米中対立調整相場

phase

Market History DB / Market Phase

米中対立調整相場

2018-01-24 – 2020-01-17

世界は、同じ方向を向かなくなった

世界同時成長によって 企業利益と株価が拡大した市場が、 米国金利上昇、 低ボラティリティの崩壊、 米中貿易摩擦、 中国景気減速、 世界製造業の調整、 半導体サイクルの鈍化によって、 「世界成長を買う市場」から 「世界の分断と減速を警戒する市場」へ 移行したフェーズ。 2019年には FRBの政策転換と 米中協議への期待によって株価は回復するが、 世界同時成長そのものが 復活したわけではなかった。 市場の中心Driverが 成長から政策と政治へ移ったことが、 このフェーズの本質である。

2018年1月。

世界経済は、 強く見えました。

米国。

欧州。

日本。

中国。

主要地域の景気が拡大していました。

世界製造業は強い。

世界貿易も伸びている。

企業利益も増えている。

半導体需要も強い。

設備投資も拡大している。

市場のボラティリティは低い。

株価が下落しても、 押し目では買いが入る。

世界同時成長は、 市場参加者の 共通認識になっていました。

しかし、 強い景気には 別の側面があります。

景気が強ければ、 賃金が上がる。

賃金が上がれば、 インフレへの警戒が強まる。

インフレへの警戒が強まれば、 金利が上がる。

金利が上がれば、 低金利を前提としてきた 資産価格の評価が変わります。

そして2018年、 もう一つの大きな変化が起こります。

世界最大の二つの経済大国が、 互いを成長相手ではなく、 競争相手として見るようになった。

米国と中国です。

関税。

貿易赤字。

知的財産。

技術移転。

半導体。

通信。

サプライチェーン。

問題は、 単なる輸入関税ではありませんでした。

世界経済を支えてきた Globalization そのものに、 政治と安全保障が 入り始めます。

前フェーズでは、 世界が同じ方向へ成長することが 日本企業の利益を押し上げました。

しかし今度は、 その世界が 同じ方向を向かなくなります。

世界同時成長相場では、 世界とのつながりが 日本企業の強さになった。

しかし、

世界が分断され始めると、 そのつながりが 再びリスクになった。

  1. フェーズ概要
  2. 相場推移と主要イベント
  3. このフェーズは、一方向の下落相場ではない
  4. 相場推移と主要イベント
  5. 日経平均で見る米中対立調整相場
  6. Events
  7. 世界同時成長相場の成功が、次の調整条件を作った
  8. この相場の本当の主役は「関税」だけではない
  9. Part1の結論
  10. 最初に壊れたのは、世界景気ではなかった
  11. Strong Growthが、金利上昇を生んだ
  12. 金利は、株価の「割引率」を変える
  13. 2018年2月、低ボラティリティの前提が崩れた
  14. Volatility Shockは「景気後退」を意味しなかった
  15. それでも、世界景気はまだ崩れていなかった
  16. 米中貿易摩擦が、市場の中心へ入った
  17. なぜ米中対立が日本株に効くのか
  18. 「貿易戦争」から「戦略的競争」へ
  19. Globalizationに、政治リスクが組み込まれた
  20. 日本株では、前フェーズの主役が弱点になった
  21. 2018年前半は「二つのRepricing」が重なった
  22. Part2の結論
  23. 米中対立は、やがて企業利益の問題になった
  24. 不確実性は、設備投資を止める
  25. 中国経済は、再び市場の弱点になった
  26. 世界製造業のMomentumが鈍化した
  27. FA・工作機械は、世界設備投資の減速を映した
  28. 半導体サイクルも、ExpansionからAdjustmentへ
  29. 構造成長と景気循環を分ける必要がある
  30. 企業利益のDriverが逆回転した
  31. 市場は、実績より先にEPSを下げ始めた
  32. 前フェーズのWinnerほど、利益感応度が高かった
  33. 2018年秋、問題は「関税」から「世界景気」へ移った
  34. そして、FRBはまだ引き締め側にいた
  35. 2018年末、複数のDriverが同時に悪化した
  36. それでも、金融危機ではなかった
  37. Part3の結論
  38. 2019年、相場を変えたのは景気ではなく政策だった
  39. FRB Pivot
  40. 「強い景気が株を上げる」相場から、「弱い景気が緩和を呼ぶ」相場へ
  41. 金利低下が、Valuationを支えた
  42. 金融緩和期待は、世界へ広がった
  43. 2019年の株価回復は、世界同時成長の復活ではなかった
  44. 米中協議が、第二の市場Driverになった
  45. 市場は「解決」を買ったのではない
  46. 2019年5月、再び対立が激化した
  47. 悪材料が、政策期待を強めるという逆説
  48. Growth DriverとPolicy Driverが分離した
  49. 日本株にも、政策主導の回復が波及した
  50. 2019年後半、悲観のピークが再び後退した
  51. 「第1段階合意」は、構造対立の解決ではない
  52. 2019年の市場は、二つの「安心」を買った
  53. しかし、世界の構造は2017年には戻っていなかった
  54. Part4の結論
  55. Regime Drivers
  56. Financial Drivers
  57. Geopolitical / Trade Drivers
  58. Macro / Earnings Drivers
  59. Policy Drivers
  60. Driver Interaction
  61. machine_phase
  62. machine_phase一覧
  63. machine_phase Flow
  64. 米中対立調整相場は、内部で五段階に進行した
  65. 中心銘柄群は、Driverの変化を映した
  66. Human Phase
  67. Market Phaseとmachine_phaseの違い
  68. このフェーズがMHDEに残す重要な比較軸
  69. Part5の結論
  70. MHDB Classification
  71. Human Phase
  72. なぜ「米中対立調整相場」なのか
  73. 「調整」であって、「崩壊」ではない
  74. 世界同時成長相場との対称性
  75. 米中対立が残した長期構造
  76. なぜ2020年1月17日までなのか
  77. Phase End Signal
  78. フェーズは「問題がなくなる」ときだけ終わるのではない
  79. しかし、その直後に「別の問題」が現れる
  80. 米中対立調整相場の歴史的位置
  81. 総括
  82. 参考資料

フェーズ概要

  • Market Cycle: グローバル成長・分断転換サイクル
  • Market Phase: 米中対立調整相場
  • 期間: 2018年1月24日 ~ 2020年1月17日
  • Human Theme: 世界は、同じ方向を向かなくなった
  • 主要構造: 世界同時成長の成熟 → 金利再評価 → Volatility Shock → 米中貿易摩擦 → 中国・世界製造業減速 → 金融政策転換 → 株価回復
  • 主要Driver: US Yield Rise / Volatility Repricing / US-China Trade Conflict / China Slowdown / Global Manufacturing Slowdown / Semiconductor Adjustment / Fed Pivot / Policy Repricing
  • 中心テーマ: 世界成長から世界分断へ

相場推移と主要イベント

本フェーズの日経平均株価と主要イベントです。 2018年1月の世界同時成長相場の成熟後、 2月のVolatility Shock、 米長期金利上昇、 米中貿易摩擦の本格化、 中国景気減速、 世界製造業の鈍化、 半導体サイクル調整、 2018年末のGlobal Risk Off、 さらに2019年のFRB政策転換、 世界的な金融緩和、 米中協議の進展と再悪化を経て、 2020年1月の米中「第1段階」合意によって 対立激化が一旦緩和されるまでの 市場構造の変化を確認できます。

初期表示:2018-01-24 〜 2020-01-17 / 取得範囲:1950-01-01 〜 2026-08-21 / イベント重要度:1以上

この期間の出来事はありません。

このフェーズは、一方向の下落相場ではない

米中対立調整相場を理解するうえで、 最初に重要な点があります。

この約2年間は、 ずっと株価が 下がり続けたわけではありません。

大きく下落する。

戻る。

再び下落する。

そして、 再び戻る。

株価だけを見れば、 大きなレンジ相場 にも見えます。

しかし、 内部構造は大きく変化しました。

2018年初めには、 世界景気の強さと インフレ・金利が問題になります。

その後、 米中貿易摩擦が 市場の中心へ入ります。

2018年後半には、 中国景気。

世界製造業。

半導体。

企業利益。

これらへの警戒が強まります。

2019年には、 FRBが政策方向を転換します。

市場は、 景気の強さではなく、 金融緩和と米中協議への期待 によって回復していきます。

つまり、 株価が同じ水準へ戻っても、 その株価を支えているDriverは 同じではない。

これが、 このフェーズを価格だけで 分類してはいけない理由です。

価格は戻った。

しかし、

世界同時成長は戻らなかった。

相場推移と主要イベント

時期 市場構造 主要Driver
2018年1月 世界同時成長相場の成熟 Global Growth Consensus
2018年2月 低ボラティリティ・レジームの急変 US Yield Rise / Volatility Shock
2018年春 米中貿易摩擦が市場テーマへ Tariff Risk / Trade Conflict
2018年夏 関税応酬と中国景気への警戒 US-China Trade Escalation
2018年秋 世界景気・半導体・企業利益への警戒 Global Manufacturing Slowdown
2018年末 世界Risk Offが急速に拡大 Fed Tightening / Trade Conflict / Growth Fear
2019年初 金融政策転換期待で市場反発 Fed Pivot
2019年春 米中合意期待がRisk Appetiteを支援 Trade Negotiation Optimism
2019年5月以降 交渉悪化で再び不確実性上昇 Tariff Escalation
2019年夏 世界景気減速と金融緩和期待が併存 Growth Slowdown / Monetary Easing
2019年秋 政策緩和と米中協議進展で株価回復 Global Easing / Trade De-escalation
2020年1月 米中「第1段階」合意で対立激化が一旦緩和 Phase One Agreement / Risk Repricing

日経平均で見る米中対立調整相場

このフェーズの日経平均は、 上昇トレンドが一度崩れ、 大きな調整と回復を繰り返す 動きになります。

2018年1月まで続いた 世界同時成長への確信は、 2月の市場急変によって 最初の修正を受けます。

その後、 株価は回復します。

しかし今度は、 米中貿易摩擦が 市場の上値を抑えます。

そして2018年末には、 金融引き締め、 世界景気減速、 米中対立、 企業利益への懸念が重なり、 大きなRisk Offが発生します。

2019年には、 株価は再び回復します。

しかしその回復を支えたのは、 世界景気の再加速ではなく、 FRBの政策転換、 世界的な金融緩和、 米中交渉への期待でした。

Events

Volatility Shock US-China Trade War US Tariffs China Retaliation Fed Tightening 2018 Global Sell-off Fed Pivot Global Manufacturing Slowdown Semiconductor Adjustment Phase One Agreement

世界同時成長相場の成功が、次の調整条件を作った

米中対立調整相場は、 突然、 何もないところから 始まったわけではありません。

その原因の一部は、 前フェーズの成功そのものにありました。

世界景気が強くなった。

企業利益が増えた。

失業率が低下した。

設備投資が増えた。

株価が上がった。

ボラティリティが低下した。

そして市場は、 この状態が続くことを 前提にし始めました。

しかし、 景気が強くなれば、 金融政策は いつまでも危機対応のままではいられません。

米国では 金融政策正常化が進みます。

金利が上昇します。

低金利を前提としてきた 資産価格には、 新しい割引率が 適用され始めます。

さらに、 世界貿易が拡大したからこそ、 米国では 貿易赤字、 製造業、 中国との経済関係が 政治問題として 強く意識されるようになります。

つまり、 世界同時成長を支えた 低金利とGlobalizationの二つが、 同時に揺らぎ始めた。

これが、 2018年の構造転換です。

世界同時成長相場の成功条件 米中対立調整相場での反転
Strong Global Growth Global Growth Slowdown
Low Interest Rates US Yield Rise
Low Volatility Volatility Repricing
Global Trade Expansion Trade Conflict
China Stabilization China Slowdown Concern
Global Capex Expansion Capex Caution
Semiconductor Expansion Semiconductor Adjustment
EPS Expansion Earnings Revision Risk
Global Risk On Repeated Risk Off
Growth Consensus Policy / Political Uncertainty

前の相場を支えた条件は、 消えたのではない。

一つずつ、 逆方向へ動き始めた。

この相場の本当の主役は「関税」だけではない

フェーズ名は、 米中対立調整相場 です。

しかし、 この相場を 「トランプ政権が中国へ関税をかけたため 株価が下落した相場」 とだけ理解すると、 構造を見失います。

米国金利。

低ボラティリティの崩壊。

中国景気。

世界製造業。

半導体サイクル。

企業利益。

FRB。

ドル。

外国人投資家。

複数のDriverが 同時に変化しました。

米中対立が重要なのは、 単なる一つの悪材料だったからではありません。

世界経済を一つにつないできた Globalizationの前提そのものを 市場が再評価し始める象徴だった からです。

Market Phase / Driverの分離

Market Phase: 米中対立調整相場

Structural Driver: Globalization Reversal

Political Driver: US-China Strategic Conflict

Macro Driver: Global Manufacturing Slowdown

Financial Driver: Yield / Volatility / Fed Policy

「米中対立」という歴史的に識別可能な名称を使いながら、 内部では複数のDriverへ分解して 市場構造を観測する。

Part1の結論

2018年1月、 世界経済は 強く見えました。

しかし、 世界同時成長を支えてきた条件は すでに成熟していました。

景気が強いから、 金利が上がる。

低ボラティリティが続いたから、 ポジションが積み上がる。

世界貿易が拡大したから、 貿易不均衡が政治問題になる。

中国が世界経済の中心へ近づいたから、 米国との競争が強くなる。

つまり、 前フェーズの成功そのものが、 次のフェーズを作る条件になった。

そして、 2018年から市場の問いは変わります。

世界は成長するか。

ではない。

世界は、 同じ仕組みのまま 成長を続けられるのか。

この問いが、 2020年1月まで 日本株を支配することになります。

世界同時成長は、 世界を一つにした。

しかし、

成長した世界は、 同じ利益をめぐって 競争を始めた。

次のPartでは、 2018年2月の Volatility Shockから始めます。

なぜ、 景気が悪くないのに 株式市場が急落したのか。

米長期金利。

インフレ期待。

低ボラティリティ戦略。

ポジション。

そして、 その直後から本格化する 米中貿易摩擦。

「成長が強いから株が上がる」 というレジームが、 最初にどこから壊れたのか を整理します。

Part 2

最初に壊れたのは、世界景気ではなかった

2018年1月。

世界経済は、 まだ強い状態にありました。

企業利益も 大きく崩れていません。

世界製造業も 高い水準にありました。

それでも、 株式市場は 2018年2月に急変します。

なぜでしょうか。

最初に壊れたのは、 世界景気ではありません。

壊れたのは、

強い景気と、 低い金利と、 低いボラティリティが 同時に続く

という市場の前提でした。

景気が悪くなったから、 株価が下がったのではない。

景気が強いからこそ、 金利が問題になった。

Strong Growthが、金利上昇を生んだ

世界同時成長相場では、 Strong Growthは 株式市場にとって 好材料でした。

景気が強い。

売上が増える。

企業利益が増える。

EPSが増える。

株価が上がる。

非常にわかりやすい 好循環です。

しかし、 景気拡大が長く続けば、 別の経路が 強くなります。

雇用が改善する。

労働需給が引き締まる。

賃金上昇への警戒が強まる。

インフレ期待が高まる。

FRBの利上げが 意識される。

長期金利が上昇する。

すると、 Strong Growthは 株式にとって 一方向の好材料ではなくなります。

Strong Global Growth

Tight Labor Market

Wage / Inflation Concern

Fed Tightening Expectation

US Yield Rise

Equity Valuation Pressure

金利は、株価の「割引率」を変える

企業利益が増えている。

それだけを見れば、 株価にはプラスです。

しかし株式市場では、 将来の利益を 現在価値へ割り引いて 企業価値を考えます。

そのため、 金利が上昇すると、 将来利益の現在価値には 下押し圧力がかかります。

特に、 低金利が長く続くことを 前提として形成された 高いValuationには、 金利上昇の影響が 大きくなります。

つまり2018年初めには、

Earnings Expansion Discount Rate Rise が 同時に市場へ作用し始めました。

Strong Growthの作用 株式への方向
売上増加 Positive
EPS Expansion Positive
設備投資拡大 Positive
賃金上昇 Inflation Pressure
インフレ期待 Yield Pressure
FRB利上げ Liquidity Tightening
長期金利上昇 Valuation Pressure

成長が強いほど、 利益は増える。

しかし同時に、

成長が強いほど、 低金利を維持する理由は 小さくなる。

2018年2月、低ボラティリティの前提が崩れた

2017年の市場を 特徴づけていたものの一つが、 低ボラティリティでした。

株価は上がる。

下落しても、 すぐ戻る。

政治イベントが起きても、 市場への影響は長続きしない。

この経験が繰り返されるほど、 市場参加者は 低い変動率を 前提として行動するようになります。

ボラティリティを売る。

リスク量を増やす。

ヘッジを減らす。

下落すれば買う。

こうした行動が さらにボラティリティを低下させます。

しかし、 この構造には弱点があります。

ボラティリティが上昇すると、 同じ仕組みが逆回転する。

Low Volatility

Risk Exposure Expansion

Volatility Shock

Risk Reduction

Position Unwind

Equity Selling

Further Volatility Rise

Volatility Shockは「景気後退」を意味しなかった

ここは、 このフェーズを理解するうえで 非常に重要です。

2018年2月の株価急落は、 世界経済が 突然リセッションへ入ったことを 意味しませんでした。

企業利益が 突然消えたわけでもありません。

市場内部に積み上がっていた 低ボラティリティ前提の ポジションが、 急激な変動率上昇によって 調整を迫られた。

つまり、 Macro Shockというより、 Market Structure Shock としての性格が強い局面でした。

だからこそ、 株価はその後、 一度回復することができます。

しかし、 この急落には 大きな意味がありました。

2017年まで市場を支配していた、

「何が起きても、 下がれば買えばよい」

という確信に、 最初の亀裂が入りました。

2017年 2018年2月以降
Low Volatility Volatility Repricing
Buy the Dip Position Reduction
Growth = Positive Growth → Yield Risk
Low Yield Confidence Yield Uncertainty
Stable Risk Premium Risk Premium Repricing
Consensus Long Position Unwind Risk

それでも、世界景気はまだ崩れていなかった

2018年2月の市場急変後も、 世界経済は すぐには崩れませんでした。

米国景気は 依然として強い。

企業利益も 増えている。

日本企業にも 高水準の利益を維持する企業が多い。

だから市場には、

「今回も押し目なのではないか」

という見方が残ります。

実際、 株式市場は 2月の急落だけで 長期下落相場へ移行したわけではありません。

しかし、 その直後から、 市場は 別の問題に直面します。

金利ではありません。

企業利益でもありません。

貿易です。

米中貿易摩擦が、市場の中心へ入った

2018年、 米国と中国の経済関係は 大きく変化します。

米国は、 中国との貿易赤字、 知的財産権、 技術移転、 産業政策などを 問題視しました。

そして、 関税措置を通じて 中国へ圧力を強めます。

中国も、 対抗措置を取ります。

こうして、 世界第1位と第2位の経済大国が 関税を使って 互いの経済活動へ圧力をかける 状況が生まれました。

市場にとって重要だったのは、 関税率そのものだけではありません。

世界同時成長相場では、 世界貿易が増えることが 企業利益を押し上げていました。

しかし今度は、 世界貿易の仕組みそのものに 政治的不確実性が入ります。

US-China Economic Imbalance

US Political Pressure

Tariff Measures

Chinese Retaliation

Trade Uncertainty

Corporate Caution

Capex / Supply Chain Uncertainty

なぜ米中対立が日本株に効くのか

米国と中国の対立なら、 日本株には 直接関係がないようにも見えます。

しかし、 実際には逆です。

日本企業は、 米国にも売ります。

中国にも売ります。

中国企業へ 製造装置を売ります。

中国の工場へ 部品を供給します。

中国で生産し、 世界へ輸出する企業もあります。

米国企業の 設備投資需要にも関係します。

つまり日本企業は、 米中を中心とした グローバル・サプライチェーンの 内部にいる。

そのため、 米中間の貿易量が 直接減少しなくても、 企業が将来の政策を 予測できなくなるだけで、 設備投資判断に 影響が出ます。

US-China Trade Conflict

Global Policy Uncertainty

Corporate Investment Caution

China Capex / Manufacturing Pressure

Japan Machinery / FA / Electronic Components

Earnings Revision Risk

日本は、 米中対立の外側にいたのではない。

米中をつなぐ 世界の生産網の中にいた。

「貿易戦争」から「戦略的競争」へ

米中対立を 関税だけで理解すると、 このフェーズの 歴史的位置を見誤ります。

問題は次第に、 貿易赤字だけではなくなります。

知的財産。

技術移転。

産業政策。

通信インフラ。

半導体。

次世代技術。

国家安全保障。

つまり、 Economic Conflict から Strategic Competition へと、 対立の意味が 広がっていきます。

この変化は、 後の日本株にも 長期間影響する構造になります。

表面的な問題 より深い構造
貿易赤字 経済覇権
関税 Supply Chain
輸入制限 Economic Security
知的財産 Technology Leadership
技術移転 Industrial Policy
通信機器 Technology Infrastructure
半導体 Strategic Technology

Globalizationに、政治リスクが組み込まれた

それまでの企業経営では、 より安く作れる場所で作る。

最も効率的な場所から 部品を調達する。

世界中へ販売する。

この考え方が 合理的でした。

Efficiency。

これが、 Global Supply Chainの 基本原理です。

しかし、 米中対立によって、 新しい変数が加わります。

その国から 調達してよいのか。

その企業へ 技術を供給してよいのか。

関税は どうなるのか。

輸出規制は どうなるのか。

政治関係が悪化した場合、 生産を続けられるのか。

企業は、 Efficiencyだけではなく、 Political Risk を考えなければならなくなりました。

Globalization

Efficiency Optimization

Global Supply Chain Expansion

━━━━━━━━━━

US-China Conflict

Political Risk

Economic Security

Supply Chain Reassessment

企業が考えるべきことは、 「どこで作れば安いか」 だけではなくなった。

「どこで作り続けられるか」 が重要になった。

日本株では、前フェーズの主役が弱点になった

世界同時成長相場では、 世界需要に敏感な企業ほど 強い利益成長を享受しました。

FA。

工作機械。

半導体製造装置。

電子部品。

機械。

素材。

中国向け需要や 世界設備投資の恩恵を受ける企業が、 日本株の中心にいました。

しかし、 米中対立によって、 同じGlobal Exposureが 逆方向へ働き始めます。

中国の設備投資は どうなるのか。

半導体需要は 続くのか。

世界貿易は 伸び続けるのか。

米国の関税は 企業収益を圧迫しないか。

サプライチェーンは 変更を迫られないか。

こうして、 前フェーズのWinnerが、 次フェーズでは Macro Sensitivityの高い銘柄群になる。

これは、 相場レジーム転換で 繰り返し見られる現象です。

世界同時成長相場 米中対立調整相場
China Exposure = Growth China Exposure = Risk
FA Demand Expansion FA Order Uncertainty
Semiconductor Expansion Semiconductor Cycle Concern
Global Capex Growth Capex Caution
Export Growth Trade Uncertainty
Operating Leverage Negative Operating Leverage Risk
Foreign Buying Global De-risking Risk

2018年前半は「二つのRepricing」が重なった

ここまでを整理すると、 2018年前半には 二つの異なるRepricingが 進みました。

一つ目は、 Financial Repricing です。

金利。

ボラティリティ。

Valuation。

ポジション。

2017年の低金利・低ボラティリティ前提が 修正されました。

二つ目は、 Globalization Repricing です。

関税。

貿易政策。

中国。

サプライチェーン。

技術競争。

世界貿易が 政治から独立して拡大できるという前提が 修正され始めました。

Repricing 旧前提 新しい問い
Financial Repricing 低金利は続く 金利上昇に株価は耐えられるか
Volatility Repricing 下落は短い 低Volポジションは維持できるか
Growth Repricing 強い成長は株にプラス 成長による金利上昇はどう作用するか
Globalization Repricing 世界貿易は拡大する 政治対立が貿易を制約するか
China Repricing 中国安定は続く 対立と信用抑制で中国は減速するか

Part2の結論

米中対立調整相場は、 米中関税だけで 始まった相場ではありません。

最初に変化したのは、 金融市場内部の構造でした。

Strong Growth。

低インフレ。

低金利。

低ボラティリティ。

この組み合わせが 永続するという前提が 2018年2月に揺らぎます。

Strong Growthが 金利上昇を生み、 金利上昇が Valuationを圧迫し、 Volatility上昇が ポジション調整を引き起こしました。

しかし、 それだけなら、 世界景気と企業利益が強い限り、 市場は再び上昇できたかもしれません。

そこへ、 もう一つの構造変化が加わります。

米中対立です。

関税から始まった問題は、 貿易。

知的財産。

技術。

産業政策。

サプライチェーン。

経済安全保障へと 広がっていきます。

こうして2018年の市場では、 金融条件のRepricing GlobalizationのRepricing が 同時に進み始めました。

日本株にとって、 これは重要な変化でした。

なぜなら、 前フェーズで日本企業を強くしたのは、 世界とのつながりだったからです。

中国需要。

世界設備投資。

半導体。

世界貿易。

グローバル・サプライチェーン。

それらが 利益成長の源泉でした。

しかし、 世界のつながりに 政治的不確実性が入り始めると、 その強さは そのまま感応度の高さになります。

2018年に起きたのは、 単なる株価調整ではなかった。

「低金利の世界」と 「つながった世界」。 二つの前提が、 同時に揺らぎ始めた。

そして、 問題はここから 実体経済へ波及します。

企業は 設備投資に慎重になります。

中国経済への警戒が強まります。

世界製造業のMomentumが 鈍化します。

半導体サイクルにも 調整が入ります。

日本企業の業績にも、 下方修正リスクが広がります。

次のPartでは、 米中対立が 「ニュース」から 「企業利益を動かすMacro Driver」へ 変わっていく過程 を追います。

そして、 2018年末の大幅なRisk Offへ どのようにつながったのかを 整理します。

Part 3

米中対立は、やがて企業利益の問題になった

米中対立が始まった当初、 市場は関税発表そのものへ 敏感に反応しました。

追加関税。

対抗関税。

交渉。

発言。

政治ニュースが 株価を大きく動かしました。

しかし、 時間が経つにつれて、 市場が見るものは変わります。

関税が発表されたかどうか。

それだけではありません。

企業は 設備投資を減らすのか。

中国企業の受注は 落ちるのか。

世界貿易は 鈍化するのか。

サプライチェーンは 組み替えられるのか。

企業利益は 下方修正されるのか。

米中対立は、 Political Event から Corporate Earnings Driver へ変わっていきました。

関税そのものが 株価を下げ続けたのではない。

関税が、 企業の投資と利益を 変え始めた。

不確実性は、設備投資を止める

企業が設備投資を決めるとき、 重要なのは 現在の売上だけではありません。

数年先の需要。

政策。

関税。

調達先。

販売先。

為替。

将来の収益性を見て 投資判断を行います。

そのため、 実際に関税負担が どれだけ増えたかよりも、 将来のルールが 読めなくなること が重要になります。

米中交渉が どう決着するのか。

新しい関税が 追加されるのか。

中国で生産を続けるべきか。

米国へ輸出できるのか。

技術規制は どこまで広がるのか。

企業は、 「投資しない」 という選択肢を 取りやすくなります。

Trade Policy Uncertainty

Future Demand Uncertainty

Supply Chain Uncertainty

Corporate Caution

Capex Delay

Machinery / FA Orders Slowdown

中国経済は、再び市場の弱点になった

前フェーズでは、 China Stabilizationが 世界景気回復を支えました。

しかし2018年になると、 中国は再び 市場の警戒対象になります。

米中対立。

信用環境。

企業投資。

製造業。

中国経済の減速は、 単に中国国内の問題ではありません。

中国は、 世界の製造業。

設備投資。

半導体。

素材。

機械。

電子部品。

多くの産業にとって 重要な需要源でした。

したがって、 China Slowdownは Global Manufacturing Slowdownへ 波及しやすい 構造を持っていました。

US-China Conflict

China Domestic Slowdown

China Manufacturing Weakness

Global Capex Caution

Global Manufacturing Slowdown

Japan Export Earnings Pressure

世界製造業のMomentumが鈍化した

世界同時成長相場では、 製造業が 重要な成長Engineでした。

設備投資が増える。

工場を増設する。

半導体を増産する。

工作機械を買う。

FAを導入する。

電子部品需要が増える。

需要が 別の需要を生みました。

しかし、 景気循環が成熟し、 米中対立による不確実性が加わると、 この連鎖は 徐々に弱くなります。

受注の伸びが鈍る。

在庫が増える。

設備投資判断が遅れる。

生産計画が慎重になる。

世界製造業は、 Expansion から Deceleration へ移り始めます。

世界同時成長相場 米中対立調整相場
Manufacturing Expansion Manufacturing Deceleration
Order Growth Order Slowdown
Capex Expansion Capex Caution
Inventory Build Inventory Adjustment
Volume Growth Volume Growth Slowdown
Operating Leverage Operating Leverage Reversal Risk

FA・工作機械は、世界設備投資の減速を映した

FAや工作機械は、 前フェーズでは 世界同時成長の代表的なWinnerでした。

企業が設備投資する。

工場を自動化する。

生産能力を増やす。

将来需要へ 自信を持つ。

そのとき、 FAや工作機械の受注が増えます。

逆に言えば、 これらの受注が鈍化すると、 企業の将来需要への自信が 弱くなっている 可能性があります。

ファナック。

安川電機。

SMC。

オークマ。

DMG森精機。

その他の設備投資関連企業。

これらの企業は、 個別企業としての強弱だけではなく、 Global Capex Cycleの 代理変数 として市場に見られました。

FA株が弱くなったのは、 日本の工場だけが 投資を減らしたからではない。

世界の企業が、 未来への投資に 慎重になり始めた。

半導体サイクルも、ExpansionからAdjustmentへ

半導体も、 本フェーズで重要なDriverです。

2017年まで、 半導体需要は 非常に強い状態にありました。

スマートフォン。

データセンター。

クラウド。

産業機器。

自動車。

設備投資。

景気回復とデジタル化が 重なりました。

しかし、 半導体は 構造成長産業であると同時に、 強い景気循環産業 でもあります。

需要が強い。

企業が増産する。

設備投資が増える。

供給能力が増える。

在庫が増える。

需要の伸びが少し鈍るだけで、 在庫調整が発生します。

つまり、 構造成長が続いていても、 Semiconductor Cycleは 短期的に調整する ことがあります。

Strong Semiconductor Demand

Capacity Expansion

Aggressive Capex

Supply Growth

Demand Momentum Slowdown

Inventory Adjustment

Semiconductor Cycle Adjustment

構造成長と景気循環を分ける必要がある

半導体を考えるとき、 ここは非常に重要です。

デジタル化は 止まっていません。

クラウドも続きます。

データ需要も増えます。

自動車への半導体搭載も 増えていきます。

つまり、 Structural Technology Growthは 続いています。

しかし、 その中でも 需要と供給には 循環があります。

構造的に成長する産業でも、 在庫調整。

設備投資調整。

価格調整。

受注調整。

は発生します。

この区別をしないと、 「成長産業なのに なぜ株価が下がるのか」 を説明できません。

Structural Growth Cyclical Adjustment
デジタル化 在庫調整
クラウド 設備投資調整
データセンター 需要Momentum鈍化
IoT 価格調整
半導体搭載量増加 受注調整
長期成長 短期循環

成長産業だから、 株価が下がらないわけではない。

構造成長の中にも、 景気循環はある。

企業利益のDriverが逆回転した

世界同時成長相場では、 数量増加。

稼働率上昇。

Operating Leverage。

円安。

これらが 企業利益を押し上げました。

しかし、 世界製造業のMomentumが弱くなると、 同じ利益構造が 逆方向へ働き始めます。

受注が鈍る。

売上成長が鈍る。

稼働率上昇が止まる。

固定費吸収効果が弱くなる。

利益率改善が止まる。

EPS成長率が鈍る。

これが、 Negative Operating Leverage Risk です。

Order Slowdown

Volume Growth Slowdown

Capacity Utilization Peak

Operating Leverage Weakening

Margin Pressure

EPS Revision Down

市場は、実績より先にEPSを下げ始めた

株式市場は、 現在の利益だけを 見ていません。

将来の利益を 先に価格へ織り込みます。

そのため、 企業業績が まだ高水準にあっても、 受注が鈍化する。

中国景気が弱くなる。

半導体在庫が増える。

設備投資判断が慎重になる。

こうした変化が見えれば、 市場は 次の利益を下げ始めます。

つまり、 Earnings Level ではなく、 Earnings Direction が重要になります。

利益が悪かったから、 売られたのではない。

利益が、 これ以上良くならない可能性を 市場が先に売った。

前フェーズのWinnerほど、利益感応度が高かった

世界同時成長相場では、 世界設備投資や 中国需要に敏感な企業ほど 高く評価されました。

しかし、 それは同時に、 景気Momentumが鈍化したときの 感応度も高いということです。

銘柄群 前フェーズの追い風 本フェーズの逆風
FA・ロボット Global Capex Expansion Capex Caution
工作機械 世界設備投資拡大 受注Momentum鈍化
半導体製造装置 Semiconductor Capex 設備投資調整懸念
電子部品 Digital / China Demand 需要・在庫調整
素材 世界製造業拡大 中国・製造業減速
商社 Commodity / Global Growth 世界成長鈍化懸念
自動車 世界需要拡大 貿易摩擦・世界需要不安

前の相場で 最も強かった企業は、

次の相場で 最も景気変化へ敏感な企業でもあった。

2018年秋、問題は「関税」から「世界景気」へ移った

2018年春から夏にかけて、 市場の中心は 関税と米中交渉でした。

しかし、 秋になると 市場の焦点は変わります。

関税が何%になるのか。

それだけではありません。

世界景気は 本当に鈍化しているのではないか。

中国需要は 弱くなっているのではないか。

半導体サイクルは ピークを越えたのではないか。

日本企業利益も ピークアウトするのではないか。

政治問題が、 Macro Growth Concern へ変化しました。

Tariff Conflict

Corporate Uncertainty

Capex Caution

China Slowdown

Semiconductor Adjustment

Global Manufacturing Slowdown

EPS Revision Risk

Global Equity Pressure

そして、FRBはまだ引き締め側にいた

2018年後半の市場には、 さらに難しい問題がありました。

世界景気のMomentumは 弱くなり始めている。

しかし、 米国金融政策は まだ正常化方向にある。

つまり、 Growth Slowdown Monetary Tightening が 同時に存在しました。

景気が弱いのに、 金融政策も緩くない。

市場にとって、 これは厳しい組み合わせです。

特に、 世界同時成長相場で 高いRisk Exposureを取っていた市場では、 資金調達条件の厳格化と 利益期待の低下が 同時に進みます。

2017年 2018年後半
Strong Growth Growth Momentum Slowdown
Gradual Normalization Tightening Concern
EPS Expansion EPS Revision Risk
Low Volatility Higher Volatility
Trade Expansion Trade Conflict
Global Risk On Global De-risking

2018年末、複数のDriverが同時に悪化した

2018年末。

市場は 大きなRisk Offへ入ります。

一つの原因だけではありません。

米中対立。

中国景気。

世界製造業。

半導体サイクル。

企業利益。

米国金融政策。

長期金利。

市場ボラティリティ。

複数のDriverが 同じ方向へ動きました。

US-China Conflict

China Slowdown

Global Manufacturing Slowdown

Semiconductor Adjustment

Fed Tightening Concern

Earnings Revision Down

Risk Premium Rise

Global Risk Off

Japanese Equity Sell-off

2018年末、 市場が恐れたのは、 一つの悪材料ではなかった。

景気、利益、政策、貿易が 同時に悪い方向へ 動き始めたことだった。

それでも、金融危機ではなかった

2018年末の株価下落は 大きなものでした。

しかし、 2008年の世界金融危機とは 構造が異なります。

銀行システムが 崩壊しているわけではありません。

信用市場全体が 停止したわけでもありません。

企業の資金調達機能が 全面的に失われたわけでもありません。

問題は、 Growth Expectation Risk Premium の急激な再評価でした。

だからこそ、 政策が変われば 市場の評価も 大きく変わる余地があります。

この点が、 次の2019年へつながります。

Adjustment ≠ Financial Collapse

2018年末は 大規模なRisk Offだった。

しかし、 金融システム崩壊ではない。

そのため、 金融政策と期待の転換によって 相場が反転する余地が残っていた。

Part3の結論

2018年の米中対立は、 最初は政治ニュースでした。

関税。

対抗措置。

交渉。

しかし時間とともに、 企業行動へ影響を与え始めます。

企業は 設備投資へ慎重になります。

中国景気への警戒が強まります。

世界製造業のMomentumが 鈍化します。

半導体サイクルも 調整へ入ります。

FAや工作機械の 受注成長も弱くなります。

そして市場は、 現在の利益ではなく、 次の利益を 下げ始めます。

Political Riskが Macro Riskへ変わり、 Macro Riskが Earnings Riskへ変わった。

ここまで進むと、 米中対立は 単なるニュースではありません。

一つの市場レジームを作る 構造Driverになります。

さらに2018年末には、 世界景気減速と 金融引き締め懸念が重なります。

これによって、 世界株市場は 大きなRisk Offへ入りました。

関税が、 企業の判断を変えた。

企業の判断が、 設備投資を変えた。

設備投資が、 世界製造業を変えた。

そして最後に、

世界景気の減速が、 企業利益の期待を変えた。

しかし、 2019年になると 相場は再び大きく変わります。

景気が強くなったからではありません。

企業利益が 急回復したからでもありません。

変わったのは、 金融政策です。

次のPartでは、 FRB Pivot、 金融引き締め停止期待、 世界的な金融緩和、 米中交渉期待、 そして 「景気が弱いから、 中央銀行が市場を支える」 という2019年特有の相場構造を整理します。

ここで、 2017年までの Growth Driven Market とは異なる、 Policy Supported Market が形成されていきます。

Part 4

2019年、相場を変えたのは景気ではなく政策だった

2018年末。

世界市場は、 強いRisk Offに入りました。

米中対立。

中国景気減速。

世界製造業の鈍化。

半導体サイクル調整。

企業利益への警戒。

そして、 FRBによる金融引き締め。

市場は、 景気が減速しているのに、 金融政策はまだ引き締め方向にある という状況を 恐れました。

しかし、 2019年に入ると この構造が変わります。

景気そのものが 急回復したわけではありません。

中国景気も すぐに強くなったわけではありません。

世界製造業も まだ弱い。

それでも、 株価は反発します。

理由は、 金融政策の方向が変わった からです。

景気が強くなったから、 株価が上がったのではない。

景気が弱くなったから、 政策が変わった。

FRB Pivot

2018年まで、 FRBは金融政策正常化を進めていました。

利上げ。

バランスシート縮小。

金融危機後の 異例の緩和政策から 退出する方向です。

しかし、 2018年末の市場急落と 世界景気への懸念が強まる中で、 FRBの姿勢は 徐々に変化します。

市場参加者は、 これ以上、 金融引き締めが続くのか。

あるいは、 景気と市場の悪化を見て 政策が修正されるのか。

そこを注視しました。

そして、 政策方向が 引き締め継続から より慎重な姿勢へ変わることで、 市場の最悪シナリオが 後退していきます。

これが、 Fed Pivot です。

Growth Slowdown

Market Sell-off

Fed Tightening Concern

Policy Reassessment

Fed Pivot

Financial Conditions Ease

Risk Asset Recovery

「強い景気が株を上げる」相場から、「弱い景気が緩和を呼ぶ」相場へ

ここで、 市場の価格形成ロジックが 大きく変わります。

世界同時成長相場では、

景気が強い。

企業利益が増える。

株価が上がる。

という関係でした。

しかし2019年では、 景気が弱い。

だから、 中央銀行が金融政策を 緩和方向へ修正する。

金利が低下する。

金融条件が緩む。

Valuationへの圧力が弱まる。

株価が上がる。

という別の関係が 強くなります。

世界同時成長相場 2019年
Strong Growth Weak Growth
Earnings Expansion Earnings Caution
Gradual Tightening Policy Pivot
Yield Rise Yield Decline
Growth Driven Market Policy Supported Market
Good Economy = Good Market Weak Economy = Easier Policy = Market Support

市場は、 景気の強さだけを 買わなくなった。

景気が弱いからこそ、 緩和が続くことを 買い始めた。

金利低下が、Valuationを支えた

2018年初め、 市場を揺らしたDriverの一つが 金利上昇でした。

長期金利が上がる。

割引率が上がる。

株式のValuationが 圧迫される。

2019年には、 この経路が逆方向へ動きます。

景気懸念が強まる。

中央銀行が より慎重になる。

長期金利が低下する。

割引率が下がる。

株式Valuationへの 圧力が弱くなる。

つまり、 企業利益が 力強く改善しなくても、 Discount Rateの低下 が株価を支える構造が 強くなりました。

Growth Concern

Fed Pivot

Yield Decline

Discount Rate Decline

Valuation Support

Equity Recovery

金融緩和期待は、世界へ広がった

2019年の金融政策転換は、 米国だけの問題ではありませんでした。

世界景気が鈍化する中で、 主要中央銀行は 金融環境を 引き締め過ぎない方向へ 動きます。

FRB。

ECB。

日本銀行。

市場は、 主要中央銀行が 景気悪化を放置しない という期待を強めます。

この期待は、 Risk Premiumを低下させます。

企業利益が強くなくても、 金融条件が緩ければ 資産価格は支えられる。

ここで、 Global Easing が 新しい市場Driverになります。

Global Easing Regime

Growth Slowdown

Central Bank Response

Lower Yield

Financial Conditions Ease

Risk Asset Support

2019年の株価回復は、世界同時成長の復活ではなかった

2019年、 世界の株式市場は 大きく回復します。

しかし、 ここで注意が必要です。

株価が回復したからといって、 2017年の世界同時成長が 復活したわけではありません。

世界製造業は 依然として弱い。

中国景気にも 不透明感が残る。

米中対立も 解決していない。

半導体サイクルにも 調整が残る。

それでも、 株価は上がる。

つまり、 Price Recovery Growth Recovery を 分けて考える必要があります。

Price Macro
株価回復 世界景気は弱い
Valuation改善 EPS成長は鈍い
Risk Appetite改善 製造業は減速
金利低下 貿易摩擦継続
Policy Support 中国不安継続

価格は戻った。

しかし、

成長は戻っていなかった。

米中協議が、第二の市場Driverになった

2019年の市場では、 金融政策と並んで もう一つ重要なDriverがありました。

米中協議です。

関税。

交渉再開。

合意期待。

交渉決裂。

追加関税。

再協議。

米中関係に関するニュースが、 市場のRisk Appetiteを 大きく左右しました。

重要なのは、 米中対立が 完全解決するかどうかだけではありません。

対立がこれ以上激化するのか、 それとも一時的に停止するのか が重要でした。

市場は、 絶対的な「解決」よりも、 Marginal Change を評価します。

Trade Escalation

Risk Off

Negotiation Restart

Trade Optimism

Risk Appetite Recovery

市場は「解決」を買ったのではない

米中対立は、 2019年中に 根本的に解決したわけではありません。

技術競争。

知的財産。

半導体。

通信。

産業政策。

経済安全保障。

構造的な対立は 残りました。

それでも、 市場は上昇することがあります。

なぜなら、 市場は 「問題が存在するか」 だけではなく、

問題が悪化しているのか、 改善しているのか を価格へ織り込むからです。

対立そのものが残っていても、 追加関税が延期される。

交渉が再開される。

合意可能性が高まる。

それだけで、 Risk Premiumは低下します。

市場が買ったのは、 米中対立の終わりではない。

対立が、 これ以上悪くならない可能性だった。

2019年5月、再び対立が激化した

2019年前半、 米中協議への期待が 市場を支えました。

しかし、 交渉は一直線には 進みませんでした。

交渉期待が高まる。

その後、 対立が再び強まる。

追加関税への警戒が 戻る。

株価が下がる。

そして、 政策緩和への期待が 再び強まる。

このフェーズでは、 Trade Conflict Monetary Easing が 互いに逆方向へ 市場へ作用します。

Trade Escalation

Growth Concern

Equity Sell-off

Easing Expectation

Yield Decline

Equity Support

悪材料が、政策期待を強めるという逆説

2019年の相場には、 一見すると 矛盾した動きがあります。

景気指標が悪い。

本来なら、 株価には悪材料です。

しかし、 景気指標が悪いほど、 中央銀行が 緩和する可能性が高まります。

すると、 金利は低下し、 株価Valuationには プラスになります。

つまり、 悪い経済指標が 必ずしも そのまま株安へ つながらなくなります。

経済データ 通常の解釈 2019年の市場解釈
景気悪化 利益悪化 緩和期待上昇
製造業弱化 株安材料 利下げ期待も上昇
インフレ低下 需要弱化 金融緩和余地拡大
長期金利低下 景気不安 Valuation Support

悪いニュースが、 悪いニュースだけではなくなった。

悪い景気が、 良い政策を呼ぶ 市場になった。

Growth DriverとPolicy Driverが分離した

ここで、 2019年の相場を レジームとして整理すると、 重要な分離が見えてきます。

Growth Driverは弱い。

しかし、 Policy Driverは強い。

世界製造業は 弱い。

しかし、 中央銀行は緩和する。

企業利益は 力強くない。

しかし、 金利低下がValuationを支える。

米中対立は 残っている。

しかし、 交渉期待がRisk Premiumを下げる。

つまり、 景気と株価が 完全には同じ方向へ動かなくなりました。

Growth / Market Decoupling

Growth Driver: Weak / Slow

Policy Driver: Supportive

Market Price: Recovery

2019年は、 世界景気回復相場ではなく、 政策が弱い景気を補完する相場 だった。

日本株にも、政策主導の回復が波及した

日本株も、 2019年のGlobal Easingの 恩恵を受けました。

世界金利が低下する。

金融市場が安定する。

世界株が上昇する。

外国人投資家の Risk Appetiteが回復する。

米中協議への期待が高まる。

日本株にも 買い戻しが入ります。

ただし、 2017年とは異なります。

世界設備投資が 猛烈に増えているわけではありません。

工作機械受注が 強いわけでもありません。

中国景気が 高成長へ戻ったわけでもありません。

そのため、 日本株の回復も Earnings Expansion だけでは 説明できません。

Policy Support。

Yield Decline。

Global Risk Appetite。

Trade Optimism。

これらが 重要なDriverになりました。

2019年後半、悲観のピークが再び後退した

2019年後半になると、 市場では 複数の最悪シナリオが 後退し始めます。

FRBは 引き締めを続けない。

金融条件は むしろ緩和方向へ動く。

米中対立は 激化一辺倒ではない。

世界景気は弱いが、 急激なリセッションへ 向かうとは限らない。

半導体サイクルにも 底入れ期待が出る。

市場は、 Worst Case Scenario を 少しずつ外し始めます。

Fed Easing

Lower Global Yield

Trade Negotiation Progress

Semiconductor Bottoming Expectation

Tail Risk Reduction

Risk Appetite Recovery

Equity Re-rating

「第1段階合意」は、構造対立の解決ではない

2019年後半から 2020年1月にかけて、 米中協議は 「第1段階」合意へ向かいます。

市場にとって、 これは大きな意味を持ちました。

追加的な対立激化が 一旦止まる。

関税拡大への不確実性が 低下する。

企業が 最悪ケースだけを前提に 行動する必要が小さくなる。

Risk Premiumが低下します。

しかし、 ここでも重要な区別があります。

米中間の 戦略的競争そのものが 終わったわけではありません。

技術。

半導体。

通信。

産業政策。

経済安全保障。

これらの構造対立は残っています。

つまり、 「第1段階」合意は Structural Conflict Resolution ではなく、 Escalation Pause として捉える方が適切です。

米中対立が 終わったのではない。

対立が、 一度止まった。

2019年の市場は、二つの「安心」を買った

2019年後半の相場を整理すると、 市場が買ったのは 二つの安心でした。

第一は、 Central Bank Put です。

景気が弱くなれば、 中央銀行は 政策を緩和する。

金融条件の急激な悪化を 放置しない。

第二は、 Trade Escalation Pause です。

米中対立は残る。

しかし、 追加関税と対抗措置が 際限なく拡大するとは限らない。

この二つが、 株式市場のRisk Premiumを 低下させました。

安心 市場が織り込んだもの
Central Bank Put 景気悪化時には政策緩和が入る
Trade Pause 米中対立の無制限な激化は回避される
Yield Support 低金利がValuationを支える
Tail Risk Reduction 世界景気急落シナリオが後退
Risk Appetite Recovery 株式への資金配分が回復

しかし、世界の構造は2017年には戻っていなかった

2020年1月、 市場環境は かなり安定して見えるようになりました。

FRBは 金融緩和方向へ転換しています。

米中対立の 激化も一旦停止しています。

半導体にも 回復期待があります。

株価も 大きく戻っています。

しかし、 世界の構造は 2017年とは異なります。

自由貿易への信認は 弱くなりました。

米中戦略競争は 残っています。

世界製造業の強さも 2017年と同じではありません。

政策依存度は 高くなっています。

つまり、 価格は回復したが、 レジームは以前には戻っていない。

Price Recovery ≠ Regime Restoration

株価が 以前の水準へ戻っても、 世界同時成長、 自由貿易、 低政策依存という 以前の構造が 戻ったとは限らない。

Part4の結論

2019年、 市場は大きく回復しました。

しかし、 その回復は 世界同時成長の復活ではありませんでした。

世界景気は 弱い。

製造業も 弱い。

米中対立も 残っている。

それでも、 FRBが方向転換した。

世界金利が低下した。

主要中央銀行が 緩和方向へ動いた。

米中協議への期待が Risk Premiumを下げた。

そして、 2020年1月には 「第1段階」合意によって、 対立激化が 一旦停止しました。

この結果、 市場は Growth Driven Market ではなく、 Policy Supported Market として回復しました。

ここには、 重要なレジーム変化があります。

2017年までは、 景気が強いから 株価が上がりました。

2019年には、 景気が弱いから 中央銀行が緩和し、 その緩和が 株価を支えました。

市場と景気の関係が 変化したのです。

2017年は、 成長が市場を支えた。

2019年は、

政策が、 弱い成長を支えた。

次のPartでは、 本フェーズの Regime Driversと machine_phaseを整理します。

Volatility Repricing。

Yield Repricing。

Trade Conflict。

Globalization Repricing。

China Slowdown。

Manufacturing Deceleration。

Semiconductor Adjustment。

EPS Revision Down。

Fed Pivot。

Global Easing。

Trade De-escalation。

Policy Supported Recovery。

これらを時系列で接続し、 なぜ2020年1月17日で このフェーズを終えるのかへ つなげます。

Part 5

Regime Drivers

米中対立調整相場は、 一つのDriverだけで形成された相場ではありません。

金利。

ボラティリティ。

米中対立。

中国景気。

世界製造業。

半導体。

企業利益。

金融政策。

これらが時間とともに 異なる方向へ動き、 日本株の価格形成を変化させました。

本フェーズでは、 Driverを暫定的に、 Financial Drivers Geopolitical / Trade Drivers Macro / Earnings Drivers Policy Drivers へ分けて整理します。

ただし、 このDriver分類は確定版ではありません。

最新フェーズまで記事制作を一巡した後、 全フェーズを横断比較し、 Driverの種類、 階層、 役割、 相互作用を 再構築します。

Financial Drivers

Driver 構造 市場への作用
US Yield Rise 強い米国景気と金融政策正常化 株式Valuationへ上昇圧力
Volatility Repricing 低Vol前提の修正 リスク量縮小とポジション解消を誘発
Fed Tightening 利上げ・金融政策正常化 Global Liquidityを引き締め
Risk Premium Expansion 景気・政策・貿易不確実性上昇 株式評価倍率を圧迫
Yield Decline 2019年の景気懸念と政策転換 Discount Rate低下を通じValuationを支援
Risk Appetite Recovery 政策支援とTail Risk後退 世界株・日本株への資金回帰を支援

Geopolitical / Trade Drivers

Driver 構造 市場への作用
US-China Trade Conflict 米中間の関税・貿易摩擦 世界貿易と企業投資への不確実性を上昇
Tariff Escalation 追加関税と対抗措置 企業収益・Supply Chainへの警戒を強化
Strategic Competition 技術・産業政策・安全保障を含む競争 米中対立を短期的な貿易問題から構造問題へ拡張
Globalization Repricing 効率性中心の世界分業への再評価 Global Supply Chain関連企業のRisk Premiumを上昇
Trade Negotiation Optimism 米中協議進展期待 対立激化リスクを低下
Trade De-escalation 「第1段階」合意へ向けた対立緩和 Tail RiskとRisk Premiumを低下

Macro / Earnings Drivers

Driver 構造 日本株への作用
China Slowdown 中国製造業・投資Momentum鈍化 中国需要依存企業への利益懸念
Global Manufacturing Slowdown 世界製造業サイクル減速 輸出・機械・素材株の利益期待を低下
Global Capex Caution 政策不確実性による設備投資慎重化 FA・工作機械受注へ下押し圧力
Semiconductor Adjustment 需要Momentum鈍化・在庫調整 半導体・製造装置株の業績期待を修正
EPS Revision Down 企業利益予想の下方修正 日本株の利益面からの評価を圧迫
Semiconductor Bottoming Expectation 2019年後半の循環底入れ期待 Technology・製造装置株の再評価を支援

Policy Drivers

Driver 構造 市場への作用
Fed Pivot 引き締め継続から慎重姿勢への転換 2018年末の政策リスクを後退
Fed Easing 金融政策の緩和方向への転換 金利低下と金融条件改善を促進
Global Monetary Easing 主要中央銀行の緩和方向への政策対応 Global Risk Assetを支援
Policy Repricing 市場が政策反応を価格へ再評価 Growth Riskによる株価下落を緩和
Central Bank Put 景気悪化時の政策対応期待 Risk Premium上昇を抑制

Driver Interaction

本フェーズで重要なのは、 Driverを単独で見ることではありません。

Driver同士が 連鎖しています。

Strong Global Growth

US Yield Rise

Volatility Repricing

Financial Conditions Repricing

━━━━━━━━━━

US-China Trade Conflict

Trade Policy Uncertainty

Corporate Caution

China Slowdown

Global Manufacturing Slowdown

Semiconductor / Capex Adjustment

EPS Revision Down

Fed Tightening Concern

2018 Year-end Risk Off

━━━━━━━━━━

Fed Pivot

Global Monetary Easing

Yield Decline

Trade Negotiation Optimism

Risk Premium Decline

Policy Supported Recovery

このフェーズでは、 悪材料が一つ消えたから 株価が戻ったのではない。

悪化していたDriverの方向が、 一つずつ反転した。

machine_phase

machine_phaseでは、 「米中対立」という歴史名称を そのまま市場状態として判定しません。

米中対立は、 Market Phaseを識別する Human Classificationです。

machine_phaseで観測するのは、 金利。

ボラティリティ。

製造業Momentum。

中国景気。

企業利益予想。

半導体循環。

金融政策。

Risk Appetite。

これらの 市場で観測可能な状態です。

したがって、 「米中対立が起きているか」 ではなく、

「その対立が、 市場構造をどの状態へ変えているか」 をmachine_phaseで捉えます。

machine_phase一覧

machine_phase 主な観測対象 構造的意味
Yield Repricing 米長期金利、政策金利期待、株式Valuation Strong Growthが金利上昇リスクへ転換
Volatility Repricing VIX、株価変動率、Risk Positioning Low Volatility前提が崩れる
Trade Risk Expansion 関税措置、貿易関連指標、市場Risk Premium 政治リスクが市場価格へ組み込まれる
China Growth Deceleration 中国製造業、投資、輸入、企業需要 中国需要がGlobal Growthの下押し要因へ
Global Manufacturing Deceleration 製造業PMI、世界貿易、輸出、受注 世界同時成長から製造業減速へ移行
Semiconductor Cycle Adjustment 半導体売上、在庫、価格、製造装置需要 Technology CycleがExpansionからAdjustmentへ
EPS Revision Down 業績予想修正、利益成長率、営業利益 Macro Slowdownが企業利益期待へ伝播
Global Risk Off 株価、Credit、Volatility、資金フロー 複数のNegative Driverが同方向へ収束
Policy Pivot FRB政策姿勢、金利期待、金融条件 引き締め懸念から政策支援期待へ転換
Yield Compression 長期金利、実質金利、Valuation Discount Rate低下が株価を支援
Risk Appetite Recovery 株価、外国人フロー、Credit、Volatility 政策支援によってRisk Takingが回復
Trade Risk Compression 米中交渉、関税拡大懸念、Risk Premium 対立解決ではなく追加悪化リスクが後退
Policy Supported Recovery 株価、金利、EPS、景気指標の乖離 景気回復より金融政策が株価回復を主導

machine_phase Flow

Yield Repricing

Volatility Repricing

Trade Risk Expansion

China Growth Deceleration

Global Manufacturing Deceleration

Semiconductor Cycle Adjustment

EPS Revision Down

Global Risk Off

━━━━━━━━━━

Policy Pivot

Yield Compression

Risk Appetite Recovery

Trade Risk Compression

Policy Supported Recovery

米中対立調整相場は、内部で五段階に進行した

2018年1月から 2020年1月までを、 一つの状態として 扱うことはできません。

市場を動かすDriverは 段階的に変化しました。

段階 主要machine_phase 市場状態
第1段階 Yield Repricing / Volatility Repricing 世界同時成長の成熟後、金利上昇とVolatility ShockによってLow Vol Regimeが修正
第2段階 Trade Risk Expansion 米中関税問題が市場Risk Premiumへ組み込まれる
第3段階 China Growth Deceleration / Manufacturing Deceleration / EPS Revision Down 政治問題が実体経済・企業利益へ波及し、2018年末Risk Offへ
第4段階 Policy Pivot / Yield Compression / Risk Appetite Recovery FRB Pivotによって政策方向が変わり、株式市場が反発
第5段階 Trade Risk Compression / Policy Supported Recovery 金融緩和と米中対立緩和期待によってRisk Premiumが低下

金利を警戒する

貿易対立を警戒する

世界景気と利益を警戒する

政策転換を買う

対立緩和を買う

同じ二年間でも、 市場が恐れたものは 同じではなかった。

金利から始まり、 貿易へ移り、 景気と利益へ波及し、 最後は政策と対立緩和を買った。

中心銘柄群は、Driverの変化を映した

このフェーズでは、 指数だけを見るより、 どの銘柄群が 強く、どの銘柄群が弱いのかを見ることで、 市場内部のレジーム変化が より明確になります。

世界同時成長相場では、 FA。

工作機械。

半導体製造装置。

電子部品。

素材。

商社。

自動車。

世界景気へ敏感な企業が 相場の中心でした。

しかし2018年には、 Global Growth Sensitivityの高さが 弱点になります。

一方、 2019年後半になると、 半導体サイクル底入れ期待などを背景に、 Technology関連銘柄の一部が 再び評価され始めます。

つまり、 中心銘柄群も Global Growth Expansion → Global Growth Risk → Policy Supported Re-rating というレジーム変化を 映していました。

局面 注目銘柄群 意味
フェーズ初期 FA・機械・半導体・素材 前フェーズのGlobal Growth Winner
米中対立拡大 FA・工作機械・電子部品 China / Capex SensitivityがRiskへ反転
2018年末 景気敏感株全般 Global De-riskingとEPS Revision Risk
2019年回復 Growth / Technologyを含むRisk Asset Yield低下・Policy Supportによる再評価
2019年後半 半導体・製造装置等 Cycle Bottoming Expectation

中心銘柄群は、 本フェーズの市場構造を説明する代表例として整理しています。 個別銘柄の騰落率、主導期間、売買代金、 指数寄与度については、 全フェーズ記事完成後の横断リライトで 市場データを用いて再検証します。

Human Phase

machine_phaseが 市場で観測できる状態であるのに対して、 Human Phaseは、 その状態変化へ 歴史的な意味を与えるものです。

このフェーズで 市場参加者の認識は、 段階的に変化しました。

世界は成長している。

強い成長は 金利上昇を生むかもしれない。

米国と中国は 対立を深めている。

その対立は 世界景気を弱くするかもしれない。

企業利益も 弱くなるかもしれない。

しかし景気が弱ければ、 中央銀行が動く。

米中対立も これ以上は悪化しないかもしれない。

こうして、 市場の中心認識は 世界が同時に成長する という確信から、

世界は対立しているが、 政策によって市場は支えられる という認識へ変化しました。

世界は、 同じ方向を向かなくなった。

それでも市場は、

政策が世界の分断を 埋めてくれることを期待した。

Market Phaseとmachine_phaseの違い

ここで、 Market History DBの分類上、 重要な区別があります。

米中対立調整相場 はMarket Phaseです。

一方、 Yield Repricing。

Volatility Repricing。

China Growth Deceleration。

EPS Revision Down。

Policy Pivot。

Policy Supported Recovery。

これらはmachine_phaseです。

Market Phaseは、 その時代を 歴史的に一意に識別します。

machine_phaseは、 異なる時代にも再出現しうる 市場状態を表します。

例えば、 Policy Pivotは 2019年だけに存在する状態ではありません。

将来の相場でも 同様の状態が現れる可能性があります。

Global Risk Offも 同じです。

だからこそ、 歴史名称はuniqueに、 machine_phaseはreusableにする。

この分離によって、 過去相場と現在相場を 構造的に比較できるようになります。

Layer 役割 本フェーズの例
Market Phase 歴史的に一意な時代分類 米中対立調整相場
Driver 市場状態を変化させる力 US-China Conflict / Fed Pivot
machine_phase 機械的に観測・再利用できる市場状態 Global Risk Off / Policy Supported Recovery
Human Phase 市場構造に与える歴史的解釈 世界は、同じ方向を向かなくなった

このフェーズがMHDEに残す重要な比較軸

米中対立調整相場は、 MHDEにとっても 重要なフェーズです。

なぜなら、 株価上昇と景気改善が 必ずしも一致しない ことが 非常に明確に現れるからです。

2017年は、 Growth Up。

EPS Up。

Equity Up。

でした。

しかし2019年には、 Growth Weak。

Policy Easier。

Yield Down。

Equity Up。

という別の組み合わせが 成立します。

したがって、 MHDEが価格だけを見れば、 2017年と2019年を 同じBull Regimeとして 扱う危険があります。

しかし構造は違います。

2017年 2019年
Growth Strong Weak / Stabilizing
EPS Expansion Weak / Revision Risk
Policy Normalization Easing
Yield Normalization / Rise Decline
Equity Up Up
Primary Support Growth / Earnings Liquidity / Policy / Risk Premium

同じ株高でも、 同じ相場ではない。

何が株価を上げているのか。 そこまで見て初めて、 レジームになる。

Part5の結論

米中対立調整相場は、 一方向に悪化した相場ではありません。

最初は、 金利とボラティリティが 変わりました。

次に、 米中対立が 世界貿易の前提を変えました。

そして、 中国。

世界製造業。

設備投資。

半導体。

企業利益へ 影響が波及しました。

2018年末には、 複数のNegative Driverが 同じ方向へ収束します。

しかし2019年、 FRBが方向転換します。

金利が下がります。

金融条件が改善します。

さらに、 米中協議への期待が Risk Premiumを低下させます。

こうして、 Growth Driven Market から Policy Supported Market への変化が起こりました。

しかし、 ここで一つの問題が残ります。

株価は戻った。

政策も緩和した。

米中対立も 一旦は緩和した。

では、 なぜ2020年1月17日で 「米中対立調整相場」を終えるのか。

米中戦略競争そのものは、 終わっていません。

Globalization Repricingも、 終わっていません。

それでも、 Market Phaseとしては ここで境界を置きます。

その理由は、 構造問題が消えたからではなく、 市場の価格決定を支配する 主要Driverが変わるから です。

フェーズは、 問題が解決したときだけ 終わるのではない。

市場が、 別の問題によって 価格を決め始めるときにも終わる。

次の最終Partでは、 MHDB Classification。

世界同時成長相場との対称性。

米中対立が残した 長期構造。

2020年1月17日を Phase Endとする意味。

そして、 次のフェーズへの接続を 整理します。

Part 6

MHDB Classification

Market History DBでは、 米中対立調整相場を 単なる「貿易戦争による株安」として分類しません。

本フェーズで変化したのは、 金利。

ボラティリティ。

世界貿易。

中国景気。

世界製造業。

半導体サイクル。

企業利益。

そして金融政策です。

2018年初めには、 世界同時成長を前提に 低金利・低ボラティリティへ 積み上がったポジションが修正されました。

その後、 米中対立が 世界貿易と企業投資の不確実性を高めました。

さらに、 中国景気減速。

世界製造業鈍化。

半導体調整。

EPS下方修正懸念へ 波及しました。

2018年末には、 複数のNegative Driverが 同方向へ収束します。

しかし2019年には、 FRBが方向転換し、 金融政策が 再び市場を支える側へ回りました。

そして、 米中協議の進展によって 対立激化へのTail Riskも 後退しました。

したがって、 本フェーズは 世界同時成長の成熟後、 金利・貿易・景気・企業利益が再評価され、 最終的に政策支援によって市場が回復した調整レジーム として分類します。

分類項目 MHDB Classification
market_phase 米中対立調整相場
期間 2018-01-24 – 2020-01-17
基本性格 Globalization Repricing / Growth Adjustment / Policy Supported Recovery
初期状態 Yield Repricing / Volatility Repricing
中期状態 Trade Risk Expansion / China Growth Deceleration / Manufacturing Slowdown
調整極大 EPS Revision Down / Global Risk Off
回復状態 Fed Pivot / Yield Compression / Risk Appetite Recovery
終盤状態 Trade Risk Compression / Policy Supported Recovery
主要Global Driver US Yield / US-China Conflict / China Slowdown / Global Manufacturing / Fed
主要Domestic Transmission FA・機械・半導体・輸出企業のEPS感応度 / 外国人資金 / 為替
Human Theme 世界は、同じ方向を向かなくなった
Phase End 米中対立激化と金融引き締めという支配Driverが後退し、政策支援と対立緩和が市場価格を支配する状態へ移行

Human Phase

machine_phaseは、 市場で観測できる状態です。

Yield Repricing。

Volatility Repricing。

Trade Risk Expansion。

China Growth Deceleration。

Global Manufacturing Deceleration。

Semiconductor Cycle Adjustment。

EPS Revision Down。

Global Risk Off。

Policy Pivot。

Yield Compression。

Risk Appetite Recovery。

Trade Risk Compression。

Policy Supported Recovery。

これらは、 再利用可能な市場状態です。

一方、 Human Phaseは、 なぜこれらの状態が この時代に連続したのかを 歴史的に解釈します。

本フェーズでは、 市場の認識が 次のように変化しました。

世界は同時に成長する

強い成長は金利を上げる

米中が対立し始める

世界貿易の前提が揺らぐ

中国と世界製造業が減速する

企業利益への警戒が強まる

政策が支える

対立激化は一旦止まる

この流れを Human Phaseとしてまとめると、

「世界は、同じ方向を向かなくなった」

となります。

なぜ「米中対立調整相場」なのか

このフェーズを、 「世界景気減速相場」 と呼ぶこともできます。

「金利調整相場」 「製造業減速相場」 「貿易摩擦相場」 と呼ぶこともできます。

しかし、 Market History DBでは 「米中対立調整相場」 とします。

理由は、 この時代を 歴史的に識別する中心的な固有構造が 米国と中国の対立 だからです。

ただし、 米中対立を 一つの関税イベントとして 扱うわけではありません。

貿易。

知的財産。

技術移転。

通信。

半導体。

産業政策。

経済安全保障。

対立は 次第に広がりました。

つまり、 米中対立は、 Globalizationの前提そのものを 市場が再評価し始める象徴 でした。

関税だけが、 問題だったのではない。

世界を一つにつないできた仕組みに、 国家間競争が入り始めた。

「調整」であって、「崩壊」ではない

このフェーズも、 「崩壊」ではなく 「調整」 とすることに意味があります。

2008年のように、 金融システムそのものが 機能停止したわけではありません。

企業の資金調達機能も 維持されました。

金融機関の資本問題が 世界的な危機へ発展したわけでもありません。

むしろ、 前フェーズで高まった 世界成長。

低金利。

低ボラティリティ。

自由貿易。

設備投資。

半導体需要。

企業利益。

これらへの期待が 修正されました。

したがって、 System Collapseではなく、 Growth / Globalization / ValuationのAdjustment と位置付けます。

崩壊型フェーズ 米中対立調整相場
金融システムが機能不全 金融システムは維持
信用供給が停止 金融政策で支援可能
企業存続リスクが急増 主に利益期待とRisk Premiumを調整
構造再建が必要 成長・貿易・Valuation前提を修正
Collapse Adjustment

世界同時成長相場との対称性

米中対立調整相場は、 前フェーズである 世界同時成長相場と 強い対称性を持ちます。

世界同時成長では、 世界がつながっているほど 企業利益が増えました。

米中対立調整では、 世界がつながっているほど 政治的不確実性の影響も 広がりました。

世界同時成長相場 米中対立調整相場
Global Growth Global Growth Slowdown
Global Trade Expansion Trade Conflict
China Stabilization China Slowdown Concern
Global Capex Expansion Global Capex Caution
Semiconductor Expansion Semiconductor Adjustment
Low Volatility Volatility Repricing
EPS Expansion EPS Revision Risk
Growth Driven Market Policy Supported Market

世界同時成長では、 世界とのつながりが 利益を増やした。

米中対立では、

同じ世界とのつながりが、 不確実性を伝える経路になった。

米中対立が残した長期構造

本フェーズが残したものは、 2020年1月で 消えません。

むしろ、 その後の世界経済に続く 重要な構造があります。

第一に、 GlobalizationとEconomic Securityの衝突 です。

企業は 最も安い場所から 調達するだけでは 不十分になります。

供給先が 政治的に安定しているか。

輸出規制を 受けないか。

安全保障上の問題が 発生しないか。

これらが 企業戦略に入ります。

第二に、 Technologyが地政学の中心になった ことです。

半導体。

通信。

AI。

先端製造。

技術は 単なる企業競争ではなく、 国家競争の対象になります。

第三に、 Supply Chain Resilience です。

効率だけでなく、 供給の安定性。

複線化。

国内回帰。

友好国との調達。

これらの考え方が 重要になります。

つまり、 米中対立は 一時的な関税イベントではなく、 世界経済の設計思想を変える出発点の一つ でした。

残した構造 その後への意味
US-China Strategic Competition 短期交渉では解消しない構造対立
Economic Security 貿易と安全保障の一体化
Technology Competition 半導体・通信・AIが国家戦略化
Supply Chain Reassessment 効率性からResilienceへ
Globalization Repricing 世界分業のRisk Premium上昇
Policy Dependence 景気弱化時の金融政策依存度上昇

なぜ2020年1月17日までなのか

Market History DBでは、 米中対立調整相場の終了日を 2020年1月17日とします。

ここで重要なのは、 米中対立そのものが 終わったわけではないことです。

戦略競争は残っています。

技術対立も残っています。

関税も完全には 消えていません。

それでも、 Market Phaseとしては ここで境界を置きます。

理由は、 市場の価格決定を支配する 主要Driverが変わる条件が 形成されたから です。

2018年から市場を支配したのは、 米中対立の激化。

世界製造業減速。

中国不安。

FRB引き締め。

企業利益下方修正リスクでした。

しかし、 2020年1月時点では、 FRBはすでに 緩和方向へ転換しています。

世界金利も 低下しています。

米中対立は 「第1段階」合意によって 無制限な激化から 一旦離れています。

半導体にも 底入れ期待があります。

つまり、 米中対立調整を成立させていた 主要Negative Driverの方向が 大きく変わっている。

これが、 フェーズ終了条件です。

フェーズ終了条件

米中戦略競争が 解決したことではない。

米中対立激化、 Fed Tightening、 Global Manufacturing Slowdown、 EPS Revision Riskという 本フェーズを支配したDriverが後退し、 Policy SupportとTrade De-escalationが 価格形成の中心へ移ったこと である。

Phase End Signal

2020年1月17日
米中対立激化から、政策支援・対立緩和へ

Yield Repricing

Volatility Repricing

Trade Risk Expansion

China Growth Deceleration

Manufacturing / Semiconductor Adjustment

EPS Revision Down

Global Risk Off

━━━━━━━━━━

Fed Pivot

Global Easing

Yield Compression

Trade Risk Compression

Policy Supported Recovery

次フェーズ

フェーズは「問題がなくなる」ときだけ終わるのではない

これは、 Market History DBの 相場分類で非常に重要な考え方です。

相場史を イベントで考えると、 米中対立が続いているなら フェーズも続くように見えます。

しかし、 レジームで考えると 結論は違います。

米中対立が続いていても、 その対立が 株価を動かす最大Driverでなくなれば、 市場レジームは 変わることがあります。

逆に、 新しいイベントが発生しなくても、 金利。

流動性。

企業利益。

ポジション。

政策反応。

これらの構造が変われば フェーズは変わります。

イベントは、 残ることがある。

しかし、

相場を支配するDriverは、 変わる。

そこが、 フェーズ境界になる。

しかし、その直後に「別の問題」が現れる

2020年1月。

市場から見れば、 米中対立の 無制限な激化リスクは後退し、 金融政策も 緩和的になり、 世界製造業には 底入れ期待が生まれていました。

市場は、 2018年から続いた 主要な不安を 一つずつ外し始めていました。

しかし、 フェーズ終了とは 市場が安全になったことを 意味しません。

むしろ、 市場はこれまでとは まったく異なる種類のRiskへ 直面することになります。

それは、 金利でもない。

貿易でもない。

関税でもない。

企業利益の通常の景気循環でもない。

経済活動そのものを 物理的に停止させる可能性を持つ 外生ショック でした。

つまり、 次のフェーズでは 「世界が対立しているか」 ではなく、

「世界経済そのものを 動かし続けられるのか」 という まったく別の問いが 市場を支配します。

米中対立という 問題は残った。

しかし市場は、

それより大きな問題を まだ知らなかった。

米中対立調整相場の歴史的位置

日本株相場史の中で、 このフェーズには 大きな意味があります。

第一に、 Globalizationは 一方向に進むものではない ことを 市場へ示しました。

世界貿易が増え、 Supply Chainが広がり、 企業が世界最適化を進めても、 政治と安全保障によって その構造は 再設計される可能性があります。

第二に、 半導体とTechnologyが 景気循環だけでなく、 地政学のDriverになった ことです。

第三に、 株価と景気が分離する Policy Supported Market が 明確になりました。

2019年は、 世界景気が強くなくても、 中央銀行が緩和すれば 株価が回復することを示しました。

第四に、 前フェーズのWinnerは、 次フェーズのRisk Sensitivityを持つ という相場史のパターンです。

FA。

工作機械。

半導体。

電子部品。

世界同時成長の恩恵を 最も強く受けた企業ほど、 世界景気減速と米中対立への 感応度も高くなりました。

そして第五に、 フェーズ境界は イベントの開始・終了と一致しない ことです。

米中対立は続いています。

それでも 市場を支配するDriverが変われば、 Market Phaseは変わります。

これは、 Market History DBの レジーム分類を象徴する事例です。

総括

2018年1月24日から 2020年1月17日まで。

米中対立調整相場は、 関税だけで動いた相場ではありませんでした。

最初に変わったのは、 金利とボラティリティでした。

強い景気が 米長期金利を押し上げました。

低ボラティリティを前提とした ポジションが 2018年2月に調整しました。

その後、 米中対立が本格化しました。

関税。

貿易。

知的財産。

技術。

Supply Chain。

問題は 世界貿易の構造そのものへ 広がりました。

中国景気が減速しました。

世界製造業も 弱くなりました。

半導体サイクルも 調整しました。

FA・工作機械など 世界設備投資へ敏感な企業の 受注環境も変わりました。

市場は、 企業の現在利益ではなく 将来EPSを下げ始めました。

そして2018年末。

米中対立。

世界景気減速。

企業利益懸念。

FRB引き締め。

複数のNegative Driverが重なり、 大きなRisk Offが発生しました。

しかし2019年、 FRBが方向転換します。

金利が下がります。

世界的な金融緩和が 市場を支えます。

米中協議への期待が Risk Premiumを下げます。

そして2020年1月、 「第1段階」合意によって 対立激化が一旦停止します。

株価は戻りました。

しかし、 世界同時成長は戻りませんでした。

自由貿易への 無条件の信認も戻りませんでした。

米中戦略競争も 終わっていません。

だからこそ、 このフェーズの本質は 「貿易戦争が終わった」 ではありません。

世界成長を前提とした市場が、 金利、分断、景気減速を経験し、 最後には 政策支援によって価格を回復する市場へ変わった。

これが、 米中対立調整相場です。

世界同時成長では、 世界とのつながりが 利益を増やした。

しかし、 世界が競争を始めると、 そのつながりは 不確実性を運んだ。

関税が、 企業の判断を変えた。

企業の判断が、 設備投資を変えた。

設備投資が、 製造業を変えた。

製造業が、 企業利益を変えた。

そして最後には、 政策が 弱い景気を支えた。

米中対立調整相場とは、 世界同時成長の終わりではない。 世界が、 同じ仕組みのままでは 成長できなくなったことを 市場が学んだ相場だった。

参考資料

  • 米連邦準備制度理事会(FRB)「金融政策・政策金利・金融政策正常化に関する資料」
  • 米国通商代表部(USTR)「対中通商政策・関税措置に関する資料」
  • 中国政府・中国人民銀行「中国経済・金融政策に関する資料」
  • IMF「World Economic Outlook」世界景気・世界貿易に関する資料
  • 日本銀行「金融経済月報・展望レポート・金融政策に関する資料」
  • 内閣府・経済産業省・財務省「日本経済・輸出・企業利益・設備投資に関する資料」
  • 日本工作機械工業会「工作機械受注に関する資料」
  • 半導体・FA・電子部品・製造装置関連企業の公表資料
  • 東京証券取引所・日本取引所グループ「株式市場統計に関する資料」

本記事におけるフェーズ名称、開始日、終了日、 Human Theme、Market Cycle、 レジーム解釈は、 Market History DB独自の分類です。

「米中対立調整相場」は、 米中関税措置のみを指す名称ではありません。 金利上昇、 Volatility Repricing、 Globalization Repricing、 中国・世界製造業減速、 半導体調整、 EPS Revision、 Fed Pivot、 Policy Supported Recoveryまでを 一つの市場レジームとして分類しています。

米中戦略競争そのものは 2020年1月17日で終了したという意味ではありません。 本フェーズの終了日は、 米中対立激化を含む主要Negative Driverが 日本株価格形成の支配的要因ではなくなり、 Policy SupportとTrade De-escalationが 市場の中心へ移った境界として設定しています。

Driverおよびmachine_phase分類は暫定版です。 最新フェーズまで記事制作を一巡した後、 全フェーズを横断比較し、 Driverの種類、階層、役割、 相互作用、machine_phaseとの関係を再構築します。

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