反転した。 実体経済が深刻な打撃を受ける一方で、 大量の流動性が金融市場へ供給され、 Growth・Technology・Digital関連株を中心に 株式Valuationが急速に拡大。 「景気が良いから株価が上がる」のではなく、 政策が金融システムを守り、 流動性が資産価格を押し上げる という極端なPolicy / Liquidity Driven Marketが 形成された。

2020年1月。

世界の株式市場には、 一つの安心がありました。

米中対立は 「第1段階」合意へ進んだ。

FRBは すでに金融緩和方向へ転換していた。

世界製造業には 底入れ期待があった。

半導体サイクルにも 回復期待があった。

2018年から市場を苦しめてきた 複数のNegative Driverが、 少しずつ 後退していました。

市場は、 2020年は世界景気が 緩やかに回復する という未来を 織り込み始めていました。

しかし、 その前提は 突然意味を失います。

問題になったのは、 金利ではありません。

関税でもありません。

米中交渉でもありません。

半導体在庫でもありません。

企業の通常の 景気循環でもありません。

人が動けない。

店を開けられない。

工場を動かせない。

国境を越えられない。

世界経済そのものを 物理的に停止させる可能性を持つ、 まったく別のRiskが 市場へ現れました。

  1. それは、通常の景気後退ではなかった
  2. フェーズ概要
    1. 相場推移と主要イベント
      1. この期間の出来事
  3. 前フェーズとの断絶
  4. 最初に市場が恐れたのは「利益」ではなかった
  5. 実体経済Shockが、金融Shockへ変わる危険
  6. 2008年との決定的な違い
  7. だから、政策の目的も違った
  8. しかし、市場は政策を待たなかった
  9. このフェーズを「コロナショック相場」としない理由
  10. Part1の結論
  11. 感染症は、数週間で世界市場の問題になった
  12. 市場が理解するより、感染の方が速かった
  13. 2020年3月、Global Risk Offはパニックへ変わった
  14. 日経平均は、約1か月で景色を変えた
  15. なぜ、悪化の途中で株価は底を打てたのか
  16. 危機は「株式市場」から「現金市場」へ進んだ
  17. 世界がドルを求めた
  18. 安全資産まで売られるという異常
  19. Credit Marketを止めてはいけない
  20. FRBは、通常の利下げを超えた
  21. 「無制限」という言葉が、市場の期待を変えた
  22. 財政政策も、金融政策と同時に動いた
  23. 日本でも、経済活動は急速に制約された
  24. しかし、すべての企業が同じように悪化したわけではない
  25. Part2の結論
  26. 経済が悪いのに、株価が上がり始めた
  27. 市場は「感染」より「金融システム」を見始めた
  28. 「悪い経済」と「上がる株価」は矛盾しない
  29. ゼロ金利は「遠い未来」の価値を大きくした
  30. 流動性は、行き先を探し始めた
  31. Don’t Fight the Fed
  32. しかし、流動性だけではTechnology株の強さを説明できない
  33. 「需要増加」と「Valuation拡大」が同時に起きた
  34. K字回復
  35. 株価指数と「平均的な企業」の乖離
  36. 日本株でも「コロナに強い企業」が再評価された
  37. 「コロナで伸びた」のか、「未来が早く来た」のか
  38. 流動性と構造成長が重なった
  39. 市場は「現在の利益」より「コロナ後の勝者」を買った
  40. しかし、この構造には大きな内部矛盾があった
  41. 成功した政策が、次のレジーム条件を作り始めた
  42. Part3の結論
  43. 2020年後半、市場に新しい問いが生まれた
  44. ワクチンが「時間」を変えた
  45. 2020年11月、Vaccine Tradeが始まった
  46. 市場は「Stay at Home」から「Reopening」へ動き始めた
  47. ここで「GrowthからValueへ」というRotationが始まる
  48. 日本株には、Reopeningが大きな意味を持った
  49. 日本株の強さは「日本だけの回復」ではなかった
  50. 米大統領選後、財政政策への期待も強まった
  51. 「デフレ」ではなく「リフレ」が意識され始めた
  52. 金利が、再び意味を持ち始めた
  53. ここに、次フェーズのDriverが見え始める
  54. なぜワクチン発表日をフェーズ終了日にしないのか
  55. 2021年初め、日本株は3万円を目指した
  56. 2021年2月16日という境界
  57. 日経平均3万円は「結果」であって「原因」ではない
  58. Phase Transition
  59. Part4の結論
  60. Regime Drivers
  61. Shock Drivers
  62. Policy Drivers
  63. Structural Growth Drivers
  64. Transition Drivers
  65. Driver Interaction
  66. 日本株へのTransmission
  67. 市場の中心銘柄群も、フェーズ内部で変化した
  68. 市場参加者構造も変わった
  69. machine_phase
  70. machine_phase一覧
  71. machine_phase Flow
  72. フェーズ内部では六段階に進行した
  73. Human Phase
  74. LiquidityはDriverであり、同時に次の脆弱性でもあった
  75. Part5の結論
  76. MHDB Classification
  77. なぜ「コロナショック相場」ではないのか
  78. イベントとレジームを分ける
  79. 2008年と2020年
  80. 2008年の経験が、2020年の政策速度を変えた
  81. このフェーズが変えた「中央銀行」の意味
  82. そして、財政政策もAsset Pricingへ入ってきた
  83. コロナは、日本企業のDigital化も前倒しした
  84. コロナ流動性相場が残したもの
  85. フェーズ終了条件
  86. 2021年2月16日
  87. このフェーズを一行で表すなら
  88. 相場史としての意味
  89. そして、相場の問いは変わった
  90. 次のフェーズへ

それは、通常の景気後退ではなかった

通常の景気後退には、 一定の順序があります。

需要が弱くなる。

企業利益が減る。

設備投資が減る。

雇用が弱くなる。

消費が減る。

景気がさらに悪化する。

しかし、 2020年に起きたことは この順序ではありませんでした。

感染拡大を止めるために、 人の移動そのものを 制限する必要が生まれました。

外食。

旅行。

航空。

ホテル。

イベント。

小売。

工場。

オフィス。

経済活動が 需要不足によって徐々に弱くなるのではなく、 政策と感染防止によって 意図的に停止される という異例の状態です。

通常の景気後退 コロナショック
需要減速 経済活動停止
景気循環 外生ショック
段階的悪化 急激な停止
設備投資減少 営業そのものが困難
雇用調整 短期間で大規模な雇用Shock
金融緩和で需要刺激 まず企業・家計・金融システムを守る

景気が悪くなったから、 経済が止まったのではない。

経済を止めることが、 感染拡大を止める手段になった。

フェーズ概要

  • Market Cycle: グローバル流動性・政策主導サイクル
  • Market Phase: コロナ流動性相場
  • 期間: 2020年1月20日 ~ 2021年2月16日
  • 基本構造: Pandemic Shock → Economic Shutdown → Liquidity Crisis → Policy Rescue → Excess Liquidity → Equity Re-rating
  • Global Drivers: COVID-19 Pandemic、Economic Shutdown、Global Risk Off、Dollar Liquidity Stress、Fed Emergency Easing、QE Expansion、Fiscal Expansion、Vaccine Expectation
  • Domestic Drivers: 緊急事態宣言、経済活動制限、大規模財政支援、日銀金融緩和、日銀ETF買入れ、企業資金繰り支援、Digital Transformation
  • 主要な市場参加者: FRB、主要中央銀行、各国政府、日本銀行、機関投資家、個人投資家、Growth / Technology投資家
  • Human Theme: 経済が止まり、マネーが市場を動かした
  • 市場心理: 感染拡大による極端な恐怖から、政策が金融システムを守るという信認へ転換し、さらに大量流動性が将来成長資産へ向かうRisk Takingへ変化
  • 内部矛盾: 実体経済・雇用・企業活動が深刻な打撃を受ける一方、金融緩和と財政支援によって株式市場は急速に回復し、実体経済と資産価格の乖離が拡大
  • 次フェーズ: リフレ・経済再開相場

相場推移と主要イベント

本フェーズの日経平均株価と主要イベントです。 新型コロナウイルスへの警戒が世界市場へ広がり始めた 2020年1月から、 世界的な感染拡大、 市場急落、 FRBの緊急利下げ、 主要中央銀行による大規模金融緩和、 各国政府の財政支援、 日本の緊急事態宣言、 経済活動停止、 日経平均の急反発、 Digital / Technology株の上昇、 ワクチン開発期待、 米国大統領選、 世界的なRisk Appetite回復を経て、 2021年2月に日経平均が 約30年半ぶりに3万円台を回復するまでの Pandemic Shockと Liquidity Regimeの変化を確認できます。

初期表示:2020-01-20 〜 2021-02-16 / 取得範囲:1950-01-01 〜 2026-08-21 / イベント重要度:1以上

この期間の出来事

前フェーズとの断絶

米中対立調整相場の終盤では、 市場は 2018年から続いた不安を 一つずつ外していました。

FRB Tighteningは Fed Easingへ変わりました。

米中対立は Trade Escalationから 一時的なDe-escalationへ向かいました。

半導体サイクルには 底入れ期待が生まれました。

市場の中心は、 Policy Supported Recovery でした。

しかし、 コロナショックは その延長線上にある 景気悪化ではありません。

外から突然入ってきた External Shockです。

米中対立調整相場 コロナ流動性相場
Trade Conflict Pandemic Shock
Manufacturing Slowdown Economic Shutdown
Gradual Growth Deceleration Sudden Economic Stop
Fed Pivot Emergency Monetary Expansion
Trade Risk Compression Liquidity Crisis Response
Policy Supported Recovery Liquidity Driven Re-rating

2019年、 政策は弱い景気を支えた。

2020年、 政策に求められたのは それ以上だった。

止まった経済と金融システムを、 同時に支えることだった。

最初に市場が恐れたのは「利益」ではなかった

感染拡大が始まったとき、 企業利益への懸念は 当然ありました。

しかし、 市場が急速に恐れるようになったのは、 単なるEPS減少ではありません。

売上がなくなる。

企業へ 現金が入ってこない。

それでも、 給与。

家賃。

利払い。

債務返済。

固定費は残ります。

問題は、 Profitability から Liquidity へ移ります。

利益が減る企業を どう評価するかではない。

現金が入ってこない企業が、 数週間、 数か月を 生き延びられるのか。

市場の問いそのものが 変わりました。

Economic Shutdown

Revenue Collapse

Cash Flow Deterioration

Funding Need

Credit Risk

Liquidity Stress

問題は、 企業が どれだけ利益を出せるかではなくなった。

企業が、 そこまで生き残れるか。

実体経済Shockが、金融Shockへ変わる危険

感染症そのものは、 金融危機ではありません。

しかし、 経済活動が停止すれば、 金融問題へ転化する可能性があります。

企業売上がなくなる。

Cash Flowが減る。

企業が借入へ依存する。

信用力が低下する。

社債市場が不安定になる。

金融機関が 信用リスクを警戒する。

資金調達が難しくなる。

さらに企業倒産が増える。

こうして、 Health Crisis Economic Crisis へ、 さらに Financial Crisis へ変わる危険がありました。

Health Crisis

Economic Shutdown

Cash Flow Shock

Corporate Credit Stress

Financial Market Stress

Systemic Risk

2008年との決定的な違い

ここで、 世界金融危機との違いが重要になります。

2008年は、 金融システム内部から 危機が始まりました。

住宅価格。

証券化商品。

金融機関のレバレッジ。

信用不安。

銀行間市場。

金融システムの内部に蓄積した 脆弱性が崩れ、 そのShockが 実体経済へ波及しました。

2020年は逆です。

最初に発生したのは 感染症という 金融システム外部のShockでした。

それが経済活動を止め、 企業Cash Flowを悪化させ、 金融システムへ 波及しようとしました。

世界金融危機 コロナショック
金融内部から発生 金融外部から発生
Credit Bubble Collapse Pandemic / Economic Shutdown
銀行・証券化市場が震源 実体経済が震源
Finance → Economy Economy → Finance
金融機関救済が中心 企業・家計・市場を同時に支援
金融システム再建 経済停止期間を政策で橋渡し

2008年は、 金融が壊れ、 経済を止めた。

2020年は、

経済が止まり、 金融を壊しかけた。

だから、政策の目的も違った

通常の景気後退であれば、 金利を下げる。

需要を刺激する。

投資を促す。

消費を促す。

そうした政策が 中心になります。

しかし、 経済活動そのものを 制限している状況では、 金利を下げても、 人は旅行できません。

レストランは 通常営業できません。

航空需要も すぐには戻りません。

そこで政策に必要だったのは、 経済をすぐ成長させること だけではありませんでした。

経済が再開するまで、 企業を生かす。

雇用を守る。

家計所得を支える。

信用市場を守る。

金融システムを守る。

つまり、 時間を買うこと でした。

Bridge Policy

政策の目的は、 停止した経済を その場で正常化することではない。

感染Shockが収束し、 経済活動を再開できるまで、 企業・家計・信用市場を 生存させるための橋を架けること だった。

しかし、市場は政策を待たなかった

感染が拡大するにつれて、 市場では Risk Assetの売却が加速します。

株式を売る。

信用リスクを減らす。

レバレッジを落とす。

現金を確保する。

投資家の行動は、 Cash is King へ向かいました。

そして、 この動きが強くなると、 安全資産を持つことよりも、 現金そのものを確保すること が優先されます。

ここから、 単なる株価下落とは違う Liquidity Stressが 急速に強まっていきます。

Pandemic Fear

Risk Asset Selling

Deleveraging

Cash Demand

Dollar Demand

Global Liquidity Stress

このフェーズを「コロナショック相場」としない理由

2020年の相場を振り返ると、 最も強烈な記憶は 株価暴落かもしれません。

感染拡大。

ロックダウン。

経済停止。

企業利益急減。

市場急落。

しかし、 2020年1月から 2021年2月までを 一つのMarket Phaseとして考えるなら、 暴落だけでは 説明できません。

むしろ、 期間の大部分で重要だったのは、 その後に発生した Liquidity Expansion です。

中央銀行が 大量の流動性を供給する。

政府が 財政支援を行う。

金利が 極端に低下する。

信用市場が 政策によって安定する。

投資家が 再びRisk Assetを買う。

Growth株へ 資金が向かう。

Technology株へ 資金が向かう。

実体経済の回復より先に 株価が上昇する。

この構造こそが、 本フェーズを 「コロナ流動性相場」 と呼ぶ理由です。

コロナが、 相場を下げた。

しかし、 このフェーズを作ったのは、 コロナだけではない。

コロナに対して供給された 巨大な流動性が、 その後の相場を作った。

Part1の結論

2020年初め、 世界市場は 米中対立と世界景気減速から 抜け出そうとしていました。

しかし、 新型コロナウイルスによって、 市場の前提は 完全に変わりました。

通常の景気循環ではありません。

感染拡大を防ぐために 経済活動そのものを止める。

売上が消える。

Cash Flowが消える。

企業の資金需要が急増する。

信用市場が不安定になる。

投資家は 現金を求める。

Health Crisisが、 Economic Crisisへ。

そして、 Financial Crisisへ 転化する危険が生まれました。

しかし、 2008年と違って、 危機の震源は 金融システム内部ではありません。

金融システムを 壊さないことができれば、 感染Shockの後に 経済活動を再開できる可能性があります。

そのため、 世界の政策当局は かつてない速度と規模で 動くことになります。

そして、 この政策対応が コロナショック コロナ流動性相場 へ変えていきます。

世界経済が止まった。

企業利益も止まった。

しかし、

マネーは止まらなかった。

次のPartでは、 2020年2月から3月にかけて発生した 世界株暴落。

Volatility Shock。

Dollar Liquidity Stress。

Credit Market Stress。

原油価格急落。

そして、 FRBがなぜ 通常の利下げを超えて、 金融市場そのものを 支える政策へ踏み込んだのかを整理します。

ここから、 「Cash is King」 だった市場が、

「Don’t Fight the Fed」 へ変わっていきます。

Part 2

感染症は、数週間で世界市場の問題になった

2020年初め。

新型コロナウイルスへの警戒は、 当初、中国を中心とした 問題として認識されていました。

しかし、 感染は国境を越えます。

日本でも 感染例が確認されました。

横浜港では、 ダイヤモンド・プリンセス号で 大規模な集団感染が発生しました。

韓国。

イタリア。

欧州。

そして米国。

感染地域が広がるにつれて、 市場の問いも変化します。

中国経済への影響は どの程度か。

ではない。

世界経済そのものが 止まるのではないか。

この可能性を 市場は織り込み始めました。

China Health Risk

Asian Supply Chain Risk

Global Infection Spread

Travel Restriction

Lockdown

Global Economic Shutdown

市場が理解するより、感染の方が速かった

金融市場は通常、 新しい情報を受け取り、 企業利益への影響を予測し、 少しずつ価格を修正します。

しかし、 パンデミックでは 状況の変化が極端に速くなりました。

一つの国で感染が広がる。

数日後には 別の国でも感染者が増える。

政府が 入国制限を導入する。

イベントが中止される。

学校が休校になる。

都市が封鎖される。

企業が営業を止める。

市場参加者が 企業利益を精密に計算する前に、 経済活動そのものが 次々に制限されていきました。

このため、 通常の業績下方修正では 追いつきません。

Unknown Risk そのものが Risk Premiumを急上昇させました。

市場が恐れたのは、 悪い数字ではなかった。

どこまで悪くなるのかを 計算できないことだった。

2020年3月、Global Risk Offはパニックへ変わった

感染拡大が 世界規模の問題になると、 株式市場では 売りが急速に拡大しました。

航空。

旅行。

ホテル。

外食。

レジャー。

まず、 人の移動に依存する企業が 強く売られます。

しかし、 売りはそれだけには 留まりません。

自動車。

機械。

銀行。

素材。

商社。

景気敏感株全体へ 売りが広がります。

そして最後には、 業績への直接的な影響が 比較的小さい資産まで 売られるようになります。

ここまで来ると、 市場は 企業価値を選別しているのではありません。

リスクそのものを 減らしている。

Pandemic Fear

Earnings Downgrade

Equity Selling

Volatility Spike

Risk Limit Reduction

Forced Deleveraging

Further Selling

日経平均は、約1か月で景色を変えた

日本株も、 世界的なRisk Offに 巻き込まれました。

感染拡大。

世界経済停止への懸念。

企業利益急減。

外国人投資家のリスク削減。

複数の売り圧力が 同時に日本株へ作用しました。

日経平均は 2020年2月から3月にかけて 約30%下落します。

そして、 3月19日。

日経平均は 16,358円の安値を付けました。

この価格だけを見れば、 市場は 深刻な景気後退を 織り込んでいたように見えます。

しかし、 重要なのは ここからです。

実体経済は まだ悪化の途中でした。

感染者数も 増えていました。

日本の緊急事態宣言も まだこれからです。

それでも、 株価は先に底を打った。

感染は、 まだ収束していなかった。

経済も、 まだ回復していなかった。

それでも、

株価は回復を始めた。

なぜ、悪化の途中で株価は底を打てたのか

ここが、 コロナ流動性相場を理解する 最大のポイントです。

株価が底を打ったのは、 感染症が 終わったからではありません。

景気が 回復したからでもありません。

企業利益が 改善したからでもありません。

金融危機への転化を 政策が止める可能性が 急速に高まった からです。

つまり、 市場の問いが変わりました。

最初は、 「経済はどこまで止まるのか」 でした。

その後、

「政策は、 金融システムを守れるのか」

へ変わります。

そして、 政策当局が その問いへ答え始めます。

危機は「株式市場」から「現金市場」へ進んだ

相場急落の初期では、 株式を売る動きが 中心でした。

しかし、 市場Stressが強くなるにつれて、 投資家が求めたのは 安全な資産だけではなくなります。

Cash です。

企業も 現金を必要とします。

投資家も 現金を必要とします。

金融機関も 流動性を必要とします。

レバレッジを持つ投資家は、 証拠金を 用意する必要があります。

資金流出を受けたファンドは、 換金へ対応する必要があります。

企業は、 売上がなくても 給与や債務を支払わなければなりません。

市場全体が 現金を求めます。

Asset Price Decline

Margin Calls

Fund Redemptions

Corporate Funding Need

Cash Demand

Liquidity Stress

危機の中心は、 「何を買うか」 ではなくなった。

「現金を持っているか」 になった。

世界がドルを求めた

グローバル金融市場では、 現金需要の中でも 特に重要なのが ドルです。

世界の企業。

金融機関。

投資家。

国際取引。

多くの資金決済と債務が ドルを基盤にしています。

そのため、 世界的なRisk Offが発生すると、 ドル資金への需要が 急速に高まることがあります。

株式を売る。

債券を売る。

海外資産を売る。

そして、 ドルを確保する。

Dollar Liquidity Stress です。

これは、 単なるドル高ではありません。

世界金融システムが 決済と資金繰りのための ドルを求める状態です。

Global Risk Off

Deleveraging

Dollar Funding Need

Dollar Demand

Funding Market Stress

Global Liquidity Crisis

安全資産まで売られるという異常

通常のRisk Offでは、 株式が売られ、 安全資産が買われます。

しかし、 Liquidity Crisisが強くなると、 行動が変わります。

安全資産であるかどうかより、 すぐ現金化できるか が重要になります。

現金を必要とする投資家は、 保有している 流動性の高い資産を売ります。

つまり、 「悪い資産だから売る」 のではなく、

「売れる資産だから売る」 という状況が発生します。

これは、 市場機能そのものが Stressを受けているサインです。

通常のRisk Off Liquidity Crisis
Risk Asset売却 換金可能資産を広範囲に売却
安全資産買い Cash Preference
銘柄選別 Forced Selling
企業価値を評価 資金繰りを優先
Risk Aversion Liquidity Hoarding

Credit Marketを止めてはいけない

企業にとって、 株価下落より さらに深刻な問題があります。

資金調達できなくなること です。

売上が減っても、 市場から 資金を調達できれば、 企業は 一定期間生き残ることができます。

社債を発行する。

銀行から借りる。

短期資金を調達する。

しかし、 信用市場が停止すると、 その橋がなくなります。

売上が消える。

資金調達もできない。

債務返済期限は来る。

すると、 一時的なEconomic Shutdownが Permanent Corporate Failure へ変わる可能性があります。

したがって、 政策当局にとって最優先だったのは、 単に株価を上げることではありません。

Credit Flowを止めないこと でした。

株価を守ることが、 最初の目的ではなかった。

企業へ流れる 資金の血流を止めないことが 必要だった。

FRBは、通常の利下げを超えた

この危機に対して、 FRBは急速に政策対応を強化しました。

政策金利を 事実上のゼロ近辺へ引き下げる。

資産買入れを拡大する。

金融市場へ 大量の流動性を供給する。

信用市場を 安定させる。

金融機関が 資金を確保できるようにする。

そして、 世界的なドル流動性Stressへ対応する。

重要なのは、 景気刺激だけが 目的ではない ということです。

市場機能そのものを 維持する。

資金決済を維持する。

信用供給を維持する。

企業が 資金調達できる状態を守る。

つまりFRBは、 Lender of Last Resort から、 より広い意味での Liquidity Provider of Last Resort として機能することになります。

Zero Rate

QE Expansion

Liquidity Facilities

Credit Market Support

Dollar Liquidity Support

Systemic Liquidity Risk Reduction

「無制限」という言葉が、市場の期待を変えた

金融市場では、 政策規模だけでなく、 政策に上限があるのか という問題が重要です。

市場の売り圧力が 非常に大きいとき、 中央銀行の買入れ規模が 固定されていれば、 投資家は 「政策規模を超える売りが出たらどうなるのか」 と考えます。

しかし、 中央銀行が 必要な流動性を 供給する姿勢を明確にすると、 市場の期待は変わります。

中央銀行と 市場参加者のどちらが より大きなBalance Sheetを 持っているのか。

答えは明確です。

中央銀行です。

ここから、 市場は 「政策と戦って売る」 ことのRiskを 意識し始めます。

市場が中央銀行を 試した。

そして中央銀行は、

市場より大きな Balance Sheetを示した。

財政政策も、金融政策と同時に動いた

コロナ危機では、 中央銀行だけでは 十分ではありません。

金利をゼロにしても、 営業できない店舗の 売上は戻りません。

旅行できなければ、 航空需要は戻りません。

感染拡大を防ぐために 経済活動を止める以上、 所得そのものを 政策で支える必要があります。

そこで、 政府による 大規模な財政支援が加わります。

企業支援。

雇用維持。

家計所得支援。

融資。

保証。

金融政策と財政政策が、 同じ危機に対して 同時に作用しました。

Monetary Policy

Liquidity / Credit Support

Fiscal Policy

Income / Employment / Corporate Support

Economic Bridge

中央銀行は、 市場を支えた。

政府は、 企業と家計を支えた。

金融と財政が、 同時に橋を架けた。

日本でも、経済活動は急速に制約された

日本でも、 感染拡大によって 社会活動が大きく変化しました。

学校の休校。

イベントの中止。

入国制限。

外出自粛。

そして、 緊急事態宣言。

東京2020オリンピックも 延期されることになります。

これは、 単なる景気悪化ではありません。

人と人が接触することで 価値を生む産業ほど、 営業そのものが 困難になる という特殊なShockでした。

影響が大きい産業 主なShock
航空 国際移動停止
旅行 移動・宿泊需要消失
ホテル 宿泊需要急減
外食 営業制限・外出自粛
百貨店・小売 店舗来客減少
イベント・興行 集客型事業停止
鉄道・運輸 通勤・観光需要減少

しかし、すべての企業が同じように悪化したわけではない

コロナショックには、 もう一つ重要な特徴があります。

すべての産業が 同じ方向へ動かなかったことです。

人が移動できない。

店舗へ行けない。

オフィスへ行けない。

すると、 生活と企業活動を オンラインへ移す必要があります。

EC。

クラウド。

オンライン会議。

データセンター。

ゲーム。

電子決済。

デジタルサービス。

経済活動全体が悪化する一方で、 Digital Economyへの需要は むしろ加速した。

ここから、 K字型の企業業績と株価が 形成され始めます。

Economic Shutdown

Physical Economy Weakness

一方

Online Migration

Digital Demand Acceleration

K-shaped Corporate Earnings

Part2の結論

2020年3月。

パンデミックは、 Health Crisisから Economic Crisisへ拡大しました。

そして、 Economic Shutdownによって 企業Cash Flowが 急速に悪化しました。

市場では 株式だけでなく、 Credit、 Funding、 Dollar Liquidityへ Stressが広がりました。

投資家は 安全資産を求めるだけではなく、 現金を求めました。

ここまで来ると、 通常の金融緩和では 十分ではありません。

金融市場そのものへ 流動性を供給する。

信用市場を 支える。

世界のドル資金繰りを 支える。

企業と家計を 財政で支える。

政策は、 景気刺激から System Preservation へ拡張されました。

そして、 この政策対応によって、 市場の問いが変わります。

パンデミックは いつ終わるのか。

から、

これだけの流動性が供給された市場で、 何を買うべきなのか。

へ。

最初に市場が求めたのは、 Cashだった。

しかし、 中央銀行がCashを供給すると、 市場は次に、

そのCashを どこへ置くかを考え始めた。

次のPartでは、 ここから起きた 非常に異例の相場を整理します。

実体経済は弱い。

失業も増える。

感染も続く。

企業倒産も発生する。

それでも、 株価は上昇する。

なぜなら、 ゼロ金利。

QE。

財政支援。

大量の流動性。

Digital Transformation。

Growth株。

Technology株。

これらが 一つの方向へ重なり始めるからです。

次のPartでは、 「実体経済が悪いのに、 なぜ株価は上がるのか」 を、 Liquidity、 Discount Rate、 Growth Duration、 Digital Shift、 そしてK字回復から 説明します。

Part 3

経済が悪いのに、株価が上がり始めた

2020年春。

実体経済は、 まだ深刻な状況にありました。

感染は続いていました。

人の移動は制限されていました。

店舗は 通常営業できません。

航空需要は消えました。

観光需要も 急減しました。

企業利益の見通しも 極めて不透明でした。

それにもかかわらず、 株式市場は 2020年3月の安値から 急速に反転します。

これは、 従来の感覚では 理解しにくい動きでした。

経済が悪い。

企業利益も悪い。

失業も増える。

それなのに、 株価が上がる。

なぜでしょうか。

答えは、 株価を決めるものが 現在の景気だけではない からです。

経済は、 現在を見ていた。

株式市場は、

政策と、その先の未来を 見始めていた。

市場は「感染」より「金融システム」を見始めた

2020年3月まで、 市場最大の問いは 感染が どこまで広がるのか でした。

しかし、 政策対応が本格化すると、 問いが変わります。

金融システムは 維持されるのか。

企業は 資金調達できるのか。

信用市場は 機能し続けるのか。

ドル流動性は 確保されるのか。

そして、 中央銀行と政府は どこまで支援するのか。

政策当局が 金融危機への転化を 阻止する姿勢を明確にすると、 市場が織り込む 最悪シナリオが変わります。

Pandemic Continues

しかし

Systemic Financial Risk Declines

Tail Risk Compression

Risk Premium Decline

Equity Recovery

「悪い経済」と「上がる株価」は矛盾しない

株価は、 現在のGDPそのものではありません。

企業が将来生み出すCash Flowを 現在価値へ割り引いたものとして 考えることができます。

したがって、 現在の利益が悪化していても、 将来利益が回復すると考えられ、 さらに その利益を割り引く金利が低下すれば、 株価は上昇することがあります。

2020年には、 この二つが 同時に起こりました。

一つは、 将来の正常化期待。

もう一つは、 Discount Rateの急低下。

ゼロ金利。

大規模QE。

大量の流動性供給。

これらが 資産価格の評価条件を 大きく変えました。

Current Earnings Collapse

一方

Future Recovery Expectation

Zero Interest Rate

QE Expansion

Discount Rate Decline

Present Value Support

Equity Re-rating

現在が悪いことと、 株価が上がることは 必ずしも矛盾しない。

株価は、 現在ではなく 将来利益の現在価値だからだ。

ゼロ金利は「遠い未来」の価値を大きくした

金利低下は、 すべての株式へ 同じように作用するわけではありません。

現在すでに 大きな利益を稼いでいる企業。

数年後、 さらに大きな利益を生むと 期待されている企業。

この二つでは、 金利への感応度が異なります。

将来遠くの利益ほど、 現在価値へ割り引くときの 金利の影響を 強く受けます。

したがって、 金利が極端に低下すると、 将来利益への期待が大きい Long Duration Growth Asset の評価が 上がりやすくなります。

ここで、 Technology。

Internet。

Software。

Digital Platform。

Cloud。

といった企業群へ 資金が向かいやすくなりました。

低金利の作用 Growth株への意味
Discount Rate低下 将来利益の現在価値上昇
債券利回り低下 株式の相対魅力上昇
資金調達コスト低下 成長投資を支援
Liquidity Expansion Risk Assetへの資金流入
Long Duration Re-rating Growth / Technology評価上昇

流動性は、行き先を探し始めた

危機初期、 市場参加者は Cashを求めました。

しかし、 中央銀行が 大量の流動性を供給すると、 状況が変わります。

現金は増える。

しかし、 現金の利回りは低い。

国債利回りも低い。

安全資産だけでは 十分なReturnを得にくい。

すると、 投資家は より高い期待Returnを求めます。

株式。

Credit。

Growth Asset。

Technology。

大量の流動性が、 Returnを求めて Risk Assetへ移動する 環境が形成されました。

Emergency Liquidity

Cash Abundance

Zero Yield

Search for Yield

Risk Asset Allocation

Equity Re-rating

危機の初めには、 誰もがCashを欲しがった。

しかし、 Cashが大量に供給されると、

今度は、 Cashを持ち続けることが 機会損失になった。

Don’t Fight the Fed

市場には、 古くから Don’t Fight the Fed という考え方があります。

中央銀行が 金融条件を緩和し、 大量の流動性を 供給しているとき、 その政策に逆らって Risk Assetを売り続けることには 大きなRiskがあります。

2020年には、 この考え方が 極端な形で表れました。

感染は続いている。

経済も弱い。

企業利益も悪い。

それでも、 FRBを中心とした 中央銀行Balance Sheetは 急速に拡大する。

金融市場へ 流動性が供給される。

Credit Marketが安定する。

株価が上昇する。

すると、 市場参加者は次第に 「政策が市場の下値を 支えている」 と考えるようになります。

Fed Liquidity

Credit Stabilization

Systemic Risk Decline

Risk Premium Compression

Equity Buying

Policy Confidence

しかし、流動性だけではTechnology株の強さを説明できない

Technology株が 強く上昇した理由を、 「金融緩和でお金が余ったから」 だけで説明することはできません。

同時に、 実体経済側でも 大きな構造変化が起きていました。

人が会えない。

オフィスへ行けない。

店舗へ行けない。

学校へ行けない。

すると、 経済活動そのものを Digitalへ移す必要があります。

在宅勤務。

オンライン会議。

EC。

クラウド。

動画配信。

オンラインゲーム。

電子決済。

データセンター。

Pandemicが Digital Transformationを 強制的に加速した。

ここに、 流動性と実需の 二つのDriverが重なりました。

Pandemic

Physical Contact Restriction

Digital Migration

Cloud / EC / Data / Online Demand

Technology Earnings Growth

━━━━━━━━━━

Zero Rate / QE

Discount Rate Decline

Growth Valuation Expansion

━━━━━━━━━━

Digital Earnings

Liquidity

Technology Leadership

「需要増加」と「Valuation拡大」が同時に起きた

Technology企業にとって、 2020年は 非常に特殊な環境でした。

通常、 高い成長期待を持つ企業は、 高いValuationで 評価されることがあります。

しかし、 景気悪化時には その成長期待も 弱くなる可能性があります。

ところがコロナ禍では、 一部のDigital企業にとって、 景気悪化そのものが 需要を増加させました。

オンライン化が進む。

クラウド利用が増える。

データ量が増える。

EC利用が増える。

その一方で、 金利は下がる。

流動性は増える。

つまり、 Earnings Growth Valuation Expansion が 同時に起きます。

Earnings Driver Valuation Driver
Digital Migration Zero Rate
Cloud Demand QE
EC Expansion Liquidity Expansion
Data Center Demand Discount Rate Decline
Online Service Growth Search for Yield
Technology Earnings Growth Long Duration Re-rating

Technology株は、 流動性だけで 上がったのではない。

利益が伸び、 同時にその利益へ付ける 評価倍率まで上がった。

K字回復

コロナ禍の回復は、 すべての企業が 同じように回復する V字ではありませんでした。

ある企業は、 危機によって需要が増える。

別の企業は、 営業そのものができない。

この差が、 時間とともに拡大します。

上方向へ伸びる企業。

下方向へ沈む企業。

その形から、 K-shaped Recovery と呼ばれる構造です。

K字の上側 K字の下側
EC 百貨店・店舗型小売
クラウド オフィス需要関連
Digital Service 対面型サービス
ゲーム・動画 イベント・興行
データセンター 旅行・ホテル
電子決済 現金・店舗依存型サービス
オンライン関連 航空・運輸

経済全体が 一緒に回復したのではない。

コロナに適応できる企業と、 適応できない企業の差が 一気に広がった。

株価指数と「平均的な企業」の乖離

K字回復は、 株価指数を見るときにも 重要です。

指数が上昇している。

だから、 すべての企業が 回復している。

そうとは限りません。

株価指数では、 時価総額が大きい企業。

成長率が高い企業。

市場から高い評価を受ける企業。

こうした企業の影響が 大きくなることがあります。

一方、 旅行。

外食。

宿泊。

航空。

対面サービス。

こうした企業には 厳しい環境が続きました。

つまり、 Index Recovery Broad Economic Recovery は 同じではありません。

Index ≠ Economy

株価指数が回復しても、 雇用、 中小企業、 対面サービス、 消費活動が 同じ速度で 回復しているとは限らない。

コロナ流動性相場では、 この乖離が 非常に大きくなった。

日本株でも「コロナに強い企業」が再評価された

日本株でも、 市場参加者は 単純に 「景気が良くなる企業」 を探したわけではありません。

むしろ、 コロナ環境でも成長できる企業 を探しました。

EC。

ITサービス。

クラウド。

電子決済。

ゲーム。

データセンター。

半導体。

物流効率化。

省人化。

オンライン化。

こうしたテーマへ 市場の関心が強まります。

ここでも、 一時的な感染対策と 長期的なDigital Transformationが 重なっていました。

テーマ コロナによる変化 構造的意味
EC 店舗からオンラインへ Commerce Digitalization
Cloud 在宅勤務・オンライン業務 Enterprise Digitalization
Electronic Payment 非接触需要 Cashless Transition
Data Center 通信量・データ需要増加 Digital Infrastructure
Semiconductor 端末・サーバー需要 Digital Hardware Infrastructure
Automation 接触削減・省人化 Labor / Factory Transformation

「コロナで伸びた」のか、「未来が早く来た」のか

Digital化そのものは、 2020年に突然 生まれたものではありません。

EC。

クラウド。

キャッシュレス。

データセンター。

オンラインサービス。

これらは、 コロナ以前から 進んでいました。

しかし、 パンデミックによって 企業も家計も、 これらの技術を 短期間で導入する必要に迫られました。

つまり、 コロナは 新しい未来を作ったというより、 すでに存在していた未来を 前倒しした と考えることができます。

コロナが、 Digital Economyを 発明したのではない。

数年先に来るはずだった未来を、 一気に現在へ引き寄せた。

流動性と構造成長が重なった

ここまでを見ると、 コロナ流動性相場で Technology / Growthが 強くなった理由は、 一つではありません。

第一に、 Liquidity Expansion。

第二に、 Discount Rate Decline。

第三に、 Digital Demand Acceleration。

第四に、 Structural Growth Expectation。

金融環境と 実体需要の構造変化が、 同じ企業群へ 同時に追い風となりました。

Massive Liquidity

Zero Rate

Digital Demand

Structural Growth

Growth / Technology Leadership

Valuation Expansion

市場は「現在の利益」より「コロナ後の勝者」を買った

2020年の市場では、 現在の企業利益だけを比較しても 株価を説明しにくくなりました。

重要だったのは、 コロナ後の世界で どの企業が より大きくなっているのか。

どの企業が Market Shareを増やすのか。

どの企業が Digital化の中心になるのか。

どの企業が 物理的制約を受けずに 成長できるのか。

市場は、 Post-COVID Winner を先に選別し始めました。

その結果、 現在の利益が それほど大きくなくても、 将来成長期待が強い企業へ 高いValuationが付くことがあります。

市場が買ったのは、 2020年の利益だけではない。

コロナ後の世界で、 誰が勝つのかを買った。

しかし、この構造には大きな内部矛盾があった

コロナ流動性相場には、 非常に大きな矛盾があります。

経済活動は弱い。

失業は増える。

多くの企業が苦しい。

政府支出は拡大する。

中央銀行Balance Sheetも拡大する。

しかし、 株式市場は上昇する。

さらに、 一部のGrowth企業の Valuationは 急速に高くなります。

つまり、 Main Street Wall Street の間に 大きな乖離が生まれました。

この乖離は、 政策が間違っていたことを 意味するわけではありません。

政策の目的は、 経済停止を金融崩壊へ 転化させないことでした。

しかし、 同じ政策が 資産価格を押し上げることで、 別の問題を 生み出します。

Asset Inflation。

Valuation Expansion。

資産保有者と 非保有者の格差。

そして、 将来の金融政策正常化への 感応度です。

政策効果 同時に生まれた問題
信用市場安定 Asset Price Inflation
企業倒産抑制 Valuation Expansion
低金利 Risk Taking拡大
大量流動性 資産価格と実体経済の乖離
財政支援 将来の需要・物価上昇余地
Growth株上昇 金利上昇への感応度増大

成功した政策が、次のレジーム条件を作り始めた

危機対応として見れば、 大規模な流動性供給には 明確な役割がありました。

Credit Marketを守る。

企業を生かす。

家計所得を支える。

金融システムを守る。

しかし、 政策が成功し、 経済活動が 再開できるようになったとき、 同じ流動性は 別の意味を持つようになります。

経済が止まっている間は、 流動性は Bridgeです。

しかし、 経済が再開する中でも 大量の流動性が残れば、 需要を押し上げます。

資産価格を押し上げます。

商品価格も 押し上げる可能性があります。

そして最終的には、 Inflation Interest Rate の問題へ つながっていきます。

Emergency Liquidity

System Stabilization

Asset Price Recovery

Economic Reopening

Persistent Liquidity

Demand Recovery

Asset / Commodity Repricing

Reflation Pressure

危機を救った流動性は、 危機が終われば 同じ意味ではなくなる。

救済のためのマネーが、 次には景気と物価を 動かし始める。

Part3の結論

2020年春以降、 実体経済は 厳しい状態にありました。

しかし、 株式市場は 急速に回復しました。

その背景には、 ゼロ金利。

QE。

大量流動性。

信用市場安定化。

財政支援。

これらの 政策Driverがありました。

Discount Rateは低下しました。

Risk Premiumも低下しました。

Cashを持ち続ける魅力は 小さくなりました。

資金は Risk Assetへ向かいました。

しかし、 それだけではありません。

Pandemicは 生活と企業活動の Digital化を加速しました。

EC。

Cloud。

Data Center。

Electronic Payment。

Online Service。

Semiconductor。

構造的成長企業には 実需そのものが増えました。

つまり、 Liquidity Expansion Digital Transformation が 同じ方向へ作用しました。

その結果、 実体経済全体は弱いのに、 一部の企業と株式市場は 強く上昇する K字型の相場が形成されました。

経済が止まり、 マネーが市場へ流れた。

そして、 止まった経済を動かすために Digital化が加速した。

流動性が株価を上げ、 構造変化が 上がる企業を選んだ。

しかし、 2020年後半になると、 この相場は さらに変化します。

感染の終息ではありません。

ワクチン という 新しいDriverが現れます。

ワクチン開発期待。

経済再開期待。

財政拡張。

需要回復。

金利上昇。

Value株。

景気敏感株。

ここから、 Liquidityだけで Growth株を買う相場に、 Reopening / Reflation という別のDriverが 入り始めます。

次のPartでは、 ワクチン開発、 経済再開期待、 米大統領選、 財政政策、 金利、 GrowthからValueへのRotation、 そして日経平均3万円回復までを整理し、 なぜ2021年2月16日で 「コロナ流動性相場」を終えるのかへ つなげます。

Part 4

2020年後半、市場に新しい問いが生まれた

2020年春から夏にかけて、 株式市場を支配したのは Liquidityでした。

FRB。

QE。

ゼロ金利。

財政支援。

Credit Marketの安定。

そして、 Digital Transformation。

市場は、 経済が完全に正常化しなくても 成長できる企業 を買いました。

しかし、 2020年後半になると、 市場に 別の問いが生まれます。

もし、 感染を抑えることができたら。

もし、 人が再び移動できたら。

もし、 店舗が通常営業できたら。

もし、 旅行が戻ったら。

もし、 工場が正常に動いたら。

そのとき、 今まで売られていた企業は どうなるのか。

市場は、 「コロナでも成長できる企業」 だけではなく、 「コロナが終われば回復する企業」 を考え始めました。

前半の問いは、 「コロナでも誰が成長できるか」 だった。

後半の問いは、

「コロナ後に、 誰が最も回復するか」 へ変わった。

ワクチンが「時間」を変えた

パンデミック初期の 最大の問題の一つは、 終わりが見えないことでした。

感染がいつ収束するのか。

経済活動を いつ正常化できるのか。

企業利益が いつ戻るのか。

誰にも 正確には分かりません。

政策は、 その不確実な期間を 橋渡しするために 必要でした。

しかし、 ワクチン開発が進むと、 市場は初めて Pandemicの先にある 正常化への時間軸 を持てるようになります。

感染が 明日なくなるわけではありません。

経済が 翌日に正常化するわけでもありません。

それでも、 「いつ終わるか分からない」 から、

「時間はかかるが、 正常化へ向かう可能性がある」 へ、 期待形成が変わります。

Open-ended Pandemic

Extreme Uncertainty

━━━━━━━━━━

Vaccine Development

Normalization Visibility

Reopening Expectation

ワクチンが すぐに経済を正常化したのではない。

正常化という未来に、 時間軸を与えた。

2020年11月、Vaccine Tradeが始まった

2020年11月。

ワクチン開発に関する 良好な臨床試験結果が 相次いで伝わります。

これは、 単なる医療ニュースではありませんでした。

金融市場にとっては、 Economic Reopeningの確率を 大きく引き上げる情報です。

旅行が戻るかもしれない。

航空需要が戻るかもしれない。

ホテルへ 人が戻るかもしれない。

店舗へ 人が戻るかもしれない。

工場稼働が 正常化するかもしれない。

設備投資が 戻るかもしれない。

市場は、 これまで大きく売られていた Reopening Sensitive Asset を再評価し始めます。

Vaccine Efficacy Expectation

Pandemic Tail Risk Decline

Economic Reopening Expectation

Earnings Recovery Expectation

Reopening Trade

市場は「Stay at Home」から「Reopening」へ動き始めた

コロナ相場前半では、 Stay at Homeに適応できる企業が 高く評価されました。

しかし、 経済再開期待が強まると、 市場の視線が 広がります。

銀行。

自動車。

機械。

素材。

商社。

運輸。

旅行。

これまで PandemicのNegative Driverを 強く受けていた企業ほど、 正常化による 利益回復余地が大きくなります。

ここから、 Stay-at-Home Winners だけではない、 より広い銘柄群への 資金Rotationが始まります。

Stay-at-Home / Growth Reopening / Cyclical
EC 店舗・小売
Cloud オフィス・設備関連
Digital Service 対面サービス
Online Entertainment 旅行・レジャー
Long Duration Growth Cyclical Earnings Recovery
低金利感応度が高い 景気回復感応度が高い
コロナ環境で優位 経済正常化で改善

ここで「GrowthからValueへ」というRotationが始まる

市場ではしばしば、 この変化を Growth to Value Rotation と表現します。

ただし、 単純に Growth株が終わり、 Value株が始まった、 という意味ではありません。

重要なのは、 市場が評価する Cash Flowの種類が変わったことです。

コロナ前半では、 遠い将来まで 高い成長を続ける企業が 評価されました。

しかし、 経済再開が見えてくると、 今まで落ち込んでいた利益が 急速に戻る企業にも 価値が生まれます。

つまり、 Structural Growth だけでなく、 Cyclical Earnings Recovery が 投資対象になります。

Liquidity Market

Long Duration Growth Leadership

━━━━━━━━━━

Vaccine

Reopening

Cyclical Earnings Recovery

Market Breadth Expansion

Growthが 消えたのではない。

市場が買える未来が、 一つから二つへ増えた。

Digital Growthと、 Economic Reopening。

日本株には、Reopeningが大きな意味を持った

この変化は、 日本株にとって 特に重要でした。

日本株市場には、 世界景気。

製造業。

設備投資。

自動車。

機械。

素材。

商社。

銀行。

こうした Cyclicalな企業が多く存在します。

したがって、 世界経済が 「停止」から「再開」へ向かうという期待は、 日本株全体の Earnings Recovery期待へ つながりやすい構造を持ちます。

特に、 世界製造業の回復。

中国需要。

設備投資。

半導体需要。

自動車生産。

これらの改善期待は、 日本企業のEPS回復期待を 押し上げます。

Japan Equity Transmission

Vaccine → Global Reopening → Global Manufacturing Recovery → Capex Recovery → Export Recovery → Japanese Corporate EPS Recovery

日本株の強さは「日本だけの回復」ではなかった

ここで重要なのは、 日本株上昇を 日本国内だけの景気回復として 理解しないことです。

日本企業の多くは、 世界需要へ 大きく接続しています。

自動車。

工作機械。

FA。

半導体製造装置。

電子部品。

化学。

商社。

世界経済が 再び動き始めるという期待は、 日本企業にとって Global Earnings Recovery を意味します。

したがって、 2020年後半の日本株は、 国内感染状況だけでは 説明できません。

Global Liquidity。

Vaccine。

China Demand。

Global Manufacturing。

US Fiscal Policy。

こうしたGlobal Driverが 日本株へ伝播しました。

米大統領選後、財政政策への期待も強まった

2020年後半には、 もう一つ重要なDriverが 強まります。

Fiscal Expansion です。

コロナ危機では、 金融政策だけでなく 財政政策が 非常に大きな役割を持ちました。

家計所得を支える。

企業を支援する。

雇用を守る。

そして、 経済再開後の需要を 支える。

市場は次第に、 単なる危機救済ではなく、 財政政策が 景気回復を押し上げる可能性 を意識するようになります。

これは、 コロナ前の世界との 大きな違いです。

金融政策だけではなく、 財政政策も Asset Pricingの中心的Driverへ 入ってきました。

Monetary Expansion

Fiscal Expansion

Vaccine

Reopening

Growth Expectation Recovery

Reflation Expectation

「デフレ」ではなく「リフレ」が意識され始めた

2020年3月、 市場が恐れていたのは Deflationary Shockでした。

需要消失。

原油価格急落。

企業利益急減。

失業増加。

経済活動停止。

しかし、 2020年末から2021年初めには、 市場が考える方向が 変わり始めます。

ワクチン。

経済再開。

巨額財政支出。

大量流動性。

需要回復。

商品価格回復。

これらが重なると、 次に意識されるのは Reflation です。

2020年3月 2021年初め
Economic Shutdown Economic Reopening
Deflation Risk Reflation Expectation
Cash Demand Risk Taking
Oil Collapse Commodity Recovery
Yield Compression Yield Repricing
Growth Concentration Market Breadth Expansion
Survival Recovery

金利が、再び意味を持ち始めた

Reflation期待が高まると、 金利市場にも 変化が現れます。

景気が回復する。

需要が戻る。

財政支出が増える。

物価が 将来上がるかもしれない。

すると、 長期金利は 上昇しやすくなります。

これは、 コロナ流動性相場前半とは 逆のDriverです。

前半では、 金利低下が Growth株のValuationを 押し上げました。

しかし、 金利が上昇すると、 Long Duration Growth Assetの Discount Rateは 上昇します。

一方で、 銀行など 金利正常化の恩恵を受けやすい企業や、 景気回復によって 利益が改善する企業には 追い風となることがあります。

つまり、 金利上昇は、 市場内部のLeadershipを 変えるDriver になります。

Reopening

Fiscal Expansion

Reflation Expectation

Long-term Yield Rise

Growth Valuation Pressure

Cyclical / Value Support

Sector Rotation

ここに、次フェーズのDriverが見え始める

ここで、 Market History DBとして 重要な点があります。

フェーズは、 ある日突然 すべてのDriverが入れ替わるわけではありません。

古いDriverが まだ残っている間に、 次のDriverが 市場へ入り始めます。

2020年末が まさにその状態です。

Liquidityは まだ大きい。

ゼロ金利政策も 続いている。

QEも続いている。

Growth株も 依然として重要です。

つまり、 コロナ流動性相場は まだ終わっていない。

しかし同時に、 Vaccine。

Reopening。

Fiscal Expansion。

Reflation。

Yield Rise。

Cyclical Recovery。

これら 次フェーズのDriverも 強くなっています。

この期間を、 Regime Transition Zone として考えることができます。

Regime Transition Zone

旧レジーム: Liquidity Zero Rate Growth Technology Digital Transformation

新レジーム: Vaccine Reopening Fiscal Expansion Reflation Yield Rise Cyclical Recovery

2020年末から2021年初めは、 二つのDriver群が 同時に存在する移行期間だった。

なぜワクチン発表日をフェーズ終了日にしないのか

イベントベースで考えれば、 2020年11月の ワクチン開発進展を フェーズ境界とすることもできます。

しかし、 Market History DBでは そうしません。

理由は、 イベントが発生したことと、 市場レジームが転換したことは 同じではない からです。

ワクチン報道によって、 Reopening期待は 急速に高まりました。

しかし、 FRBの金融緩和は 続いています。

大量流動性も 残っています。

Growth株も 市場の主要なLeadershipを 維持しています。

経済活動も 完全には正常化していません。

したがって、 ワクチンは Phase Change Event ではなく、 まず Phase Transition Signal として扱う方が 構造的です。

イベントが起きた日と、 レジームが変わった日は、 同じとは限らない。

イベントは転換を始める。 市場構造の変化が、 転換を完成させる。

2021年初め、日本株は3万円を目指した

2021年に入ると、 日本株の上昇は さらに強まります。

Global Liquidity。

ワクチン期待。

世界景気回復期待。

米国財政拡張期待。

半導体需要。

製造業回復。

企業利益改善期待。

複数のPositive Driverが 日本株へ重なります。

さらに、 Growthだけではなく、 景気敏感株やValue株にも 上昇が広がります。

つまり、 指数上昇の中身が 変化していきます。

コロナ禍でも成長できる企業だけが 買われる市場から、 世界経済の正常化そのものを 買う市場 へ。

そして、 2021年2月。

日経平均は 3万円台を回復します。

これは、 単なる大台回復ではありません。

Market History DBでは、 この時点を Liquidityによる危機脱出から、 Reopening / Reflationを織り込む市場への 構造転換が明確になった地点 として捉えます。

2021年2月16日という境界

2021年2月16日。

この日を、 コロナ流動性相場の 終了日とします。

もちろん、 この日に コロナ禍が終わったわけではありません。

感染は続いています。

日本では、 その後も緊急事態宣言が 発出されます。

中央銀行の金融緩和も 終わっていません。

つまり、 Pandemic End ではありません。

では、 何が終わったのでしょうか。

それは、 Pandemic ShockとLiquidityだけで 市場を説明できるレジーム です。

市場の中心には、 経済再開。

世界景気回復。

財政拡張。

Reflation。

長期金利上昇。

Value / Cyclical Rotation。

という 新しいDriverが入っています。

したがって、 この境界は 「コロナが終わった日」 ではなく、

市場がコロナ後を 主として価格形成し始めた地点 として定義します。

Phase End Candidate

2021年2月16日

Pandemic Shockの解消ではない。

Liquidity Expansionの終了でもない。

Reopening / Reflation / Yield Repricing / Cyclical Earnings Recoveryが 価格形成の中心へ移ったこと をフェーズ境界とする。

日経平均3万円は「結果」であって「原因」ではない

ここも重要です。

日経平均が 3万円を回復したから、 フェーズを 変えるわけではありません。

価格水準だけで フェーズを分類すると、 Market History DBの レジーム分類ではなくなります。

3万円回復は、 その背後にある Liquidity。

Vaccine。

Reopening。

Fiscal Expansion。

Global Manufacturing Recovery。

EPS Recovery。

Reflation。

Sector Rotation。

これらのDriver変化が 価格へ表れた Confirmation Signal として扱います。

3万円だから、 フェーズが変わったのではない。

フェーズが変わり始めた結果として、 3万円が現れた。

Phase Transition

Pandemic Shock

Liquidity Crisis

Policy Rescue

Excess Liquidity

Growth / Technology Leadership

Digital Transformation

Vaccine

Reopening Expectation

Fiscal Expansion

Reflation Expectation

Yield Repricing

Cyclical / Value Rotation

次フェーズ

Part4の結論

コロナ流動性相場の前半では、 市場を救ったのは Liquidityでした。

ゼロ金利。

QE。

Credit Support。

Fiscal Support。

これらが Systemic Riskを低下させ、 株式市場を 急速に回復させました。

そして、 Digital Transformationと 低金利が重なり、 Growth / Technologyが 市場を主導しました。

しかし、 2020年後半、 ワクチンという 新しいDriverが現れます。

それによって、 市場は初めて Pandemicの向こう側を 具体的に考え始めます。

経済再開。

需要回復。

財政拡張。

世界製造業回復。

企業利益回復。

商品価格回復。

金利上昇。

そして、 Growthから Cyclical / ValueへのRotation。

つまり、 市場の中心は 「経済が止まっていても、 Liquidityが資産価格を支える」 から、

「経済が再び動くことで、 利益・物価・金利が動き始める」 へ移行しました。

危機の最中、 市場を動かしたのは マネーだった。

しかし、 経済が再び動き始めると、

そのマネーが、 景気と物価を動かし始める。

これが、 コロナ流動性相場から 次のレジームへ向かう 転換点です。

次のPartでは、 ここまでのフェーズを Driverの時間構造として整理します。

Pandemic。

Liquidity Crisis。

FRB。

Fiscal Policy。

Digital Transformation。

Vaccine。

Reopening。

Reflation。

これらを、 単なる出来事の列ではなく、 どのDriverが いつ主役になり、 どのDriverが 次のDriverを生んだのか という因果構造として整理します。

そして、 日本株における 海外投資家、 為替、 半導体、 製造業、 Growth / Value Rotationまで含めて、 なぜこのフェーズが 日本株相場史における 大きなレジーム転換だったのか を掘り下げます。

Part 5

Regime Drivers

コロナ流動性相場では、 危機の初期と後期で 市場を動かすDriverが 大きく変化しました。

Pandemic Shock。

Economic Shutdown。

Liquidity Stress。

FRB Emergency Response。

Fiscal Support。

Digital Transformation。

Growth / Technology Leadership。

Vaccine。

Reopening。

Reflation。

一つのDriverが 最初から最後まで 支配した相場ではありません。

むしろ、 危機対応のDriverが、 次の成長Driverを生み出した ことが このフェーズの特徴です。

Shock Drivers

Driver 構造 市場への作用
COVID-19 Pandemic 感染症の世界的拡大 人の移動・消費・生産活動を制約
Economic Shutdown 感染防止のための活動停止 売上・Cash Flowを急減
Global Risk Off 世界的なリスク削減 株式・Creditを広範囲に売却
Dollar Liquidity Stress 世界的なドルCash需要 Funding MarketへStress
Credit Market Stress 企業資金調達環境の悪化 Economic CrisisからFinancial Crisisへの波及リスク

Policy Drivers

Driver 構造 市場への作用
Fed Emergency Easing 緊急利下げ・ゼロ金利 金融条件を急速に緩和
QE Expansion 大規模資産買入れ 流動性供給と金利低下を促進
Credit Support 信用市場への政策介入 企業資金調達環境を安定
Dollar Liquidity Support ドル資金供給 Global Funding Stressを緩和
Fiscal Expansion 企業・家計・雇用支援 Economic Shutdown期間を橋渡し
BOJ Easing / ETF Support 国内金融緩和・市場支援 日本株・金融環境を下支え

Structural Growth Drivers

Driver 構造 市場への作用
Digital Transformation 企業・家計活動のOnline Shift Technology / Growth需要を加速
Cloud Expansion 在宅勤務・業務Digital化 Cloud / Data Center関連需要を押し上げ
EC Expansion 店舗からOnlineへの消費移行 Digital Commerce関連企業を支援
Electronic Payment 非接触需要・Cashless化 Payment関連需要を拡大
Semiconductor Demand 端末・サーバー・データ需要 半導体関連企業を支援
Automation 省人化・接触削減 FA / Robotics需要を中長期で支援

Transition Drivers

Driver 構造 次フェーズへの作用
Vaccine Pandemic収束可能性 Economic Reopeningの時間軸を明確化
Reopening Expectation 対面経済再開期待 Cyclical Earnings Recoveryを支援
Fiscal Expansion 需要押し上げ Reflation Expectationを強化
Commodity Recovery 需要正常化期待 DeflationからReflationへ
Yield Repricing 長期金利上昇 Growth / Value Leadershipを変化
Market Breadth Expansion 上昇銘柄の拡大 Liquidity ConcentrationからCyclical Recoveryへ

Driver Interaction

Pandemic Shock

Economic Shutdown

Cash Flow Shock

Credit / Dollar Liquidity Stress

Emergency Monetary Response

Fiscal Expansion

System Stabilization

Excess Liquidity

Zero Rate

Discount Rate Decline

Digital Transformation

Growth / Technology Leadership

━━━━━━━━━━

Vaccine

Reopening Expectation

Fiscal Expansion

Reflation

Yield Repricing

Cyclical / Value Rotation

日本株へのTransmission

コロナ流動性相場は、 日本国内だけで 形成された相場ではありません。

むしろ、 Global Liquidityと Global Growth Expectationが、 日本企業へ 複数の経路で伝播しました。

Fed Liquidity

Global Risk Appetite

Foreign Equity Allocation

Japanese Equity Re-rating

━━━━━━━━━━

Digital Demand

Semiconductor / Electronics

Japanese Technology Earnings

━━━━━━━━━━

Vaccine / Reopening

Global Manufacturing Recovery

Japan Export / Machinery / Auto Recovery

EPS Recovery

市場の中心銘柄群も、フェーズ内部で変化した

このフェーズでは、 一つの銘柄群だけが 最初から最後まで主役だったわけではありません。

危機初期。

流動性回復局面。

Digital Growth局面。

Reopening局面。

それぞれで 中心銘柄群が変化しました。

局面 中心銘柄群 主要Driver
危機初期 広範囲に売却 Cash / Liquidity Stress
政策救済 大型Growth / Technology Zero Rate / QE / Liquidity
Digital Expansion 半導体・IT・EC・Cloud・Digital関連 Digital Transformation
Reopening Transition 自動車・機械・素材・商社・銀行など Vaccine / Reopening / Reflation
終盤 Growth + Cyclicalの幅広い上昇 Liquidity + Earnings Recovery

中心銘柄群は、 本フェーズの市場構造を説明するための代表的分類です。 個別銘柄の騰落率、 指数寄与度、 売買代金、 主導期間については、 全フェーズ記事完成後の横断リライトで 市場データを用いて再検証します。

市場参加者構造も変わった

コロナ流動性相場では、 市場参加者の行動にも 変化がありました。

危機初期には、 機関投資家が Risk Exposureを減らします。

ファンドは 換金需要へ対応します。

企業は Cashを確保します。

その後、 政策が金融市場を安定させると、 投資家は 再びRisk Assetへ戻ります。

さらに、 低金利。

在宅時間増加。

Digital Brokerage。

個人投資家の市場参加増加。

こうした要素も、 株式市場の 需給構造へ影響しました。

つまり、 Liquidityは 中央銀行Balance Sheetだけではなく、 市場参加者のRisk Taking行動まで変えた。

machine_phase

machine_phaseでは、 「コロナ」という イベント名を そのまま市場状態として扱いません。

Pandemicは 外生Shockです。

machine_phaseで観測するのは、 そのShockによって 市場がどの状態へ移ったのかです。

Liquidity Stress。

Risk Off。

Credit Stress。

Policy Rescue。

Yield Compression。

Risk Appetite Recovery。

Growth Leadership。

Reopening Rotation。

こうした 再利用可能な市場状態へ分解します。

machine_phase一覧

machine_phase 主な観測対象 構造的意味
Pandemic Risk Expansion 感染拡大・移動制限・Volatility 外生Shockが市場Risk Premiumへ急速に伝播
Economic Shutdown 移動・消費・生産・企業活動 通常景気循環ではない急停止
Global Risk Off 株式・Credit・資金フロー 広範囲なRisk Exposure削減
Liquidity Stress Dollar Funding・Cash Demand・市場流動性 企業価値よりCash確保が優先される
Credit Stress 社債・Credit Spread・企業資金調達 Economic ShockがFinancial Crisisへ転化する危険
Policy Rescue 中央銀行・財政政策・市場機能 Systemic Riskを政策で遮断
Yield Compression 政策金利・長期金利・実質金利 Discount Rate急低下
Liquidity Expansion 中央銀行Balance Sheet・金融条件 Risk Assetへの資金供給拡大
Risk Appetite Recovery 株式・Credit・Volatility Tail Risk低下によるRisk Taking再開
Growth Leadership Growth / Technology相対株価 低金利と将来成長期待によるLong Duration優位
Digital Demand Acceleration EC・Cloud・Data・Semiconductor需要 Pandemicによる構造需要前倒し
K-shaped Market セクター・企業業績格差 オンライン適応力による企業格差拡大
Vaccine Repricing ワクチン期待・Reopening Sensitive Asset Pandemic終息への時間軸が市場へ入る
Reopening Rotation Value / Cyclical / Travel / Financial 市場Leadershipが広がる
Reflation Repricing Commodity・Breakeven・Yield Deflation RiskからReflation期待へ
Market Breadth Expansion 上昇銘柄比率・セクター拡散 Growth集中から広範囲の回復へ

machine_phase Flow

Pandemic Risk Expansion

Economic Shutdown

Global Risk Off

Liquidity Stress

Credit Stress

Policy Rescue

Yield Compression

Liquidity Expansion

Risk Appetite Recovery

Growth Leadership

Digital Demand Acceleration

K-shaped Market

━━━━━━━━━━

Vaccine Repricing

Reopening Rotation

Reflation Repricing

Market Breadth Expansion

フェーズ内部では六段階に進行した

段階 主要machine_phase 市場状態
第1段階 Pandemic Risk Expansion 感染症が中国問題からGlobal Riskへ拡大
第2段階 Economic Shutdown / Liquidity Stress 経済停止がCash Flow・Funding Stressへ波及
第3段階 Policy Rescue / Yield Compression 中央銀行・政府がSystemic Riskを遮断
第4段階 Liquidity Expansion / Growth Leadership 実体経済より先に資産価格が回復
第5段階 Digital Demand Acceleration / K-shaped Market Technology・Digital企業と対面経済の格差が拡大
第6段階 Vaccine Repricing / Reopening Rotation / Reflation Repricing Liquidity相場から経済再開相場への移行開始

感染を恐れる

Cashを求める

政策を信じる

Liquidityを買う

Digital Growthを買う

Reopeningを買う

Human Phase

Human Phaseとして見ると、 このフェーズで 市場参加者の認識は 劇的に変化しました。

感染は 世界経済を止めるかもしれない。

企業は 生き残れるのか。

金融システムは 壊れないのか。

政策は 市場を守れるのか。

政策は 守れる。

では、 大量のCashを どこへ置くのか。

コロナ後に 誰が勝つのか。

そして、 経済が再開したら 誰が最も回復するのか。

この変化を 一つのHuman Themeにすると、

「経済が止まり、マネーが市場を動かした」

となります。

最初は、 Cashがすべてだった。

次に、 Liquidityが相場を救った。

そして最後には、

Liquidityが、 未来の成長と 経済再開を買い始めた。

LiquidityはDriverであり、同時に次の脆弱性でもあった

コロナ流動性相場を 「中央銀行がお金を出したから株価が上がった」 だけで終わらせると、 次のフェーズへ つながりません。

Liquidityには、 市場を救う役割がありました。

しかし、 その成功によって 新しい構造も作られました。

資産価格上昇。

Growth株の高Valuation。

大量の政府支出。

家計所得支援。

低金利。

商品価格回復。

経済再開。

これらが重なれば、 市場が次に意識するのは InflationとInterest Rate です。

つまり、 コロナ流動性相場の成功条件が、 そのまま 次フェーズの転換条件を 作り始めました。

成功条件 次の脆弱性・転換条件
Massive Liquidity Asset / Demand Inflation
Zero Rate Yield Repricing
Growth Valuation Expansion Duration Sensitivity
Fiscal Expansion Reflation Pressure
Economic Bridge Reopening Demand Surge
Commodity Recovery Inflation Expectation
Technology Leadership Growth / Value Rotation

危機を救った政策は、 危機が終われば 別の意味を持つ。

Liquidityは、 救済から ReflationのDriverへ変わり始めた。

Part5の結論

コロナ流動性相場は、 一つの危機と 一つの反発で 説明できるフェーズではありません。

最初に、 Pandemicが 経済活動を止めました。

経済停止が 企業Cash Flowを壊しました。

Cash Flow Shockが CreditとDollar Liquidityへ 波及しました。

そこで、 FRBと主要中央銀行、 各国政府が Systemic Riskを遮断しました。

政策が 金融システムを守ると、 Cash Preferenceは後退しました。

大量のLiquidityと ゼロ金利によって、 Risk Assetが 再評価されました。

同時に、 Pandemicは Digital Transformationを 加速しました。

その結果、 Growth / Technologyが 市場を主導しました。

しかし、 ワクチンが登場すると、 市場は コロナ後を考え始めます。

Economic Reopening。

Fiscal Expansion。

Reflation。

Yield Repricing。

Cyclical Recovery。

こうして、 Liquidity中心のレジームへ 次のDriver群が 侵入してきました。

このフェーズでは、 危機が政策を生み、 政策がLiquidityを生み、 Liquidityが資産価格を上げた。

そして最後には、

そのLiquidityが、 経済再開とReflationを 生み出す側へ回った。

次の最終Partでは、 MHDB Classification。

なぜ「コロナショック相場」ではなく 「コロナ流動性相場」なのか。

2008年との違い。

このフェーズが残した長期構造。

2021年2月16日を Phase Endとする理由。

そして、 次の リフレ・経済再開相場 への接続を整理します。

Part 6

MHDB Classification

Market History DBでは、 2020年1月20日から 2021年2月16日までを、 「コロナ流動性相場」 と分類します。

この名称で重要なのは、 「コロナ」よりも 「流動性」 です。

新型コロナウイルスは、 このフェーズを始めた 巨大なExternal Shockでした。

しかし、 フェーズ全体の価格形成を 説明したのは、 感染拡大だけではありません。

むしろ、 2020年3月以降の相場を 動かしたのは、 Pandemicに対して 世界の政策当局が供給した 圧倒的なLiquidity でした。

したがって、 COVID-19は フェーズを開始させたShock。

Liquidity Expansionは フェーズを支配したRegime Driver。

この二つを 分けて考える必要があります。

MHDB Classification

Market Phase: コロナ流動性相場

Period: 2020-01-20 – 2021-02-16

Initial Shock: Pandemic / Economic Shutdown

Dominant Regime: Policy Rescue / Excess Liquidity / Zero Rate

Market Leadership: Growth / Technology / Digital

Transition Driver: Vaccine / Reopening / Reflation / Yield Repricing

Human Theme: 経済が止まり、マネーが市場を動かした

なぜ「コロナショック相場」ではないのか

この期間を、 「コロナショック相場」 と呼ぶこともできます。

しかし、 それでは 2020年2月から3月の 暴落を説明することはできても、 その後の約1年間を 十分に説明できません。

感染は続いている。

経済活動も 完全には戻らない。

企業利益も 大きく落ち込んでいる。

それでも、 株価は上がりました。

なぜか。

金融システムへ 大量のLiquidityが供給されたからです。

政策金利は ゼロ近辺へ低下しました。

中央銀行Balance Sheetは 拡大しました。

Credit Marketは 政策によって支えられました。

財政政策も 家計と企業を支えました。

Discount Rateは低下し、 Risk Premiumも 縮小しました。

そして、 大量の資金が Risk Assetへ戻りました。

つまり、 暴落の原因と その後の相場のDriverは、 同じではありません。

コロナショック コロナ流動性相場
危機の原因 危機後の価格形成構造
Pandemic Liquidity Expansion
Economic Shutdown Policy Rescue
Risk Off Risk Appetite Recovery
Cash Demand Excess Cash
株価急落 Asset Re-rating
2020年春が中心 2020年春から2021年初めまでを説明

コロナショックは、 相場を壊した。

しかし、

その後の相場を作ったのは、 コロナではなくLiquidityだった。

イベントとレジームを分ける

これは、 Market History DBの 基本思想そのものです。

イベントは重要です。

しかし、 イベントそのものを Market Phaseと考えると、 相場の構造が 見えにくくなります。

COVID-19 Pandemic。

FRBの緊急利下げ。

大規模QE。

緊急事態宣言。

財政支援。

ワクチン開発。

これらは、 それぞれ重要な Eventです。

しかし、 Market Phaseとは、 それらのイベントによって 価格形成の支配構造が どのような状態になったのか を示すものです。

Event

Market Impact

Policy / Liquidity / Earnings Change

Investor Behavior Change

Persistent Pricing Structure

Market Phase

イベントは、 相場を動かす。

しかし、

レジームは、 相場がどう動くかを決める。

2008年と2020年

コロナ流動性相場を 相場史として考えるとき、 世界金融危機との比較は 非常に重要です。

どちらも、 世界的な株価急落。

信用市場Stress。

中央銀行による 大規模金融緩和。

政府による 危機対応。

という共通点があります。

しかし、 危機の構造は 大きく異なります。

世界金融危機 コロナ流動性相場
金融内部の脆弱性 金融外部のShock
Credit Bubble Collapse Pandemic
金融 → 実体経済 実体経済 → 金融
金融機関のBalance Sheet問題 企業・家計のCash Flow問題
金融システム再建 経済停止期間のBridge
信用収縮が長期化 政策によって信用収縮を早期遮断
Deleveraging中心 Liquidity Expansionへ急転換

2008年は、 金融が壊れ、 経済を壊した。

2020年は、 経済が止まり、 金融を壊しかけた。

しかし、

政策が金融への波及を 極めて早い段階で遮断した。

2008年の経験が、2020年の政策速度を変えた

2020年の政策対応を考えるとき、 2008年の経験を 無視することはできません。

世界金融危機では、 信用市場の崩壊が 金融機関、 企業、 家計、 そして実体経済へ 急速に波及しました。

その経験から、 政策当局には 一つの教訓がありました。

Liquidity Crisisを 放置してはいけない。

市場機能が失われてから 対応するのでは遅い。

信用市場が止まる前に 流動性を供給する。

企業が資金調達できなくなる前に Creditを支える。

Dollar Funding Stressが 世界へ広がる前に 資金供給を行う。

2020年の政策対応は、 危機の規模だけでなく、 危機への反応速度 という点でも 歴史的でした。

2008年は、 何が起きるかを 世界に教えた。

2020年、

政策当局は、 その記憶を持って危機に入った。

このフェーズが変えた「中央銀行」の意味

コロナ危機では、 中央銀行の役割も さらに拡張されました。

従来の中央銀行は、 政策金利を動かす。

銀行システムへ 流動性を供給する。

最後の貸し手として 金融機関を支える。

という役割が中心でした。

しかし、 2020年には、 金融市場そのものの 機能維持が重要になります。

国債市場。

Credit Market。

Dollar Funding。

企業金融。

市場が止まれば、 経済活動停止が 金融危機へ転化します。

そのため、 中央銀行は 単なる金利政策主体ではなく、 Market Liquidityの 最終的なBackstop として認識されるようになりました。

そして、財政政策もAsset Pricingへ入ってきた

もう一つの歴史的変化は、 財政政策です。

コロナ危機では、 金利を下げるだけでは 問題を解決できませんでした。

営業できない企業。

働けない人。

所得が減る家計。

こうした主体へ、 直接的に 所得と資金を 橋渡しする必要があります。

そのため、 金融政策と財政政策が 同じ方向へ 大規模に作用しました。

これは、 金融市場にとっても 重要な変化です。

今後のAsset Pricingでは、 中央銀行だけでなく、 政府支出・財政赤字・所得移転・財政刺激 も、 Liquidityと需要を考えるうえで 無視できなくなります。

Monetary Policy

Fiscal Policy

Liquidity Support

Income Support

Asset Recovery

Demand Recovery

コロナは、日本企業のDigital化も前倒しした

日本株相場史としては、 Digital Transformationも 重要な意味を持ちます。

日本企業では、 以前から Digital化。

Cloud。

Cashless。

Remote Work。

Automation。

といった課題が 指摘されていました。

しかし、 Pandemicによって 「将来導入する技術」 ではなく、 「今導入しなければ 事業を継続できない技術」 へ変わりました。

この変化は、 単なる2020年のThemeではありません。

その後の Software。

Semiconductor。

Data Center。

Automation。

Digital Infrastructure。

といった 日本株の構造成長Themeにも つながっていきます。

コロナは、 Digital化を始めたのではない。

Digital化を、 「選択」から「必須」へ変えた。

コロナ流動性相場が残したもの

このフェーズが 相場史に残したものは、 株価の急落と急反発だけではありません。

第一に、 Policy Backstop。

危機時には 中央銀行が 市場機能そのものを守るという期待。

第二に、 Monetary + Fiscal Coordination。

金融政策と財政政策が 同時に大規模化する構造。

第三に、 Digital Acceleration。

企業と家計のDigital化の前倒し。

第四に、 Asset / Economy Divergence。

実体経済と 金融市場が 大きく乖離し得るという経験。

第五に、 Inflation Seed。

危機対応として供給された LiquidityとFiscal Supportが、 経済再開後には 需要・物価・金利へ作用する可能性です。

残された構造 その後への意味
Policy Backstop 市場の政策依存度上昇
Massive Liquidity Asset Inflation
Fiscal Expansion 需要回復・Reflation
Digital Acceleration Technology構造成長
High Growth Valuation 金利上昇への脆弱性
Supply Disruption 供給制約・物価上昇リスク
Reopening Cyclical Earnings Recovery

フェーズ終了条件

では、 コロナ流動性相場は 何をもって終わったと 判断するのでしょうか。

感染者数が ゼロになったことではありません。

緊急事態宣言が 完全に終わったことでもありません。

QEが 終了したことでもありません。

フェーズ終了条件は、 価格形成を支配するDriverが 変化したこと です。

確認項目 構造変化
Pandemic Tail Risk Vaccineによって低下方向へ
Economic Outlook ShutdownからReopeningへ
Growth Expectation 危機回避から景気回復へ
Inflation Expectation DeflationからReflationへ
Long-term Yield 低下・圧縮から上昇方向へ
Market Leadership Growth集中からCyclical / Valueへ拡大
Japanese Earnings 生存懸念からGlobal Recovery期待へ
Investor Narrative Liquidity RescueからEconomic Reopeningへ

フェーズは、 危機が終わったから 終わるのではない。

市場が、 別の未来を価格形成し始めたときに終わる。

2021年2月16日

2021年2月16日。

日経平均は 3万円台で推移しました。

約30年ぶりとなる 歴史的な価格水準です。

しかし、 MHDBが この日を境界とする理由は、 3万円という数字そのものではありません。

市場内部で、 すでに 複数の変化が起きていました。

Vaccine。

Reopening。

Fiscal Expansion。

Global Manufacturing Recovery。

Commodity Recovery。

Inflation Expectation。

Yield Repricing。

Cyclical / Value Rotation。

つまり、 Pandemic Shockから 金融システムを救うことが 市場の中心だった時代から、

経済再開によって 成長・物価・金利が どう変化するか を考える時代へ 移っていました。

日経平均3万円は、 この構造変化の Confirmation Signal です。

このフェーズを一行で表すなら

経済が止まり、 マネーが市場を動かした。

これが、 コロナ流動性相場の Human Themeです。

感染症によって 世界経済が停止しました。

企業Cash Flowが 急減しました。

金融市場は Liquidity Crisisへ 接近しました。

しかし、 中央銀行と政府が その連鎖を遮断しました。

大量のLiquidityが 金融市場へ供給されました。

金利は低下しました。

Risk Premiumも 低下しました。

そして、 経済がまだ止まっている間に、 株価は 上昇を始めました。

その資金は、 Digital化という 構造変化と結びつき、 Growth / Technologyを 大きく押し上げました。

実体経済と 金融市場は乖離しました。

しかし、 その乖離そのものが このフェーズの 構造でした。

相場史としての意味

コロナ流動性相場は、 日本株相場史において 非常に特殊なフェーズです。

世界経済が 歴史的な規模で停止する。

それにもかかわらず、 株式市場は 短期間で回復する。

この一見した矛盾を 理解するには、 企業利益だけでは 足りません。

Liquidity。

Policy。

Discount Rate。

Credit。

Fiscal Support。

Investor Positioning。

Digital Transformation。

これらを 同時に見る必要があります。

そして、 この経験は Market History DBが 相場をイベントではなく Regimeとして分類する理由 を、 最も明確に示す事例の一つです。

実体経済だけを見れば、 2020年の株高は 理解しにくい。

価格だけを見れば、 なぜ上がったのか 理解しにくい。

PolicyとLiquidityを見ることで、 初めて相場の構造が見える。

そして、相場の問いは変わった

2020年3月、 市場の問いは、

「金融システムは持つのか」

でした。

その後、

「大量のLiquidityは どこへ向かうのか」

へ変わりました。

そして、 2021年初め。

市場の問いは、 もう一度変わります。

経済が再開したら、 需要は どこまで戻るのか。

企業利益は どこまで回復するのか。

商品価格は どこまで上がるのか。

インフレは 戻るのか。

長期金利は 上がるのか。

Growth株の 高いValuationは 維持できるのか。

銀行。

商社。

自動車。

機械。

素材。

これまで コロナに苦しんだ企業が、 今度は 相場の主役になるのか。

つまり、 市場のテーマは Survival から Liquidity へ、 そして、 Reopening / Reflation へ移っていきます。

Survival

Policy Rescue

Liquidity

Growth / Technology

Vaccine

Reopening

Reflation

Interest Rate Repricing

次のフェーズへ

2021年2月。

日経平均は 3万円台を回復しました。

世界はまだ、 Pandemicの中にいました。

日本でも、 感染との戦いは 終わっていません。

それでも、 市場は すでに別の世界を 見始めていました。

ワクチンが普及する。

人が動き始める。

工場が動く。

旅行が戻る。

消費が戻る。

企業利益が戻る。

そして、 危機の間に供給された 大量のマネーも残っている。

経済活動が止まっている間、 Liquidityは 金融システムを守るための Bridgeでした。

しかし、 経済が動き始めれば、 同じLiquidityは 需要を刺激します。

商品価格を押し上げます。

企業利益を押し上げます。

そして、 物価と金利を 動かし始めます。

経済が止まっていたとき、 マネーは 市場を動かした。

しかし、 経済が再び動き始めると、

今度は、 マネーが景気と物価を 動かし始める。

ここから、 日本株は 新しい相場へ入ります。

主役は、 危機を生き延びる企業から、 経済再開で 利益を取り戻す企業へ。

市場の焦点は、 Deflation Riskから Inflation Expectationへ。

金利低下から 金利上昇へ。

Growth集中から Value / Cyclicalへ。

Liquidity Rescueから Economic Recoveryへ。

コロナ流動性相場は終わった。

しかし、 そこで生み出された 巨大なLiquidityは、 消えたわけではありません。

むしろ、 そのLiquidityこそが、 次の相場を 動かすことになります。

次のフェーズ、

リフレ・経済再開相場へ。

Market History DB

相場は、出来事ではなく構造で動く。

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